わがまま令嬢の末路

遺灰

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序章

第十五話 待望

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 義弟と図書室で話し合ったあの日から、彼の態度は私を慕うようなものになった。

 座学では分からないことはないかと優しい声色で尋ね、訓練では私をよく観察し改善点を手取り足取り教え、お茶の席では柔らかく甘ったるい視線で私を眺めていた。
 それに加えて食事の時間では家族の前で私を褒めるようなことまで言い出した。

 本当に勘弁してほしいですわ。都合が良すぎるのよ。

 義弟が私に対して好感を持っているのは、私を才能ある人間だと勘違いしてるのが主な理由でしょう。
 自分にとって価値があるからと手の平を返すなんて、自分本位もいいところだわ。

 才能がない者には見向きもしないどころか鼻で笑うような奴に好かれたところで、全く全然一ミリも嬉しくないです。
 義弟が心を開いたとか、懐いたとか考えることが出来ないのは今までの彼の性格上しかたのないことでしょう。

 前世で散々馬鹿にされてきたせいで、義弟の行動の全てが薄っぺらくて中身がないものに見える。
 私は義弟の本性を知っているのもあって、彼に親切にされている時の私の心情は毛虫を見ている時のそれと大差ない。

 確かに虐げられたのは前世の話ですが、彼は本質的に何も違わないのよ。
 前世でも義弟があの女に肩入れした理由はきっと、彼女が稀有な治癒魔法に適性を持っている人間だったからでしょうね。
 自分が才能があると判断した者には甘い蜜を、ないと判断した者には泥水を啜らせるような奴なんて普通に無理です。

 本能が義弟を全力で拒否してます。

 こうなってくると私に才能がないと分かった時に逆上しそうで怖いわ。
 勝手な理想を私に抱いて押し付けて、それが勘違いだと知った時にどうなるのか、本当に今から憂鬱でしかたないです。

 "毛虫"、……いやだわ、私ったら疲れているのかしら。"義弟"といることで精神的な苦痛に苛まれ続けていた私は、私宛に届いた手紙を衝動的に破り捨てたくなった。

『一週間後、君に会いに行く。もてなしは不要だ』

 その他にも色々と書いてあったが、最後に書かれていたその文に、私は手紙を燃やしてしまえばなかったことに出来るのではないかと一瞬本気で考えてしまった。

 どうやら運命は私のことが嫌いでしかたないようですわね。

 だいたい王子はひと月前に来たばかりじゃない。もしかして毎月こちらに来るつもりじゃないでしょうね。
 私は義弟から与えられるストレスだけで手一杯だというのに、さらにストレスの上塗りに来るなんて……割と本気で吐きそうですわ。
 この年で胃に穴が開いたらどうしましょう。

 でも流石に王族からの手紙を反故にすると後々面倒になるので、手紙の内容を母に伝え、私は王子が訪問するまでの数日を憂鬱に過ごすーーー


 ーーーのは、余りにも癪だったのでお菓子作りをすることにしました。

 父が数日前に他国へと出張したので、母は領地の管理について爺やと話す機会が増えましたし、将来家を継ぐことになっている義弟はその仕事を観察するように父から言われていた。

 つまり、今の私を止められる者は誰もいない。
 こんな絶好の機会、逃すわけがありませんわ!

 食事を作るのは料理人の役目。
 本来であればお偉い立場の貴族がキッチンに立つことはないし、料理をすること自体あまりいい顔をされない。
 でも私は将来あの子と一緒に暮らすのだもの。今のうちに料理について学んでおきたいわ。

「ということですので、私にクッキーの作り方を教えてくださいませ」

「いえ、あの、お嬢様?どういうことか、その…よく分からないのですが」

 いきなり厨房に現れた私に、料理長が慌てて対応する。
 しどろもどろになっている彼に少し申し訳なく思いつつも、私は考えていた言い訳を口にする。

「ほら、週末に殿下がいらっしゃるでしょう?
 だけど殿下は私たちのことをお考えになって『もてなしは不要だ』なんて仰るんです。私は、そんなあの方に何かして差し上げたくて……巷ではおもてなしをする際に手作りのお菓子を作ると聞いたので」

