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File02. 九尾の呪い
03. 邪魔される熱
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しばらくして、パトカーのサイレンが遠くから聞こえ、何人もの警察官が駆けつけてきた。その中に、見覚えのある男性の姿があった。
「また、お前たちか。」
呆れたように口を開いたのは、先日の事件の担当をしてくれた松本刑事だった。
「松本刑事?」
「ったく、お前たちはどうしてトラブルばっかり持ち込むんだ。」
俺は鳥山さんの遺体に近づき、何か手がかりがないかと辺りを見回すが、胸の奥の熱が俺の思考を妨げる。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
息が荒くなってきた。体が重く感じる。
「おい、小僧、体調悪いのか?」
松本刑事が心配そうに声をかけてきたが、俺はそれを無視して、鳥山さんの周りをさらに見回す。
「廉、頼みがある。鳥山さんがここにいるってことは、この人と同じサークル仲間のさやかさんと日向さんがいるはずだ。アリバイを聞きたいから、二人を呼んできてくれないか?」
「それは構わないけど、お前、具合は大丈夫か?」
「大丈夫。許さねぇ……俺の前で、殺人をするやつなんて……絶対に、真実を見つけて……」
息が苦しくて言葉が途切れる。だが、その気持ちは揺るがない。今は何よりも真実を突き止めることが大事だと思った。
「はぁ…はぁ……」
廉は一瞬躊躇したものの、俺の真剣な表情を見てうなずき、さやかさんと日向さんを探しに走っていった。その背中を見送りながら、俺は改めて鳥山さんの遺体を見つめる。
「とりあえず……手がかりを見つけないと」
胸の奥に湧き上がる怒りを抑えきれない。鳥山さんの顔には、驚きと恐怖が入り混じったような表情が残されていた。
「歩夢、無理するな。お前が倒れたら、話がややこしくなるだけだ。」
松本刑事が俺に注意を促すが、その言葉に耳を貸す余裕はない。俺の頭の中は、鳥山さんの最後の言葉「九尾がいた」という謎でいっぱいだった。
(九尾……狐の妖怪だよな?でも、そんなの現実にいるわけがない……)
混乱する頭を抱えながら、俺はその場に膝をつく。だが、その時、鳥山さんの手元に何かが光っているのを見つけた。
「これ……なんだ?」
手を伸ばして拾い上げると、それは溶けたプラスチックの小さな欠片だった。何かの装飾品の一部だろうか?それとも何か特別な意味があるか?、
「刑事さん、これ……鳥山さんが握りしめていたみたいです。」
俺が欠片を差し出すと、松本刑事は真剣な表情でそれを受け取り、しばらく見つめていた。
「まぁ、一応これも鑑識に回すか。にしても…この男の焼けたあとなんかの模様みたいだな」
そう言って刑事が欠片をポケットにしまい込みながら腕のやけどを指摘する。、遠くから廉の声が聞こえてきた。
「歩夢、二人を見つけたぞ!」
廉がさやかさんと日向さんを連れて戻ってきた。二人はどこか怯えた様子で、互いに視線を交わしながら立っている。
俺は深呼吸をして、落ち着いた声で問いかけた。
「さやかさん、日向さんのアリバイを聴かせていただきたいです。僕たちと別れたあと、何をされていましたか?」
さやかさんは一瞬躊躇したものの、小さくうなずいて口を開いた。
「……えっと、私たちは殺生石の観光が終わったあと、近くのカフェで時間を潰していました。その後、鳥山さんが体調が悪いって言って一人でホテルに戻りました。それからは……日向くんとずっと二人で一緒にいました。」
日向さんもそれを肯定するように頷きながら続ける。
「はい、さやかさんとずっと一緒でした。それ以外の場所には行っていません。」
(2人にはアリバイがあるのか……)
頭を強く掻きむしり、考えを絞り出そうとするが、体の熱はどんどん酷くなっていき、推理どころではなかった。
「くっそ……九尾を見たって、どういうことだよ……はぁ、はぁ……くっそ、鎮まれっての……!」
