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 ベッドに寝そべって、足を左右に開き、自身の唾液で濡らした指を秘部に充てがう。久しぶりだからか、すでに期待にヒクつくそこをこじ開けて指を入れる。

 熱く絡みついてくる内部は狭く、理人さんのあの規格外のを受け入れているなんて信じられない。

 片手で解しながら、もう片方で胸に触れる。触る前から固く尖っていて、全身で期待しているのがわかって恥ずかしくなる。

 指先が乳首の先端に掠めるだけで、背筋がビクビクと反応してしまう。

「はぁ……恵介くん、はやく欲しいならちゃんとしないと」
「ん、わかってる」

 思い切って指を動かす。下に入れた指を二本にして抜き差し、胸の尖りを強く摘む。

「んぁっ、ああ、やぁ」

 理人さんの嗜虐的な濃い色の瞳から目が離せない。自慰を見られて恥ずかしい。それなのに、見られていることが気持ちいい。

「イくところみせろ」

 ニヤリと笑いながら言われ、コクリと頷いて答える。理人さんの期待に応えようと胸と下の穴を弄る手を必死で動かした。

 だけど、全然イけそうにない。どうしよう、と途方に暮れかけた時、理人さんがふふっと笑った。

「恵介くん、どうして自分でここ触らないの?」

 理人さんの指先が、固く立ち上がった中心の先端を強く弾いた。その刺激で、先走りが糸を引いて垂れる。

「んゃァ!?はぁ、はぁ……だ、だって、そこは理人さんに、触って欲し、くて」
「可愛いこと言うね。でもダメ。後で沢山触ってあげる」
「嫌だっ、お願い、も、出そうで出ない!辛いよぉ」

 自分自身への愛撫を続けながら懇願する。理人さんの目が冷えていく。

「仕方ないなぁ。じゃあ手伝ってあげる」

 触ってもらえる!と、期待に胸が高まる。だけど理人さんは一向に手を伸ばしてこない。

 どうして?と彼の顔を見た。そして、冷酷な笑みを浮かべていることに気付く。理人さんが何を考えているのかがわかった。

 やめて、と口を開いた瞬間、理人さんがCumイけと無慈悲な命令を下す。強烈な快楽が背筋を駆け抜け、無理矢理押し出されるように、先端から精液が飛び散った。

「やあああっ、ん、ンァ、はぁ……」
「上手にイけて良い子だね」

 そう言って頭を撫でてくれる。正直、意思とは関係なく射精させられるのはキツい。でもこの手で撫でられて、褒めてもらえて、それだけで帳消しになってしまう。

「理人さん、はやく欲しい」
「いいよ。今日は久しぶりだから、無理はさせない」
「ん……」

 いつのまにか理人さんはいつもの優しい顔をしていて、俺は嬉しくなってしまった。彼がplayじゃなくて、セックスしようとしてるんだってわかったから。

 恋人として求めてくれているんだってことが嬉しい。

「痛い?」
「だいじょ、ぶ」

 理人さんのがゆっくり内部へ侵入してくる。メリメリと割開かれていくのが生々しくわかる。先端が奥の行き止まりに触れるまで進んで止まると、しばらく気遣うように濃厚なキスをしてくれた。

 こうしてお互いを食い尽くすような深いキスをしたのも久しぶりだった。脳みそが溶けそうなキスを味わっていると、理人さんが腰を動かし始める。

「あっ、やぁ、ああ」

 ぐちゅ、ぐちゅと徐々に卑猥な音が大きくなる。理人さんが俺の腰を掴んで、ふと、動きを止めた。

「ああ……なに?」

 もどかしくて声を上げると、理人さんの悲しげな瞳が視界に飛び込んできた。

 スッと指を滑らして、左の、まだ生々しく赤い跡が残る傷跡を撫でる。何度も、何度も。

「くすぐったいよ……理人さん?」

 泣いてる?そんなわけないよな。理人さんが泣くなんて、あの時見たきりだ。正確にはちゃんと泣き顔を見たわけじゃない。出血と自分が泣いていた所為で視界はあやふやだった。

 俺は傷をなぞる理人さんの手を取って、自分の頬に当てた。あったかい。薄れていく意識の中で、この暖かさをずっと感じていた。怖かったけど、怖くなかった。不思議な気持ちだった。

「理人さん、俺はここにいる。死んでない。理人さんのおかげだよ。だから、そんな悲しい顔しないで」

 俺の方が泣きたい気分だ。もう、この人に悲しい涙なんて流してほしくない。

「理人さんが命令したんだ。俺に生きろって。俺はちゃんと言うことを聞けただろ?泣くんじゃなくて、褒めて欲しいのに」
「そうだね……ありがとう。僕のところへ帰ってきてくれて。君は本当にお利口な僕の天使だ」

 最後の一言はいらないけど、まあいい。

「もういいから早く動いてよ。ずっと待ち遠しかったのに、Stay待てはもう嫌だ」
「わかった。それにさっさと済ませないと、君はこの後夕食を作らないといけないからね」
「そうだった……いざとなったら葉一がなんとかするだろうけど」

 と、そういや、雰囲気でこんなことしてるけど、他のみんなはどうしたんだろう?まさか、いきなりこの部屋に入ってきたりなんかしないよな!?

