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2章 魔法と剣術

12.お忍び

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実は先日、ロルフとノアが家に遊びに来たときに、街にお忍びに行かないかと誘われた。もちろん、前から街に行きたかった私は誘いに乗った。

「シャルロッテ、この服どうかしら。」

このお忍びのために、商人を呼び可愛いレースがついた白いワンピースとつばの広い帽子を買った。きっと周囲の人たちは裕福な商家の娘だと思うだろう。

「お嬢様、とってもお似合いですよ!」
「ふふふ、ありがとう。」
「門の前でお二人がお待ちです。今日はいつもより小さい馬車での移動でございます。」

門の前には小さな馬車が止まっており、そこにはロルフとノアがいつもより簡素な服装で待っていた。

「お待たせしたわね。」
「別に…。」
「お待ちしたぜ~オジョウサマ。」
「……ロルフ、そこは嘘でも待ってないというところよ。」
「まあまあ。ロゼリア、その服似合っているよ。」
「まあ、ありがとうノア。ノアとロルフも似合っているわよ。」

早速、私たちは馬車に乗って移動した。馬車に揺られて30分ほどすると、窓から賑やかな声が聞こえてきた。

「まあ、凄い!」

馬車を降りて、街を見渡すとそこには前世で言うヨーロッパのような風景で、レンガ造りの可愛らしい建物がたくさんあった。街は人で溢れかえっており、たくさんの屋台やお店が並んでいた。

「ここが王都のシャルライドだぜ。すげーだろ。」
「何か食べ物食べに行こうよ。」
「ノアよ、お前は食べ物しか興味がないのか?」
「いいじゃない!あ、あそこの串焼きはどうかしら!」
「お前もか。はぐれんなよー」

早速、串焼きを三人で買って食べた。こうしていると、前世では平民同様の暮らしをしていた私には懐かしくて仕方がない。

「それにしてもロゼリアってこういうの慣れているんだね。」
「?」
「確かに。普通のそこらの令嬢だったら串焼きだなんて嫌がるぜ。なんたって大口開けて食べないと行けないからな。」

あっ、まずいわ。つい前世のように躊躇いもなく食べてしまったわ。

「でも、挑戦するのは大事なことでしょう。しかも、こんなにおいしいのだし。」
「まあな。」

その後、私たちは色々と街を見て歩いた。私はアクセサリーなどを取り扱っている店で、自分の瞳と同じ翡翠色のガラス玉が付いたネックレスを購入した。宝石はいくつも持っているが、これはこれでとても美しいと思った。

「今日は楽しかったわね。」

私がしみじみと呟くと、ロルフはふっと笑った。

「また3人で来ればいいだろ?なあ、ノア。」
「うん。僕も楽しかったよ。」

そうやって私たちは夕日で赤く染まった空を眺めながら笑い合った。私は転生してから初めて気を張ることがなく心の底から笑うことができた。その日は何度も悪役令嬢ではなくて、ずっとみんなで仲良く幸せに笑っていたいと思った。
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