吐き出すように苛立ちを言葉にしながら、俺は抱きしめるように両手で自分の腕を支える。胸の奥から湧き上がる熱が、思考を曇らせ、ただでさえ乱れた呼吸をさらに苦しくさせる。
「絶対に見つけてやる。犯人を」
「また、お前たちか。」
呆れたように口を開いたのは、先日の事件の担当をしてくれた松本刑事だった。
「松本刑事?」
「ったく、お前たちはどうしてトラブルばっかり持ち込むんだ。」
俺は鳥山さんの遺体に近づき、何か手がかりがないかと辺りを見回すが、胸の奥の熱が俺の思考を妨げる。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
息が荒くなってきた。体が重く感じる。
「おい、小僧、体調悪いのか?」
松本刑事が心配そうに声をかけてきたが、俺はそれを無視して、鳥山さんの周りをさらに見回す。
「廉、頼みがある。鳥山さんがここにいるってことは、この人と同じサークル仲間のさやかさんと日向さんがいるはずだ。アリバイを聞きたいから、二人を呼んできてくれないか?」
「それは構わないけど、お前、具合は大丈夫か?」
「大丈夫。許さねぇ……俺の前で、殺人をするやつなんて……絶対に、真実を見つけて……」
息が苦しくて言葉が途切れる。だが、その気持ちは揺るがない。今は何よりも真実を突き止めることが大事だと思った。
「はぁ…はぁ……」
廉は一瞬躊躇したものの、俺の真剣な表情を見てうなずき、さやかさんと日向さんを探しに走っていった。その背中を見送りながら、俺は改めて鳥山さんの遺体を見つめる。
「とりあえず……手がかりを見つけないと」
胸の奥に湧き上がる怒りを抑えきれない。鳥山さんの顔には、驚きと恐怖が入り混じったような表情が残されていた。
「歩夢、無理するな。お前が倒れたら、話がややこしくなるだけだ。」
松本刑事が俺に注意を促すが、その言葉に耳を貸す余裕はない。俺の頭の中は、鳥山さんの最後の言葉「九尾がいた」という謎でいっぱいだった。
(九尾……狐の妖怪だよな?でも、そんなの現実にいるわけがない……)
混乱する頭を抱えながら、俺はその場に膝をつく。だが、その時、鳥山さんの手元に何かが光っているのを見つけた。
「これ……なんだ?」
手を伸ばして拾い上げると、それは溶けたプラスチックの小さな欠片だった。何かの装飾品の一部だろうか?それとも何か特別な意味があるか?、
「刑事さん、これ……鳥山さんが握りしめていたみたいです。」
俺が欠片を差し出すと、松本刑事は真剣な表情でそれを受け取り、しばらく見つめていた。
「まぁ、一応これも鑑識に回すか。にしても…この男の焼けたあとなんかの模様みたいだな」
そう言って刑事が欠片をポケットにしまい込みながら腕のやけどを指摘する。、遠くから廉の声が聞こえてきた。
「歩夢、二人を見つけたぞ!」
廉がさやかさんと日向さんを連れて戻ってきた。二人はどこか怯えた様子で、互いに視線を交わしながら立っている。
俺は深呼吸をして、落ち着いた声で問いかけた。
「さやかさん、日向さんのアリバイを聴かせていただきたいです。僕たちと別れたあと、何をされていましたか?」
さやかさんは一瞬躊躇したものの、小さくうなずいて口を開いた。
「……えっと、私たちは殺生石の観光が終わったあと、近くのカフェで時間を潰していました。その後、鳥山さんが体調が悪いって言って一人でホテルに戻りました。それからは……日向くんとずっと二人で一緒にいました。」
日向さんもそれを肯定するように頷きながら続ける。
「はい、さやかさんとずっと一緒でした。それ以外の場所には行っていません。」
(2人にはアリバイがあるのか……)
頭を強く掻きむしり、考えを絞り出そうとするが、体の熱はどんどん酷くなっていき、推理どころではなかった。
「くっそ……九尾を見たって、どういうことだよ……はぁ、はぁ……くっそ、鎮まれっての……!」
吐き出すように苛立ちを言葉にしながら、俺は抱きしめるように両手で自分の腕を支える。胸の奥から湧き上がる熱が、思考を曇らせ、ただでさえ乱れた呼吸をさらに苦しくさせる。
「絶対に見つけてやる。犯人を」
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