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第1章:夏休み
第19話 アレがない虚無感・喪失感。
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こっそりと、母娘の背後へ回った。たったいま自分もきたばかりで、これから身体を洗おうとするかのように、真後ろへ陣取って蛇口を捻る。向かい合った二枚の鏡越しに、彼女の裸体をじっくりと堪能した。鏡越し+湯気のせいで、あまりよくは見えない。何度も曇った鏡面を擦《こす》る。
胸のふくらみは感じられず、陰毛も一見したところ生えてなさそうだった。おそらく、芽衣と同じくらいの年齢だろうか。彼女と目が合った俺は、反射的に逸らしてしまう。「ねえねえ。きみもこれから入るの?」
彼女のほうから話しかけられ、俺は身体を硬直させる。そうだ俺はいま、この子と同じJSだ。俺が頷くと、嬉しそうな声を出す。「初めて同い年くらいの子と会った! 近所の人?」
再び俺が頷くと、さらに嬉しそうな声で質問する。「何年生? ここ初めて?」
「五年生……えっと。前に一回だけ」
入れ替わる前、芽衣を連れてきたことを思い出しながら回答した。するとその子は、また嬉しそうな声になって言う。
「ユウも小五!」YOU? あ、この子の名前かな。「なに小?」
「に、西小……」だったよな?
芽衣の学校を思い出しながら、俺は慎重に答えた。「そうなんだ! ユウは東小だよ!」
そうか。家は近くても、違う学区になるのか。久しぶりに、見ず知らずの他人(しかも少女! しかもすっぽんぽんの!)と会話をして、少しだけこっちも楽しくなってきた。何回かラリーをしたところで、隣りの母親が、シャンプーを洗い流し終えたようで、長い髪を振り乱しながら顔を上げる。三十代くらいだろうか、豊満なバストがブルンっと揺れた。
「あら? お友達?」
「うんっ! いま友達になった!」
身体を洗ったあと、一人称がユウの子に手を引かれ、俺は湯船へと向かった。目の前にいるのが男とは露知らず、無邪気にも陰部を晒している。俺を女の子と信じて疑わないユウは、肩が触れ合うような近距離で、いろいろな楽しそうに話をしていた。それどころではない俺は、バレないよう、視線を下方へと向ける。
ユウを挟んだ向こうには、ぷかぷかと浮かぶ巨乳が目に入った。でもやっぱり、目の前のちっぱいのほうが、興奮度は高い。それに加えて、繋いだ手の感触が忘れられなかった。その手で俺は堪らず、陰茎があった場所へ手を伸ばす。そこで虚しく、空ならぬお湯を切った。
我に返った俺は、ユウの話に適当に相槌を打ちつつ、仕方なくクリトリスを触る。湯船に肩までつかって見えないよう乳首まで弄くったが、どうしても絶頂までは到達しなかった。次第にのぼせてきて、ユウに「先に上がるね」と言って、俺は湯船を出る。ユウは寂しそうに「またね」と手を振っていた。
あれこれと脱衣所で考え込む。どうしてだろう、興奮はしているのに。服を着終わったあと、出入口へ向かいかけて、はたと俺は足を止める。
やっぱり男として射精をしたかったのだろうと、長いこと男をしてきた俺は思った。女の子の身体でオナニーするのは気持ちいいが、自分も女の子になっているせいか、ほかの女の子の裸で満足にはイケないような気がする。なにより、男としてのエクスタシーのほうが馴染み深いし、一回での満足感は確かにあった。
なんだか、急激に男の身体が心寂しく思えてくる。暖簾を潜ると、芽衣が女湯の前で待っていた。出てくる人たちが、怪訝な表情を俺の身体(中身は芽衣)のほうへ向けている。
「ごめん、遅くなって」
疲弊しきった様子の芽衣へ、アイスを奢ってやる。といっても、いまは芽衣の財布だが。家が近くなってきたころで、芽衣の足取りが重くなってくるのを感じた。
「あの……!」意を決したように、芽衣が口を開く。「元の姿に戻りたいです」
どうやら、同じ気持ちだったらしい。そのためには。女の子の身体にも未練はもちろんあるが、俺は提案することにした。「まず、どうしてこうなったのか、その原因を調べなくちゃな……」
芽衣は笑みを浮かべて頷く。「はい」
胸のふくらみは感じられず、陰毛も一見したところ生えてなさそうだった。おそらく、芽衣と同じくらいの年齢だろうか。彼女と目が合った俺は、反射的に逸らしてしまう。「ねえねえ。きみもこれから入るの?」
彼女のほうから話しかけられ、俺は身体を硬直させる。そうだ俺はいま、この子と同じJSだ。俺が頷くと、嬉しそうな声を出す。「初めて同い年くらいの子と会った! 近所の人?」
再び俺が頷くと、さらに嬉しそうな声で質問する。「何年生? ここ初めて?」
「五年生……えっと。前に一回だけ」
入れ替わる前、芽衣を連れてきたことを思い出しながら回答した。するとその子は、また嬉しそうな声になって言う。
「ユウも小五!」YOU? あ、この子の名前かな。「なに小?」
「に、西小……」だったよな?
