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しおりを挟む一通り腹を満たし、ダイニングのムダに大きなソファで隣り合って座った俺は、満を持して持ってきた紙袋を灯に渡した。
「……お前から何か貰うのって、変な感じだな」
「俺をバカにしてる?」
「そうじゃないが……開けて良いか?」
うん、と頷くと、灯は柔い笑みを浮かべながら袋を開けた。そして間髪入れずに閉じた。
「なんだこれは?」
「なんだった?俺中見てないんだ」
「中身がわからないものを人にあげるのか?」
「だって、兄が勝手に持って来たんだ。恋人に渡してやれって。お前は中を見るな、とも言ってた」
それは先週のことだ。
珍しく次兄のルイスが我が愛嬌のあるアパートにやって来た。そして、一足早いがクリスマスプレゼントだ、こっちはお前ので、こっちはお前の恋人の分だ。お前は絶対に中を見るな、いいな?と言って、すぐに帰ってしまった。
「ちょっと外せない寄り合いが国外であるから、年末年始も帰って来れないと言ってた。で、俺はちゃんと言いつけを守って今日まで中を見ずに保管していたわけ」
ちなみに俺は、美味しいと評判の店のマカロン色んな種類詰め合わせを二箱貰った。
「お前のお兄さんはとんだ変態だな……と言うより、お前、ご家族に恋人が出来たと伝えたのか?しかも男の?」
「え、言ったよ?普通に報告しただけだけど」
何だか灯が沈黙してしまった。
「なに?なんか変?……あの、先に言っておくと、俺の立場上、何か変化があったら絶対に報告しなきゃいけないんだよ。それが実家を離れてもいい条件のひとつだから」
尚も怪訝な顔をする灯。
「気になっていたんだが、その、立場上、というのはどういう意味なんだ?」
一瞬ドキッとしたが、平静を保って言った。
「そうだな……前に吸血鬼には係活動があるって言っただろ?俺の家もちょっとした役割があって、その所為で色々と複雑な環境にあるんだ。まあ、それはまた話すとして」
俺は灯の持つ紙袋の中身が気になった。何せ1週間も正体不明のまま同居していたのだ。美味しいものだといいな、と考えながら。
「んで、何だったの?美味しいものだったら俺にも少しわけてね?」
と、ニコッと笑って言ったのだが。灯は非常に残念だ、という顔をしていた。そして紙袋に手を入れて、徐に取り出したそれは。
「ウヒっ!な、なんだよ、それ!?」
「おれも疑問に思っているところだ。ルナのお兄さんは、変わってるというか、なんか、アレな人なんだな」
灯が手にしているものを俺に投げてよこす。俺はおっかなびっくり受け取って、マジマジとそれを見た。
「これを灯の尻に入れるのか!?」
「違うだろ!!お前のだよ!!」
淡白な俺でも知っている。大人のおもちゃという奴だった。しかも何だかでかい。いや、何考えてんだ兄貴……
「そんなぁ…!美味しいものが良かった!」
「お前も大概だな。家族全員そんな感じではないことを願う」
他にも、袋の中には数々の、泣きたいくらい沢山のおもちゃが入っていた。
「せっかく貰ったんだ、何か使ってみるか。ルナは何がいい?」
「えぇ、俺が選ぶの?なんか変じゃない?」
と言いつつも、沢山のおもちゃを見た。エゲツないイボがついたもの、何だかよくわからない形のもの、そんなもんどこにどうやって使うんだ?というものもあれば、ただの拘束具なんかもあった。
「選べないよぉ。だって俺に使うんでしょ?何を選んでも同じだよ」
最終的にダメージを負うのは俺だ。だったらもう灯の好きにしてもらおう。
「じゃあおれが選ぶが、文句は言うなよ?あと泣いてもやめないから」
「わかってるよ!俺も男だ、潔く灯に身を任せると誓う」
そうして、俺たちは灯の寝室へ向かった。ちなみに俺はかなり怯えてたけど、お首にも出さなかった。格好悪いので。
寝室は一段と灯の匂いがして、それだけで俺の頭はもうくらくらしていたが、灯はそんな俺なんて知らん顔で言った。
「ほら、こっちこいよ。緊張してるのか?」
「は?この俺が、緊張なんかすると思うか?灯より何歳上だと思ってんの?」
そう言うと、灯がなんだか、悪い顔で笑ったのだ。
「じゃあ今日は本当におれの好きにさせてもらう。おれが貰った物だしな」
「よし来い!ま、どうせ灯は灯だろうけどな!」
そして俺は、この1時間後には後悔で頭がいっぱいになるのである。
灯は俺をベッドに誘導し、せっせとワイシャツを脱がしにかかった。その間もわざとだろか、なんだか敏感な所をくすぐるような手付きで、俺はその触れる手の温かさにホッとした。
何せちゃんと触れ合うのは、初めて繋がって以来だった。恋しかったと言えばその通りだ。
殺伐とした吸血鬼の世界にいる俺だけど、それでも、想い合う相手に触れられる喜びを知らないわけではない。
