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 ゆっくりと反応を見ながら、確実に美花を高めようとする一つ一つのストローク。

 持ち上げられた脚には力が入らないが、感じるところを探られる度、ビクン……と丸めた爪先が宙を蹴る。


 「あ、やだ……、そんなこと、しないで…… 」

 「どう、して? 」

 「がま……、出来なくな……っ 」

 泣きべそをかきながら首を振ると、ペロリと頬を伝う涙を舐められた。


 「我慢出来なくなっちゃ、駄目なの? 」


 ーーー上のお口は、あんなに美味しそうに食べてたのに?


 言われて美花は、涙が辺りに散る程にもっと首を振る。


 「だって、あれは、橘さんが、悦くなるようにっ……て。でも、こんなの……は、軽蔑されちゃう。嫌われちゃ…… 」

 「……嫌われちゃうと思うくらいに、感じてるんだ 」


 浩峨の口唇が、柔らかに緩んだラインを描く。

 「じゃあ、何も考えられなくしちゃえばいいんだね? 」

 「え…… 」


 潤む瞳で見上げると、台詞と合わない声と顔で、優しく綺麗に微笑まれて戸惑う。

 「取り繕えなくなるぐらい、はしたないとこ、……俺に見せて? 」


 まだ濡れてキラキラと輝く黒髪、頬を伝う汗、見つめてくる深みを帯びて飴色に光る、静かな黒色の瞳。

 見惚れていると吸い込まれそうになって、そのまま口付けられた。


 しっとりと何度も重ね合わせて、はじめは優しいと思っていたそれは、揺らす腰とともに段々に貪るようなものへと変わっていく。

 「んっ、んんっ…… 」


 息継ぎもさせて貰えず、頭がグラグラする程揺す振られて、彼という波に飲まれる。
 このまま行ったら、どうなってしまうのだろう。

 すごく怖くて……、でも求めてしまう。その先を、もっと知りたいと思ってしまう。

 行き過ぎる快感に、涙を滲ませて瞳をギュッと瞑ると、宥めるように髪をかき上げ、耳の裏を擽られた。


 「気持ちいい? 」

 聞かれてコクコクと頷くと、上からクスリ……と笑い声が聞こえた気がした。


 「それじゃあ、大丈夫だ…… 」

 言われた次の瞬間、あんなに凄いと思っていたのに、それまで手加減されていたことを身を持って知る。奥の奥まで容赦なく貫かれる動きに、瞼の裏に火花が散った。

 堕ちる、堕ちてしまう……。


 この間、初めて触れられた時のように……。いや、この間よりももっと深いところまで。

 喉から迸るのは、叫び声ではなくてあまい嬌声。

 背中に手を回して爪を立ててしがみつけば、強く抱き締め返されて、美花は自分の中で芽生えた思慕と恋情が、濁流となって浩峨に向かっていくのを感じていた。









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