 ペラペラと嘘八百を並べる私でしたが、料理人たちは感心したような、嬉しそうな顔でうんうんと頷いて私の話を聞いている。
 なんだか嘘を吐いているのが心苦しいわ。少しは疑ってもいいのよ?
 お菓子作りを出来るようになりたいのは本心ですけど、それが王子あんなやつのためな訳ないじゃない。

 私の行動の基盤は全てあの子よ。
 美味しいお菓子を作れるようになれば、あの子のことを少しでも笑顔にできると思ったの。

 そのために王子には犠牲、ゴホン。言葉のチョイスが悪かったですわね。
 そう、王子には実験台……という名の味見係になってもらいますわ。

 失敗しても王子なら心が痛みませんし、成功して王子のお眼鏡に適えばあの子に食べさせても大丈夫な出来だという証拠になるはずだわ。
 あれでも王族ですもの。舌が肥えていることは分かっていますわよ。

 ふふふ、どいつもこいつもそんなに私を苦しませたいなら相応の対価を払っていただきますわ。
 余すことなく利用し尽くしてやりますことよ!

 私が心の中で高笑いしているとは夢にも思わない料理人たちは私の言葉を鵜呑みにしていたが、やはり令嬢の手を汚すのが心配なのか、迷っているようだった。

「これは私のわがままですので、全ての責任は私にあります。
 みなさんにご迷惑をおかけしているのは理解していますが、どうか私の願いを聞いてはくださりませんか?」

 ダメ押しとばかりに健気な表情を作って胸の前で手を組みながらお願いすれば、「まあ、それなら」と私の要望を受け入れてくれた。

 怪我をした場合もちゃんと自分で責任をとるわ。
 小さな怪我なら治癒魔法で治せますしね。
 流石に指を切り落としたりしたら治せないけど、クッキーってそんなに危険な工程はないわよね?
 生地を作って、形を整えて、そして焼く。という手順だと聞いたことがあるわ。

 料理に関する本とかが欲しいけれど、家にはないのよね。
 私が見たことのある本は学術書や魔術書がほとんどだし、その他は公的な記録をまとめてあるようなものばかりだもの。

 街に行けば本屋があるでしょうけど、たかが本のために外出の許可が出るとは思えないし、そもそも料理についての本なんて買ったのが母に露見すれば、確実になにかしら言われるわ。
 それに買い物なら使用人が済ませてしまうし、わざわざ私が街に行く理由には弱い。

 それなら使用人に頼めばいいと思われるだろうが、秘密裏に頼れるほど信用に値する使用人はいない。
 母に告げ口をしたり、他の使用人に"うっかり"口を滑らさない使用人なんているかしら。
 いえ、絶対にいないわ。
 誰にも何も言わない口の堅い人を見つけるなんて土台無理な話。人の口に戸は立てられないものよ。

 もしそんな善人がいたら、無駄だと分かっていても真っ先にあの牢獄に向かってるわよ。

 一人で自由に外を歩けないのは億劫ね。
 外が危険なのは分かるけど、外出する際はどこに行くのも従者を連れなくてはいけないなんて。
 そんなの、常に監視の目があるのと同じだわ。

「では、先ずは生地を作りましょう」

 私は余計な考えをとりあえず頭の隅に追いやって、料理人たちの指示の元、クッキー作りを開始した。

 ***

「まあ!本当にクッキーになったわ!」

 オーブンから見慣れた形のクッキーが出てきた私は、感動で目を輝かせていた。
 初めてにしては上出来であろうそれに、私の気分は高揚する。
 生地を作ったり、型抜きするのも新鮮で楽しかったわ。手順を忘れないうちに書いておかないと。

「生地を練り過ぎると仕上がりが悪くなるので、
 そこのところは注意した方が良いかと」

 私がメモを取っていれば、料理長はその他の注意点やアドバイスなどを料理を全く知らない私にも分かるようにゆっくりと教えてくれた。
 なるほど、美味しいお菓子の裏側はこうなっていたのね。

