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File03. 消えた目撃者
01. ぎこちない朝
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俺は何とか冷静になろうと、深呼吸を繰り返した。けれど、隣で穏やかな寝顔を見せる廉を見た途端、昨夜の出来事が頭を駆け巡る。記憶の断片が鮮明すぎて、胸の奥がざわついた。
「……俺、どうすればいいんだ……」
頭を抱え、何度も自分に問いかける。それでも答えは出ず、悶々としていると、隣で布団がわずかに動いた。
「……おはよう。」
寝ぼけたような声で起きた廉が、伸びをしながら俺を見てきた。その穏やかな笑顔に、昨夜の情景がフラッシュバックして、顔が熱くなる。
「あ、悪いな。昨日、無理させたか? 腰とか痛くないか?」
「なっ…!」
あまりに普通の口調で言われたものだから、動揺が隠せず、思わず布団を引っ張り上げて顔を隠した。
「お前…なんでそんな平然と話せるんだよ!」
「いや、そりゃ平然とするだろ。俺は嬉しかったし。」
「……は?」
布団の中で固まる俺に向け、廉は悪びれもせず言葉を続ける。
「お前とできて、嬉しかったってこと。俺はちゃんと、お前が好きだから。」
「……!!!」
顔がますます熱くなる。心臓がやたらとうるさい。俺は思わず布団を強く握りしめた。
「はぁ!? お、お前はいいのかよ!相手は男なんだぞ、俺は!」
「いいさ。」
廉は、少しも揺るがない声で答えた。
「歩夢なら、俺は全然抱ける。そう思えるくらい好きなんだ。もう今さら隠す気もないしな。一線超えちゃってるし。」
その真っ直ぐな目と言葉に、俺は何も言い返せなくなった。ただ、布団越しに視線を感じるたび、心がざわつき、動揺が波のように押し寄せる。
どうしようもなく真剣な廉の声が、心の奥に響いていた。
(なんで俺…こいつにドキドキしてるんだよ。好きだけど…これって、いやいや、恋じゃねぇし!)
俺は布団の中で思考を巡らせていたが、次の瞬間、自分を冷静に保とうと慌てて話題を変えた。
「あ!? そうだ!鳥山さんの事件はどうなった!?」
「安心しろ。」
廉は余裕たっぷりに微笑むと、俺をじっと見つめた。
「俺が解決しておいた。」
「は?」
何がどう解決したのか聞きたかったが、その余裕の表情に圧倒されて言葉が出ない。すると、廉は突然俺の肩をぐっと引き寄せ、そのまま唇を塞いできた。
「んっ…まっ…!」
驚きのあまり抵抗するが、廉はまるで気にせず、俺の口内に舌を滑り込ませる。
「舌…熱い…」
頭が真っ白になる感覚に、身体が固まる。だけど、その瞬間。
「おーい!お前たち、具合はどうだ――」
突然、部屋の扉が開き、松本刑事が飲み物を持って現れた。その目に映ったのは、裸の俺たちがキスをしている光景だった。
松本刑事は一瞬動きを止めると、ぼそりと呟く。
「すまん……邪魔したな。最近の高校生は進んでるな。」
「ちょっ!待って!!」
俺は急いで布団を引っ張り、体を隠す。顔が燃えるように熱い。
「いや、これは違うんです!そんなんじゃなくて!」
「ふーん。そうかそうか。ま、元気ならいいがな。」
松本刑事は薄く笑みを浮かべ、特に詮索することなくその場を去った。
「……なぁ、廉。」
俺は布団をかぶりながら、廉を睨みつけた。
「お前のせいで、俺の人生がどんどんおかしくなっていくんだけど」
「いいじゃん俺たちらしいだろ?」
廉は悪びれた様子もなく笑顔を見せる。その余裕に腹が立ちながらも、どこか安心する自分がいるのもまた悔しい。
「これから俺…廉とどんな顔して、生きて行けばいいんだよ。」
俺は恥ずかしくなりもう一度深く布団を被り
目をぎゅっと瞑った。
「……俺、どうすればいいんだ……」
頭を抱え、何度も自分に問いかける。それでも答えは出ず、悶々としていると、隣で布団がわずかに動いた。
「……おはよう。」
寝ぼけたような声で起きた廉が、伸びをしながら俺を見てきた。その穏やかな笑顔に、昨夜の情景がフラッシュバックして、顔が熱くなる。
「あ、悪いな。昨日、無理させたか? 腰とか痛くないか?」
「なっ…!」
あまりに普通の口調で言われたものだから、動揺が隠せず、思わず布団を引っ張り上げて顔を隠した。
「お前…なんでそんな平然と話せるんだよ!」
「いや、そりゃ平然とするだろ。俺は嬉しかったし。」
「……は?」
布団の中で固まる俺に向け、廉は悪びれもせず言葉を続ける。
「お前とできて、嬉しかったってこと。俺はちゃんと、お前が好きだから。」
「……!!!」
顔がますます熱くなる。心臓がやたらとうるさい。俺は思わず布団を強く握りしめた。
「はぁ!? お、お前はいいのかよ!相手は男なんだぞ、俺は!」
「いいさ。」
廉は、少しも揺るがない声で答えた。
「歩夢なら、俺は全然抱ける。そう思えるくらい好きなんだ。もう今さら隠す気もないしな。一線超えちゃってるし。」
その真っ直ぐな目と言葉に、俺は何も言い返せなくなった。ただ、布団越しに視線を感じるたび、心がざわつき、動揺が波のように押し寄せる。
どうしようもなく真剣な廉の声が、心の奥に響いていた。
(なんで俺…こいつにドキドキしてるんだよ。好きだけど…これって、いやいや、恋じゃねぇし!)
俺は布団の中で思考を巡らせていたが、次の瞬間、自分を冷静に保とうと慌てて話題を変えた。
「あ!? そうだ!鳥山さんの事件はどうなった!?」
「安心しろ。」
廉は余裕たっぷりに微笑むと、俺をじっと見つめた。
「俺が解決しておいた。」
「は?」
何がどう解決したのか聞きたかったが、その余裕の表情に圧倒されて言葉が出ない。すると、廉は突然俺の肩をぐっと引き寄せ、そのまま唇を塞いできた。
「んっ…まっ…!」
驚きのあまり抵抗するが、廉はまるで気にせず、俺の口内に舌を滑り込ませる。
「舌…熱い…」
頭が真っ白になる感覚に、身体が固まる。だけど、その瞬間。
「おーい!お前たち、具合はどうだ――」
突然、部屋の扉が開き、松本刑事が飲み物を持って現れた。その目に映ったのは、裸の俺たちがキスをしている光景だった。
松本刑事は一瞬動きを止めると、ぼそりと呟く。
「すまん……邪魔したな。最近の高校生は進んでるな。」
「ちょっ!待って!!」
俺は急いで布団を引っ張り、体を隠す。顔が燃えるように熱い。
「いや、これは違うんです!そんなんじゃなくて!」
「ふーん。そうかそうか。ま、元気ならいいがな。」
松本刑事は薄く笑みを浮かべ、特に詮索することなくその場を去った。
「……なぁ、廉。」
俺は布団をかぶりながら、廉を睨みつけた。
「お前のせいで、俺の人生がどんどんおかしくなっていくんだけど」
「いいじゃん俺たちらしいだろ?」
廉は悪びれた様子もなく笑顔を見せる。その余裕に腹が立ちながらも、どこか安心する自分がいるのもまた悔しい。
「これから俺…廉とどんな顔して、生きて行けばいいんだよ。」
俺は恥ずかしくなりもう一度深く布団を被り
目をぎゅっと瞑った。
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