のほほんとしていると、灯は俺をうつ伏せにして押し倒す。そしてまるで、被疑者確保!かの如く両腕を背中で固定して、そのまま皮のベルトでぐるぐる巻きにした。
「ちょっと!キツイんだけど!」
「これぐらいにしないと、お前の力には敵わないだろ」
そうだけど、それにしてもキツすぎだ。
それから灯はまた袋に手を突っ込んで、ローションのボトルを取り出す。兄の準備の良さに複雑な気分になる。
俺のスラックスと下着を手際よく脱がして取り払うと、ドロドロのローションを手に、灯が尻の割れ目に指を滑らした。
「ぅ、あっ」
ピクリと身を震わせる。普段人に触られない場所というのは、何度触られても慣れない。
「まだ何もしてないだろ。力抜けよ」
「わかったから!さっさとやれよ!」
チッと舌打ちをこぼした灯が、容赦なく内部に指を入れた。それも、2本同時に。
「ああっ、や、ン…!」
そのまま、最初から弱い所をぐりぐりと容赦なく押す。
「と、ともりっ、やぁ!ダメ……ダメだって、出ちゃうからっ」
灯は俺のことなんて1ミリも考えていないようで、執拗にその場所を責めたて、俺はすぐに射精してしまった。
「相変わらず早くないか?」
「仕方ないじゃん!そこ押されたらたまんないんだもん!」
「お前は本当に、情緒もクソもない奴だな」
俺に純情な少女のように恥じらえって?アホか。
「もう、さっさと次いこうよ!俺だけ丸出して恥ずかしいんだからな!」
はあ、と今度は溜息が聞こえた。
灯が次に取り出したのは、そう、最初に目についたイボイボのある奴だった。
「ヒッ!ちょ、灯さん…?俺にそれが入ると思ってる?だったらそれはちょっと、考えを改めた方がいいとおも、アッ!!」
グチュ、と思ったより柔らかい素材でできたそれが、ローションの力を借りて俺の中へとブチ込まれていく。
「ちょっとは黙れよ……」
呆れた声が聞こえる。それももう、どうでも良いと思えるほどに俺は意識が飛びそうだった。
「やぁ、なっ、うぁああっ!はっ、はぁ、ひぁっ!?」
「ルナ、大丈夫か?」
「だ、だいじょ、ぶ、じゃなっ、ンァ……」
鼻にかかったような声。それが、自分のものだとは思いたくない。
ヒィヒィと必死で息をする俺に、灯は何故かすごく楽しそうで。
「まだいけそうだな」
なんて言うのだ。意外と鬼畜だ。
そして今度は、俺を少し横に向けてから、尻への衝撃で半分萎えてしまった俺自身を掴んだ。
「ふぁあっ、今、そこ触らないでっ!」
「嫌だ。お前が言ったんだぞ、よし来いって」
言ったかもしれないが、しかしもう限界だ。早くこの責苦を終わらせてほしい。
そんな俺の思いなんて知らん顔で、灯はまた嬉々として袋から道具を取り出した。
俺の知らない、黒くて細く柔らかい、規則的なボコボコがついたモノだった。
「なに、それ?」
「ん?ルナが知らないのはラッキーだな。実際に体験してみろ。絶対に喜ぶから」
「あんまり痛いのは嫌だからね」
念を押してみたが、灯はニッコリと笑みを浮かべるだけだった。
再度手にローションを塗り、それをその細い棒状のものにも丁寧に擦り付けて、灯は俺の中心をしっかりと握った。
何これ、めちゃくちゃ怖いんだけど、という俺の気持ちなど察してくれない灯が、その細い棒を俺の、とてもデリケートな穴にゆっくりと入れたのだ。
「っ、あう!?ちょ、やだ、痛い痛い痛いっ!」
「うるさいな……もうちょっと可愛らしい声は出ないのか」
とか言いながら、ゆっくりと、だけど確実に奥へと進めてくる。そしてそれは、唐突にやって来た。
「うぁあああっ!?なに、ひぁっ、ともりっ、何これぇ?死んじゃう!も、抜いてぇ!!」
一瞬で頭が真っ白になった。そう、まるで雷に撃たれたみたいな衝撃が、頭の芯を突き抜けた。目の前が真っ白というか真っ黒というか、とりあえず、快感が全てを飲み込んでしまった。
「ルナの気持ちいい所、こっち側からも押せるんだ」
「そ、そんな、この先使えなさそうな豆知識なんていらないっ!!」
「……どれだけやればお前の減らず口は止まるんだよ」
俺は絶対に屈服しないぞ、とビリビリくる快感の波に耐えながら思った。
「ああ、そういえばゴム買うの忘れてた。ちょっとコンビニまで行ってくる」
「はぁ?今ぁ?」
ああ、と頷いて、灯はベッドから降りた。そして、徐に後ろのイボイボおもちゃに触れると、何かのスイッチを押した。
「いぁっ!?や、やめっ、ンぁあっ!はぁ、あうっ、うああっ」
後ろの異物が、グイングインと俺の中を掻き回したかと思いきや、ぐりぐりと奥を攻め立てる。
「ま、て…ともり、置いてかないでっ、アアッ!はぁ、は、んふ、うぁああっ」
そうして俺は、灯の思惑通りおもちゃに屈した。もうなんも考えられなかった。
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