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第二章 転機

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「君は、どこかの芸能事務所に所属しているのか?」

「普通の学生です」
いきなり話しかけてきて、失礼な奴だ。

「確認するけど、男だよね?」
ズケズケ聞いてくる。

「それが何か?」

「うちの社長が、君に会いたがってる」

「だったら、本人が来ればいい」

「真凛ちゃん、落ち着いて。もっと話を聞きましょ」

男は名刺を出した。
シュガー・エンターテインメントと書いてある。
田中健司という名前に、チーフマネージャーの肩書がついていた。

「今までとは、全く違うタイプのモデルを探している。
そんな中、SNSで話題になった君を見つけた。
調べてみると、渋谷によく来ている。
見かけたら連絡をくれるように、スカウト連中に頼んでいたんだ」

スマホを見せられると、20枚以上の俺の画像が出てきた。
初めて見るものが多い、背景から渋谷で撮られていた。
画像には、初めて女装で渋谷に来た時のものがある。
あらためて見せられると、恥ずかしくなった。

「実物は、画像以上に魅力的だ。
君ならいける、モデルにならないか?」

「モデルとか、嫌だ。
俺は彼女のために、こんな格好してる。
他人に見られるためじゃない」

「じゃあ、彼女に聞いてみよう。
彼がプロにメイクされて、最高のファッションを纏った姿を見たいと思わないか?」

「それは、見たいに決まってる」
おいおい、聖苑が向こうの味方になってどうするよ。

「ともかく事務所に来て、社長に会ってくれ」

「会ってもいいけど、調べる時間を頂戴」
俺より先に聖苑が交渉を始めた。

「何を調べるつもりだ」

「芸能事務所にも、色々あるでしょう。
私にも、調査する手段があるの」

「じゃあ、決まったら連絡をしてくれ。
連絡先を交換しよう」

電話番号を交換して、聖苑が握手をした。
「待ってるよ、出雲真凛ちゃん」名前がバレてる。

部屋に帰ってから、聖苑が珍しく長電話をしている。
聞こえてる内容から、実家に連絡しているようだった。

「親の会社が、シュガー・エンターテインメントについて調べてくれるって」
名刺一枚で会社を調べることが出来るって、どんな親だよ。

今まで知らなかった、一ノ瀬 聖苑いちのせ みそのの一面が見えた。

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