天笠鈴音のちょい話

幼馴染の恋（?）

私の幼馴染にモテ期到来!?

　「マジで好きバレする人とかいるんだ…」
　しんっと静まった教室の中で、誰かの声が届いた。
右を見れば、困惑した顔の女子。
左を見れば、うずくまった男子。
さて、間に挟まれた私は、どうしたらいいんだろう?



　時は昼休みまで遡る。
　私こと天笠鈴音と幼馴染である有栖山美空は、いつものように、教室の後ろで話していた。授業で分からなかった所を教え合ったり、部活の話をしていた。そんな時、聞こえてきた声があった。
「お前、吹部で、このクラスの女子だったら、1人しかいねーじゃねーか!」
あまりにも大きな声でビックリして、その声が聞こえてきた方を向いた。

　詳しく話を聞いていたら、なんと、うずくまった男子、石見蓮也の好きな人がバレたみたいだった。聞こえてきた情報だけでも、当てはまったのは、美空だった。美空は、吹部のトランペット担当で、トランペット以外にも、多様な楽器を使うことができる。勉強もできる。性格も優しい。そして、可愛い。ほんっとに可愛い。男子から見たら、多分、1番彼女になってほしいと思うくらいな女子だった。
　美空は、困惑した顔になると、蓮也に向かって話しかけた。
「ごめんなさい。今は誰とも付き合う気はないの。」
私は、思わずビックリして、美空の方を向いた。少し前まで、「私も青春したい!」と話していたのに…
「私もいろいろ考えて見たんだけど、青春って恋愛だけじゃないと思うんだ。私は、ただ、鈴音達と他愛ないことを話たり、遊んだり、テストの点勝負とかで本気になったりしていたい。そして、大人になった時に思い返して、楽しかったって思えるようになりたいんだ。」
　私は、驚きつつも、とても嬉しかった。
どこからか、羨ましそうな視線が刺さる。美空は気がついているのかな?でも、ごめんね。蓮也達男子には悪いけど、今、側にいれるのは、幼馴染で親友の私だけの特権。

　でも、いつかは美空に合う彼氏ができたらいいな。
そう思いながら、また、私達は、話し始めた。