 練習のためにたくさんクッキーを焼いたので、その後も料理人の方たちと作ったクッキーを食べながら沢山お話しました。
 料理のお話はとても興味深くて、あの味はたくさんの努力の末に完成したものだと思うと、感慨深いものがあります。

 久しぶりの楽しい時間に癒されていれば、そろそろ母たちの仕事が落ち着く時間になっていた。

「今日は本当にありがとうございました。とっても有意義な時間でしたわ。
 明日は私一人で作れるように頑張りますね!」

 私は「え?!明日も来るのですか?!」と驚いている料理長にいい笑顔で返事をしながら、彼らの返答を待たずに「それでは失礼しますわ。ごきげんよう」と速足で厨房から去った。

 勝手な約束を取り付けたことに満足しつつ私が自室に向かっていれば、後ろの方から私を呼ぶ声が聞こえた。
 せっかくのいい気分が急速に萎えていくのを感じて嫌になる。

「姉さん、お暇のようなのでこれから僕とお茶でも、
 ……おや?それは、クッキーですか?」

 義弟は余計な一言と共に私をお茶へと誘ってくる。
 習慣化しかけているそれに、内心でげんなりしつつも、私はふとあることに気が付いた。

 ……そう言えば舌が肥えているであろう貴族がここにもいましたわね。

「ええ、お茶用に少し頂いたんです。食べてみますか?」

 私は義弟の舌も利用しようと企んで、クッキーを一枚差し出す。
 義弟はなんの疑いもなくクッキーに手を伸ばしたーーと思ったら、私の手首を掴んでそのまま私の指に摘まれたクッキーを口に含んだ。


 義弟を殴らなかった私を誰か褒めてちょうだい。
 もういやよ。本当にやってられないわ。

 義弟に利用価値がなかったら良かったのに、と心底思ったが現実はいつだって非情である。
 言葉にできない嫌悪感と悪感情に全身が粟立つのを感じながら、私はせり上がる吐き気と頭痛による眩暈になんとか耐えていた。

「このクッキー、なんだかいつもより口どけが悪くないですか?」

 ぶん殴ってやろうかしら。

 いえ、落ち着くのよ私。
 つい反射的にそう思ってしまいましたが、これは正当な評価だわ。
 例え精神的な苦痛を与えられたからと言って、評価が悪かったことに腹を立てるべきではないと知っているはずよ。
 これが今の私の実力なのだから、受け入れなくては駄目。さあ、その拳を収めて。

 私は脳内で深呼吸を何度も繰り返してから、私の手首を掴む義弟の手をどける。

「それ、私が作ったのよ。でもお口に合わなかったみたいね」

 なんとか表情を崩さずにそう言えば、義弟はあからさまに狼狽え始めた。
 別に怒ってはいないのよ。ええ、全く。
 確かに平手打ちの一つでもくれてやろうと思ったけれど、それは先ほどの行為のせいですし。
 評価は甘んじて受け入れるわ。

「あ、いや!さ、さっきのはたまたまだったのかもしれませんし、もう一枚頂ければ」

「いいのよ。初めて作ったものだし、これは私一人で食べるわ」

 意図せず誘いを断る口実ができたのは良かったですわ。
 私は「それでは」と、さっさと自室に向かおうとした。が、行かせてくれないのが義弟という人間です。

 毎度の如くしっかりと掴まれている手首に辟易としながら義弟を見れば、彼は焦りつつも頬を赤くして、どこか嬉しそうな表情をしていた。

 いや、なんでですの?

