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異世界漂流編
ヤンデレ?
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(嫌な予感は的中しやすいから嫌なんだ。魔女が初対面の異世界人なんか人助けとして助けてくれるわけがないんだ!)
彼方は頭を抱え込む。ディアメルが嘘偽り無いのだとしたら大問題だ。彼方にとってではなく、王国、もっと大きく言えばこの世界にとってだ。。王国が勇者として彼方らを召換したのは十中八九で魔王及びその配下を滅ぼすためであろう。結論からすると彼方は同じ修学旅行にいた仲間や、王国・・・同じ人類に命を脅かされるのだ。不条理である。
彼方はとりえあず非現実的な話を否定する。
「そ、そんなこと、あるわけないじゃん。俺は、魔王より天使に近い、そ、存在だぜ」
ひどく動揺しているのか、呂律が上手く回っていない。汗が頬を伝う。
「何を言っているんですか?!彼方さんは絶対魔王様ですよ。その胸に聞いてみてくださ・・・じゃなかった。その胸を見てください。私達の王である紋章が見えるじゃありませんか!」
ディアメルは彼方の胸に描かれている紋章を指差しながら、魔女らしいローブを取り、服を半分ほど持ち上げる。
「ちょっ、なにしてんの?!」
頬を赤らめ手で眼を隠す。
「ほら、これが見えませんか!私の紋章と似ているじゃありませんか。その紋章は世界に一人しか持っていない貴重な魔王の証なんですよ。それを見たら魔女や魔男の大半が襲って来るんですからね!!」
「分かったから服を下げろよ!!」
確かに彼方の指の隙間から見えるディアメルの腰あたりには、胸に描かれている紋章に似たマークが描かれている。
彼方はディアメルの言葉を聞いて慌てだす。
「ナニソレッッ!いらないからディアメルが貰ってよ!!」
「嫌ですよ。私達が紋章を奪われる時は、生涯奪った奴の奴隷になるか死去するかの二択なんですよ。それは魔王・・・今は魔男の彼方さんもまた然りです。魔王様は死ぬ寸前に予言をしました。
『魔人の中に我の跡を継いでくれる者が現れよう。その者は身体に魔人と似た紋章を背負っているはずじゃ。その紋章を奪い合い、全ての紋章勝ち取った者が我の後継者じゃ』だそうです。
魔王の紋章を持つ者が全ての魔女と魔男の紋章を奪えば魔王に覚醒するので、彼方さんはまだ魔男なんですよ。まぁ、魔人軍第四位の【爾今の魔女】であるこの私が守りますから安心してください。ついでに紋章を奪うごとに魔の力が強くなり魔女や魔男であるオーラが出てしまうので、人間にばれやすくなりますね」
「それで、ディアメルは今までにどれだけ奪ったんだ?まさか、紋章奪われて奴隷やっています、みたいなオチじゃないだろうな?」
「嘗めないで下さいよ。あっ、物理的にはもちろんいいで「いらん」・・・ハイ。私は今までに五人やってやりましたよ、褒めてくれてもいいんですよ」
頭を向かい側の彼方に押し付け、撫でて貰おうとする。なぜこんなに懐かれているのも未だに不明のままだ。仕事を終えたら後ろから刺されるかもしれない以上、油断大敵だ。話の邪魔になる頭を払いながら話を脱線させないように口を開く。
「お前は、その奪った奴らをどうしたんだ?」
いつものヘラヘラした顔を止め彼方は相手を見据える。この答えでディアメルが思う命の価値がわかってしまうのだ。それは彼方にも関ることである。足が自動的に家の出口に方向転換する。
「内緒です」
数秒黙り込み口を開く。
「彼方さんが答えを聞いたら、この家から逃げ出すかもしれないじゃないですか。それは困るんですよ。だから逃げるような真似をしたら心と足を挫きます。私はそれでも構いませんよ。その時は私が一生支えてあげますから」