芽衣の学校を思い出しながら、俺は慎重に答えた。「そうなんだ! ユウは東小だよ!」
そうか。家は近くても、違う学区になるのか。久しぶりに、見ず知らずの他人(しかも少女! しかもすっぽんぽんの!)と会話をして、少しだけこっちも楽しくなってきた。何回かラリーをしたところで、隣りの母親が、シャンプーを洗い流し終えたようで、長い髪を振り乱しながら顔を上げる。三十代くらいだろうか、豊満なバストがブルンっと揺れた。
「あら? お友達?」
「うんっ! いま友達になった!」
身体を洗ったあと、一人称がユウの子に手を引かれ、俺は湯船へと向かった。目の前にいるのが男とは露知らず、無邪気にも陰部を晒している。俺を女の子と信じて疑わないユウは、肩が触れ合うような近距離で、いろいろな楽しそうに話をしていた。それどころではない俺は、バレないよう、視線を下方へと向ける。
ユウを挟んだ向こうには、ぷかぷかと浮かぶ巨乳が目に入った。でもやっぱり、目の前のちっぱいのほうが、興奮度は高い。それに加えて、繋いだ手の感触が忘れられなかった。その手で俺は堪らず、陰茎があった場所へ手を伸ばす。そこで虚しく、空ならぬお湯を切った。
我に返った俺は、ユウの話に適当に相槌を打ちつつ、仕方なくクリトリスを触る。湯船に肩までつかって見えないよう乳首まで弄くったが、どうしても絶頂までは到達しなかった。次第にのぼせてきて、ユウに「先に上がるね」と言って、俺は湯船を出る。ユウは寂しそうに「またね」と手を振っていた。
あれこれと脱衣所で考え込む。どうしてだろう、興奮はしているのに。服を着終わったあと、出入口へ向かいかけて、はたと俺は足を止める。
やっぱり男として射精をしたかったのだろうと、長いこと男をしてきた俺は思った。女の子の身体でオナニーするのは気持ちいいが、自分も女の子になっているせいか、ほかの女の子の裸で満足にはイケないような気がする。なにより、男としてのエクスタシーのほうが馴染み深いし、一回での満足感は確かにあった。
なんだか、急激に男の身体が心寂しく思えてくる。暖簾を潜ると、芽衣が女湯の前で待っていた。出てくる人たちが、怪訝な表情を俺の身体(中身は芽衣)のほうへ向けている。
「ごめん、遅くなって」
疲弊しきった様子の芽衣へ、アイスを奢ってやる。といっても、いまは芽衣の財布だが。家が近くなってきたころで、芽衣の足取りが重くなってくるのを感じた。
「あの……!」意を決したように、芽衣が口を開く。「元の姿に戻りたいです」
どうやら、同じ気持ちだったらしい。そのためには。女の子の身体にも未練はもちろんあるが、俺は提案することにした。「まず、どうしてこうなったのか、その原因を調べなくちゃな……」
芽衣は笑みを浮かべて頷く。「はい」
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