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黒い肌.......それが最初の婚約者への第一印象だった。彼の国は気温が高い国だったから当たり前なのだが。
そして、兄弟を殺しただけ合って冷たい印象を受けた。

兄弟を殺したと言うのは、彼の国では産まれた順で王位継承権が決まるのではなく、能力で決まる仕組みだから。要するに兄弟で殺し合えと言う事。彼は5人兄弟の4男でありながら、次期王になった。

あの時の私は1番、婚約や結婚に憧れを持っていた。

私はこの方と夫婦になるのだ!!と思い、幸せな未来を夢見ていた。

「初めまして、私は砂の国の次期王のロイ・フィリッピと申します」

こんな感じで彼は私に対して愛を囁く訳でもなく、淡々としていた。2人っきりでもこんな感じだし........敬語は絶対外さないし.......

そう言えば、私はお兄様に彼の事を相談した事が合った。私の理想、幻想の考えを相談していた事が合った。お兄様は私と歳が少ししか変わらず、話しやすかったから。
それにお兄様と彼は友人だったので、最初の婚約者の好みなどはなんでもお兄様に聞いた。

彼は私に何も言って下さらなかったが、渡した物などを喜んでくれていたそう。


しかし、夫婦になるのだから「ああして欲しい、こうして欲しい」など色々と意見をぶつけ合い、そしてプレゼントを渡したら感想を言うものだと思っていた私にとって、彼は少しだが不満を思ってしまう人だった。

今思うと所詮、政略結婚。自国の為に何も思うな。としか思えないのだが......


この時の私は世界はお菓子と花とお日様で出来ていると信じて疑わなかった。ましてや、殺生など御伽噺.....と思っていた。だって、見た事もなかったから。まぁ、この婚約が意味の無いものになった時には殺生が段々と身近になるのだが......



なんやかんや幸せな日々は直ぐに終わりを告げてしまった。彼が亡くなったのだ。

彼が亡くなったのは暑い夏の日。彼の国の砂の国の貴族......彼の兄弟の第1王子派の過激派が彼を殺した。


そして、砂の国は次期王の暗殺により貴族や民は混乱してしまい、政治は乱れ、反乱が起き......と大変な事になった。

最終的に砂の国は隣国から攻められて国は滅び、隣国の領土になってしまった。
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