「ま、理人さん!ちょっと、待って!あっ、ダメ、いきなり深いッ!!」

 ズシンと腹の奥に理人さんの大き過ぎるものが突き進んで来て、一瞬頭が真っ白になる。そのままグリグリと押し付けられると、強すぎる快感に目の前でチカチカと火花が散った。

「あ、ヤダぁ、ひゃああっ」

 もうダメだ。声が抑えられない。気持ちいい。なんも考えらんない。

「イ、イくっ、も、出る!おねがい、止まって!ッ、ああっ」
「僕も出していい?」
「いい、一番奥にっ、出して!あ、またイくっ!」

 自分で自分が何を言ってるのかもわからないまま、理人さんの激しい動きに、自ら押し付けるように腰を揺らして、しばらくして熱いものが腹の奥で弾けたことに気付いた。

 余韻に震える。手足に力が入らない。そんな俺に、理人さんがニコニコしながら優しいキスを沢山してくれる。無意識にそれに応えながら、落ちそうな瞼を必死でこじ開けた。

 この幸せな時を、少しでも長く味わっていたかった。

「恵介くん……大丈夫?」
「ん」
「痛くない?」
「お尻は痛いけど、他は大丈夫」

 ニヤリと笑って応えると理人さんも笑った。

「シャワー浴びる?」
「うん。連れてってくれる?」
「任せて」

 相変わらずの力持ちを発揮した理人さんに抱えられて、部屋に備え付けのバスルームへと向かう。主寝室のものだけあって、ゆったりした浴槽のある広い風呂は、オシャレなタイルばりだった。掃除が大変そうだな、なんて考えている間に、理人さんに全身綺麗にされてしまう。

 風呂から出てもともと着ていた服を着た。その頃には眠気も消えていて、反対に好奇心がムクムクと湧き出してくる。

「ここ、敏雄さんの実家に管理してもらってるんだよな?」
「そうだよ」

 この広い屋敷を、こんなに綺麗に保つのは大変だろうな。俺なんて今の家と理人さんのマンションの掃除をしただけで疲れてしまう。

「敏雄さんの実家って近くなんだよね?」
「うん。車で一時間くらいじゃないかな」
「それ、近いって言わないよ」

 そうかな?と理人さんが首を傾げ、俺は呆れて溜息を吐く。スケールが違い過ぎる。まあいいや。

「他の部屋も見に行っていい?」
「いいよ。案内しようか?」

 理人さんが俺の手を引いて連れ出してくれたので、そこからしばらく屋敷の中を探検した。二階は主寝室の他に長い廊下にズラリと客室が並んでいた。螺旋階段を降りて一階へ降りると、吹き抜けになった玄関ホールから右手側が広々としたリビングダイニングで左手側には、ビリヤードやダーツがある遊戯室と大浴場がある。

 大浴場を覗くと、まるで銭湯みたいな大きなお風呂があって、一面の窓から外の景色が見える。周りに誰も住んでいないからできる開放的なお風呂だけど、ちょっと恥ずかしい。

 リビングダイニングは主寝室の真下にあたり、丸く張り出した窓際にはソファとテーブルが置いてあった。陽当たりも良く、寛ぐには最適だろう。

 壁際には大きな煉瓦造りの暖炉もあって、冬は実際にそれで暖をとるんだよと、理人さんが教えてくれた。

 うろうろと屋敷の中を見て回っていると、物陰から海斗が飛び出してきた。

「あっ、恵介兄ちゃんみっけ!次鬼ね!」
「鬼?」
「そうだよ。みんなでかくれんぼしてるの!お二階はだめだからね!」
「わ、わかった」

 なるほど、確かに二階まで使ってしまったら、広過ぎてなかなか誰も見つけられない。

 海斗がきゃーと叫んで、走って逃げていく。その背中を見送って、仕方ないなと数字を数える。

「理人さんも隠れる?」
「いや、僕は君の傍にいる。何かあったら大変だ」

 理人さんは真剣な顔で言う。退院してからずっと過保護だ。もうなんともないのにな。心配してくれるのは嬉しいけど。

 適当なところで数を数えるのをやめて、海斗たちを探し始める。一度見て回ってきたのに、みんなの姿は見当たらなかったが、どこにいたんだろう?

「恵介くん、僕はみんなの隠れてそうなところがわかるけど、黙っていることにするね」
「本当に困ったら教えて」

 理人さんも敏雄さんとこうやって隠れんぼしたんだ、なんて想像すると面白い。

 主な部屋は回ったが、そういえば小さな扉は開けていないな、と廊下に面した木のドアを開けた。そこは備品が並ぶ小さな倉庫で、偶然にも葉一が隠れていた。

 いや、隠れているというか、床に座ってスマホをいじっている。

「葉一みっけ」

 そう言うと、葉一がチッと舌打ちした。悔しいならもう少しちゃんと隠れておけばいいのに、と思ったんだけど。

「やっと終わった?海斗たちが二階に行かないようにするの大変だったんだけど」

 なんて、冷たい顔で言われてハッとする。

「次からもう少し声抑えてくれる?兄さんのそういの聞きたくないんだけど」

 そう言って俺の横をすり抜けて倉庫から出て行ってしまった。急激に顔が熱くなる。

 ああああ、と情けない声をあげてその場にしゃがみ込む。理人さんの、あはは、という爽やかな笑い声にイライラした。
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