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2章 魔法と剣術

15.麗しの王妃様 Part2

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サロンが三日後に迫ったその日。ロルフとノアからとんでもない情報を得た。

「えええ、オルティス公爵家の後継ぎも参加するの!?」
「ああ、父上と部下たちが話してるのを聞いたんだ。確か名前は……。」
「レイモンドだよ。分家から引き取られたらしいね。後継ぎをお披露目ってわけ。」

嘘でしょう?こんなに早くに会うことになるなんて……。ますます行きたくなくなったんですけど。

「どうかしたのか、ロゼリア。」
「う~ん……。」
「まあ、僕たちはあんまり関係ないけどロゼリアは侯爵令嬢だからね。仲良くしてくれ、なんて紹介されるかもね。」
「マジかよ。めんどくさそう。まっ、頑張れよ。」

えええ、そんなあ……。正直乙女ゲームとか関係なく、自分よりも位の高い公爵子息の相手なんてめんど…いや、荷が重すぎる。

「いや、でもよく考えたら、他の公爵家にも令嬢はいるじゃねえか。ミラニウス侯爵家のアリアナ嬢やらウェンディス公爵家のマーガレット嬢とか。」
「確かにそうね…。」
「いや、あの二人だけはないよ。」
「何でだよ。」
「だってあの二人……ものすごく目立つし。悪い意味でね。」
「悪い意味…?」
「うん。あの二人はいつも競い合ってるからめちゃくちゃ仲悪いよ。子どもの癖にすごくメイクが濃いし、香水も付けすぎでしょ。あと髪の毛はドリルかってくらいグルングルンだし。正直オルティス公爵が近づけないと思うよ。」
「噓だろ?」

私は思わず心の中でギクッとした。実は半年くらい前の私もドリルちゃんだったんですよお二人さん…。

「どうしたんだよロゼリア。さっきからぼーっとして。」
「実はね、お二人さんよ……。」
「「うん?」」
「私も半年くらい前までは、ドリルちゃんだったのよ……。」
「「ぶーーーーーーーっ!!!」」

二人は見事にお茶を吹き出した。

「えええ!?噓だろ!あははははは!」
「呆れを通り越して笑えてきたよ…。ぷっ。」
「何でそんなに笑うわけ?」
「い、いや、想像しただけで笑いが止まらねえ!」
「まさに悪者じゃん!」
「な、何ですってええ?」

いや、二人ともひどすぎでしょう?誰が悪者ですって?ドリルちゃんの私も、かわいかった、はず、…よ?うん、もう一生ドリルにはしないわ。それと二人とも、いつまで笑ってるのかしら?本当に嫌になるわ。

三日後のサロン、何も起こりませんように。
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