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File01. 十字架の愛
06. メッセージ?
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「あー、ダメだ。全然分からねぇ。この事件、何なんだよ……。」
俺は公園のベンチに座り込み、頭を抱えた。気づきそうで気づけない、その感覚がもどかしい。
「ホームズなら、こんな事件一瞬で解いちまうんだろうな。」
独り言のように呟くと、隣で立っていた廉が缶コーヒーを持って俺に近づいてきた。
「まぁ、焦んなって。お前は高校生だろ?」
そう言いながら、俺の頬に冷たい缶を押し付けてきた。
「うわっ、冷たっ!」
思わず声を上げると、廉が満足げに笑う。
「少し頭冷やせよ。」
「……ありがと。」
俺は缶を受け取り、プルタブを開けて一口飲む。コーヒーの苦味が口の中に広がり、ほんの少しだけ気持ちが落ち着く気がした。
再びスマホの画面を開き、そこに写された萌歌先輩の遺書をじっと見つめる。
お父さんお母さん
わたしは許されない罪を犯してしまいました。
すべてを許してもらうにはこうするしか
けど二人の子供に生まれてしわせでした。
てん国で幸せになるね。
「……なんか変だよな、この遺書。」
俺は小さく呟きながら、画面の文字を指で辿る。
「変?」
「ほら、見てみろよ。この改行の仕方……不自然じゃねぇか?それに、所々平仮名で書いてあるのも気になる。」
廉も画面を覗き込む。その顔を横目に見ながら、俺はもう一度文字をじっくりと読み返した。
「もしかして……この改行の頭文字だけを繋げると……。」
俺は指で一文字ずつ追いながら声に出して読んでいく。
「たすけて……。」
「助けて!?」
俺たちは同時に声を上げた。
「これ……遺書じゃなくて、SOSだ……!」
廉が驚いたように呟く。俺も頭が混乱して、心臓が早鐘のように鳴っていた。
「じゃあ、歩夢の言う通り、あれは自殺じゃなくて他殺だったってことだな。」
「でも……これだけじゃ犯人も、手口も分かんねぇ。これが他殺だったって証明するくらいしか……。」
俺は悔しさで拳を握り締めた。心の中では、「十字架」という言葉がぐるぐると巡っている。
廉がそんな俺をじっと見つめてきた。
「お前さ、本気でこの事件解こうとしてるんだな。」
「……当たり前だろ。」
俺が顔を上げると、廉の真剣な目が俺を捉えていた。その視線に少し戸惑いながらも、俺はしっかりと目を合わせる。
「なら、俺も最後まで付き合うよ。お前一人じゃ不安だからな。」
その言葉に胸がじんと熱くなるのを感じた。
「なぁ、俺さ、ずっと頭に引っかかってる言葉があるんだよ。」
「なんだ?その気になる言葉ってのは。」
「十字架だよ。さっきからずっと頭の中でぐるぐるしてる。どうして萌歌先輩が十字架のキーホルダーを握りしめてたのかなって……。もしかして、これってダイイングメッセージなんじゃないか?」
「……ダイイングメッセージか。」廉が少し眉を寄せて考え込む。
「そうだとしたら、それが何を指してるのか考えないといけねぇよな。」
「そうだな……!」俺は立ち上がると、思わず声を上げた。
「じゃあ、萌歌先輩に関わってたクラスメイトに聞いてみるか。きっと何か分かるはずだ。」
「おう、それがいいな。」廉は俺の熱に当てられたように微笑む。
「よし、行こうぜ!」
俺は公園のベンチに座り込み、頭を抱えた。気づきそうで気づけない、その感覚がもどかしい。
「ホームズなら、こんな事件一瞬で解いちまうんだろうな。」
独り言のように呟くと、隣で立っていた廉が缶コーヒーを持って俺に近づいてきた。
「まぁ、焦んなって。お前は高校生だろ?」
そう言いながら、俺の頬に冷たい缶を押し付けてきた。
「うわっ、冷たっ!」
思わず声を上げると、廉が満足げに笑う。
「少し頭冷やせよ。」
「……ありがと。」
俺は缶を受け取り、プルタブを開けて一口飲む。コーヒーの苦味が口の中に広がり、ほんの少しだけ気持ちが落ち着く気がした。
再びスマホの画面を開き、そこに写された萌歌先輩の遺書をじっと見つめる。
お父さんお母さん
わたしは許されない罪を犯してしまいました。
すべてを許してもらうにはこうするしか
けど二人の子供に生まれてしわせでした。
てん国で幸せになるね。
「……なんか変だよな、この遺書。」
俺は小さく呟きながら、画面の文字を指で辿る。
「変?」
「ほら、見てみろよ。この改行の仕方……不自然じゃねぇか?それに、所々平仮名で書いてあるのも気になる。」
廉も画面を覗き込む。その顔を横目に見ながら、俺はもう一度文字をじっくりと読み返した。
「もしかして……この改行の頭文字だけを繋げると……。」
俺は指で一文字ずつ追いながら声に出して読んでいく。
「たすけて……。」
「助けて!?」
俺たちは同時に声を上げた。
「これ……遺書じゃなくて、SOSだ……!」
廉が驚いたように呟く。俺も頭が混乱して、心臓が早鐘のように鳴っていた。
「じゃあ、歩夢の言う通り、あれは自殺じゃなくて他殺だったってことだな。」
「でも……これだけじゃ犯人も、手口も分かんねぇ。これが他殺だったって証明するくらいしか……。」
俺は悔しさで拳を握り締めた。心の中では、「十字架」という言葉がぐるぐると巡っている。
廉がそんな俺をじっと見つめてきた。
「お前さ、本気でこの事件解こうとしてるんだな。」
「……当たり前だろ。」
俺が顔を上げると、廉の真剣な目が俺を捉えていた。その視線に少し戸惑いながらも、俺はしっかりと目を合わせる。
「なら、俺も最後まで付き合うよ。お前一人じゃ不安だからな。」
その言葉に胸がじんと熱くなるのを感じた。
「なぁ、俺さ、ずっと頭に引っかかってる言葉があるんだよ。」
「なんだ?その気になる言葉ってのは。」
「十字架だよ。さっきからずっと頭の中でぐるぐるしてる。どうして萌歌先輩が十字架のキーホルダーを握りしめてたのかなって……。もしかして、これってダイイングメッセージなんじゃないか?」
「……ダイイングメッセージか。」廉が少し眉を寄せて考え込む。
「そうだとしたら、それが何を指してるのか考えないといけねぇよな。」
「そうだな……!」俺は立ち上がると、思わず声を上げた。
「じゃあ、萌歌先輩に関わってたクラスメイトに聞いてみるか。きっと何か分かるはずだ。」
「おう、それがいいな。」廉は俺の熱に当てられたように微笑む。
「よし、行こうぜ!」
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