 私が義弟の訳の分からない様子に困惑していれば、義弟は小さい声で何かを言った。
 聞き取れなかったので「いま、なんて?」と聞き返せば、義弟は更に顔を赤くする。

 やめてほしいわ。本当にキツイです。

「その、つまり…貴方の初めての経験を、いただけたのだと思うと……嬉しくて」

 気持ちの悪い言い方をしないでほしいわ。

 でも、義弟にそう言われると後悔しかない。初めてでも、不出来でも、あの子なら美味しいと言ってくれたかもしれないのに。
 あの子は、完璧じゃない私を受け入れてくれる優しい人なのに。

 ああ、最悪の気分だわ。

「でも、何故わざわざクッキーを?」

「……殿下に、渡そうと思ったんです」

 あの子のためにお菓子作りができるようになりたいのが本当の理由ですけど、王子に渡そうとしているのは事実よ。
 嘘は言ってないわ。

「殿下のため、ですか」

 義弟は不機嫌そうに呟くと、私を掴んでいる手の力を強める。
 しかし数秒ほど何かを考えたかと思うと、すぐに見慣れたあの優越感を感じている時のような得意げな顔になった。
 なにを考えたかは知りませんけど、勝手に自己完結して全部自分の都合のいいように解釈するような義弟に私の我慢は限界だった。

「手、離してくださる?痛いわ」

「あっ、すみません」

「私、今日はもう疲れたの。失礼するわ」

 背後から聞こえた私を呼び止めようとする義弟の声に聞こえないフリをして、私はそのまままっすぐ自室へと戻った。

 ***

 私はーー主に義弟のせいでーー疲弊した精神を癒すようにベッドに飛び込む。
 漏れ出そうになる声を押さえるためにクッションに顔を押し付ければ、深い溜め息が漏れた。

 貴方に初めてのクッキーを捧げたくて捧げたわけじゃないわよ!味見に使えるかもしれないと思っただけですわ!
 勝手に舞い上がって馬鹿みたいだわ天才の癖に。それに本当の初めては料理長と料理人の方たちですし!貴方じゃないわよ!

 私は自身の胸の内で暴れる不満をぶちまけるように、ベッドの上でジタバタとはしたなく暴れた。
 しばらくそうしていれば、急に全てが馬鹿馬鹿しく思えてきた。
 私はいったい何をしているのかしら、と落ち着いてきた頭で考えつつ、仰向けになって天蓋を見上げる。

 私としたことが、義弟にここまで心を乱されるなんて一生の不覚だわ。
 それもこれも義弟があんな言い方するからよ。今思い出しても嫌すぎて涙が出そう。

 私の全てはあの子のものだもの。
 それなのに私からあの子への想いを、さも自分のためみたいに言って……勘違いも甚だしい。
 私の気持ちを土足で踏み荒らされているような気分だわ。

 私は残りのクッキーに手を伸ばして乱暴に口に放り込むと、ストレスをぶつけるように噛み砕いて飲み込んだ。
 罪のないクッキーに当たってしまったことに少しの罪悪感を覚えつつも、その甘く優しい味は私を幸せな気分にしてくれる。

 そうだわ、初めてのクッキーがなによ!
 私はあの子には一番美味しいクッキーをあげるんだから!

 もう初めてのクッキーはあげてしまったので仕方ない。
 でも今度から何かを初めて作る時はあの子と一緒がいいわ。そうよ、そうすれば私の初めても全部あの子と共有できるじゃない。
 それに、あの子はお菓子作りはしたことがないようだし、あの子の初めての"楽しい"も一緒に経験できて一石二鳥じゃない!

 ……あ、でも、あの子は楽しいと思ってくれるかしら。
 私はあの子と一緒なら、きっと料理の時間はもっと楽しいものになると思うけれど、あの子はどうかしら。
 楽しいと思ってくれたらいいな。だって私はあの子と一緒にたくさん楽しいことがしたいのだもの。

 今度はもっとたくさん、あの子の笑っている顔が見られたらいい。

 私はその後、あの子と会えたら何をするのかを考えて時間を過ごした。
 それだけで私の中にあったストレスは萎んで、頭の中はあの子でいっぱいになって心は満たされていく。
 我ながら単純な頭をしているものだ、と笑えるくらいには私の精神は落ち着きを取り戻していた。

 あの子という希望があれば何だって頑張れる気すらする。
 それに、ストレスだらけの日々はあと少しの辛抱だもの。

 ああ、楽しみだわ。


 だって、もうすぐ会えるはずだから。


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