上 下
5 / 323
第一章 始まり

しおりを挟む
立ち上がり、彼女に背を向けてバスタオルをとる。
女性用のショーツを履くって興奮する奴もいるだろうが、嫌なものはイヤだ。
だが、拒否すれば残りの5万円が貰えないと思えば履くしかない。

開き直って、小さいショーツを伸ばすように履いてみる。
あれが縮こまってるのに邪魔になる、無理やり押し込んだ。
上にタンクトップを着せられ、ショートパンツを履く。
全身が映る鏡の前に立たされた。

「可愛いでしょ」
男でもないし、女でもない。
無機質なアンドロイドっぽい、怖さがあった。

「不気味だな」思わず声に出た。
彼女がクローゼットから、いくつかの服を持ってきて鏡の前であててみる。

「やっぱり、ワンピースかな」
ネイビーブルーのワンピースを着せられる。
スカートの裾が膝下で、すね毛がうっすら見えてカッコ悪い。

「脱毛したいなあ」

どこまで要求するつもりだろう。
本当に女にされそうで、ちょっと怖くなる。

「どこまでエスカレートするつもり?」
面と向かって、聞いてみた。

「完璧に仕上がるまで。
アルバイトしても、月に10万円稼ぐって大変だよ。
私の言う通りにしてくれれば、直ぐに残りの5万円を払ってあげる」

彼女は、いくつかの条件を出した。
髪を伸ばせ、太るな、日焼けするな。

俺も条件を出した。
女装してもいいけど、この部屋から出るのはイヤだ。
彼女は、俺の条件を聞いて言った。

「まず、一ヶ月だけ試してみない?」

「じゃあ、それでいい」
すぐに、スマホに残りの5万円が送られてきた。

その後、メイクを落とした。
やり方を彼女から教わりながら、自分でやってみる。
面倒なくらい手順がある。
落とした後も洗顔から保湿とか、やることが多くて一回ではとても覚えきれない。

「明日、持っている私服を全部見せて」
彼女が言い出す。

「ここに持ってくればいい?」

「それでいいわ。今日はこれで解放してあげる」

「付き合うんだろ、kissくらいしようよ」
彼女の本気を試してみた。

「いいよ、蒼海君からして」
想定はしていたが、あっさりと返事が返って来た。

OKが出たので、彼女を軽く抱きしめる。
彼女の柔らかい胸が俺の胸に当たって、脳に刺激が走る。
抱き締めていた手を緩めて、棒立ちの彼女の唇にkissして直ぐに離れた。

彼女が一瞬、ポカンとしているように見えた。
どうだったか聞きたいが、カッコ悪いので意地を張った。
バッグを背負って、ドアに向かう。
振り返らずに、俺は言った。

「じゃあ、また明日来るね」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

処理中です...