彼方の心の中を見据えているのか、言葉一つ一つに圧をかけてくる。ディアメルは駆け引きが得意なのか口の端が釣り上がっている。その姿はまさに魔女であった。
彼方は頭を抱え込む。ディアメルが嘘偽り無いのだとしたら大問題だ。彼方にとってではなく、王国、もっと大きく言えばこの世界にとってだ。。王国が勇者として彼方らを召換したのは十中八九で魔王及びその配下を滅ぼすためであろう。結論からすると彼方は同じ修学旅行にいた仲間や、王国・・・同じ人類に命を脅かされるのだ。不条理である。
彼方はとりえあず非現実的な話を否定する。
「そ、そんなこと、あるわけないじゃん。俺は、魔王より天使に近い、そ、存在だぜ」
ひどく動揺しているのか、呂律が上手く回っていない。汗が頬を伝う。
「何を言っているんですか?!彼方さんは絶対魔王様ですよ。その胸に聞いてみてくださ・・・じゃなかった。その胸を見てください。私達の王である紋章が見えるじゃありませんか!」
ディアメルは彼方の胸に描かれている紋章を指差しながら、魔女らしいローブを取り、服を半分ほど持ち上げる。
「ちょっ、なにしてんの?!」
頬を赤らめ手で眼を隠す。
「ほら、これが見えませんか!私の紋章と似ているじゃありませんか。その紋章は世界に一人しか持っていない貴重な魔王の証なんですよ。それを見たら魔女や魔男の大半が襲って来るんですからね!!」
「分かったから服を下げろよ!!」
確かに彼方の指の隙間から見えるディアメルの腰あたりには、胸に描かれている紋章に似たマークが描かれている。
彼方はディアメルの言葉を聞いて慌てだす。
「ナニソレッッ!いらないからディアメルが貰ってよ!!」
「嫌ですよ。私達が紋章を奪われる時は、生涯奪った奴の奴隷になるか死去するかの二択なんですよ。それは魔王・・・今は魔男の彼方さんもまた然りです。魔王様は死ぬ寸前に予言をしました。
『魔人の中に我の跡を継いでくれる者が現れよう。その者は身体に魔人と似た紋章を背負っているはずじゃ。その紋章を奪い合い、全ての紋章勝ち取った者が我の後継者じゃ』だそうです。
魔王の紋章を持つ者が全ての魔女と魔男の紋章を奪えば魔王に覚醒するので、彼方さんはまだ魔男なんですよ。まぁ、魔人軍第四位の【爾今の魔女】であるこの私が守りますから安心してください。ついでに紋章を奪うごとに魔の力が強くなり魔女や魔男であるオーラが出てしまうので、人間にばれやすくなりますね」
「それで、ディアメルは今までにどれだけ奪ったんだ?まさか、紋章奪われて奴隷やっています、みたいなオチじゃないだろうな?」
「嘗めないで下さいよ。あっ、物理的にはもちろんいいで「いらん」・・・ハイ。私は今までに五人やってやりましたよ、褒めてくれてもいいんですよ」
頭を向かい側の彼方に押し付け、撫でて貰おうとする。なぜこんなに懐かれているのも未だに不明のままだ。仕事を終えたら後ろから刺されるかもしれない以上、油断大敵だ。話の邪魔になる頭を払いながら話を脱線させないように口を開く。
「お前は、その奪った奴らをどうしたんだ?」
いつものヘラヘラした顔を止め彼方は相手を見据える。この答えでディアメルが思う命の価値がわかってしまうのだ。それは彼方にも関ることである。足が自動的に家の出口に方向転換する。
「内緒です」
数秒黙り込み口を開く。
「彼方さんが答えを聞いたら、この家から逃げ出すかもしれないじゃないですか。それは困るんですよ。だから逃げるような真似をしたら心と足を挫きます。私はそれでも構いませんよ。その時は私が一生支えてあげますから」
彼方の心の中を見据えているのか、言葉一つ一つに圧をかけてくる。ディアメルは駆け引きが得意なのか口の端が釣り上がっている。その姿はまさに魔女であった。
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