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理想の萌えシチュ
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「ッッ!!」
心臓がバクンッと大きく飛び跳ね、肺が潰れてしまうかと思うくらい驚いて。それから……顔に火がついたみたいにボッと火照って熱くなる。
なん、なの……もう……ななな何してんのよぉ……
逞しい腕の感触を制服越しに感じ、汗っぽさに混じる浩二の匂いに、心臓がバクバクと踊り、躰が震えそうになる。
「は、離して……」
恥ずかし、過ぎるよ……こんな、突然。しかも、倫子の見てる前とか……
正面に座る倫子は、そんな私を見てニヤニヤ笑ってる。くっそぉと思うのに、反論出来ない。
そこでハタと気付いた。もうすっかり陽が落ちて暗くなってたことに。真っ赤になった顔を見られずに済んだのは、せめてもの救いだった。
交差した浩二の腕は離れるどころか、より深く抱き締めてくる。
ヤバい……心臓の音、浩二に聞かれちゃう。ドクドクしてる。胸が締め付けられて、息が……苦しい。
私、すごく変だ。やだ、早くいつもの自分にならないと……
「やだ、離さねぇ……」
また、浩二の一言に心臓がバクンッと跳ねる。
ちょ、いきなりのドS発動ってなになになになんなのっっ!! 浩二、あんたそんなキャラじゃないでしょっ!! 普段とのギャップに焦るって、ヤバいヤバいヤバい!! 決してギャップ萌えとかしてないからーっっ!!
私もだけど、浩二もどうしちゃったの!? こんなの、いつもの浩二じゃない、いつもの私たちじゃないよ……
こんな風に囁かれたら……いくら私だって、変な方向に勘違いしそうになるからやめて欲しい……
「まだ、質問の答え聞いてねぇし」
追い打ちを掛けてくる浩二に、うっ……と心臓を突かれたように痛くなる。既に私の受け入れキャパを完全に超えてる。なんて答えていいのか、分かんない。
もう、どうにでもなれっ……
「……うん……好、き……」
浩二の腕に、顔を埋めて答える。
なん、なの……浩二の、くせに。こんなに、ドキドキさせられるなんて。
急にスッピンなのが恥ずかしく思えてきた。今まで意識なんてしたことなかったのに、素直に倫子の言うこと聞いてメイクしとくんだったなんて思えてきたりして。
私と倫子が『理想の萌えシチュ』なんて大声で語ってたから、きっとからかってやろうと思ったんだ。悔しいっ。
浩二の腕がゆっくり外されて、床に投げ出されたスポーツバッグをボスッと担いだ音が背中越しに鈍く響いた。
パチッと音が鳴り、ピカピカッと瞬いてから教室の蛍光灯が灯された。一瞬目が眩み、クラクラする。
「行くぞ」
「ぇ、でも……」
倫子の方を向きかけると、
「蓮田も、すぐ来るって」
私の意を察した浩二が答え、倫子は怪しすぎるぐらい爽やかな笑顔で手を振った。
「私はここで圭人待ってるから。じゃ、また明日ねー!」
「ほら、早くしろよ」
私に大きな背中を向ける浩二。まったく、なんなのよ……もう、人の気も知らないで。
睨みつけようと見上げて、ハッとした。後ろ姿の短髪から見える浩二の耳が、既に沈んでしまった夕陽より真っ赤に染まってるってことに気づいたから。
ぁ。浩二も、恥ずかしかったんだ……恥ずかしいなら、やらなきゃいいのに。ったく……
「今、行くってば!」
なんだか嬉しくなって、弾むように椅子から立ち上がった。
心臓がバクンッと大きく飛び跳ね、肺が潰れてしまうかと思うくらい驚いて。それから……顔に火がついたみたいにボッと火照って熱くなる。
なん、なの……もう……ななな何してんのよぉ……
逞しい腕の感触を制服越しに感じ、汗っぽさに混じる浩二の匂いに、心臓がバクバクと踊り、躰が震えそうになる。
「は、離して……」
恥ずかし、過ぎるよ……こんな、突然。しかも、倫子の見てる前とか……
正面に座る倫子は、そんな私を見てニヤニヤ笑ってる。くっそぉと思うのに、反論出来ない。
そこでハタと気付いた。もうすっかり陽が落ちて暗くなってたことに。真っ赤になった顔を見られずに済んだのは、せめてもの救いだった。
交差した浩二の腕は離れるどころか、より深く抱き締めてくる。
ヤバい……心臓の音、浩二に聞かれちゃう。ドクドクしてる。胸が締め付けられて、息が……苦しい。
私、すごく変だ。やだ、早くいつもの自分にならないと……
「やだ、離さねぇ……」
また、浩二の一言に心臓がバクンッと跳ねる。
ちょ、いきなりのドS発動ってなになになになんなのっっ!! 浩二、あんたそんなキャラじゃないでしょっ!! 普段とのギャップに焦るって、ヤバいヤバいヤバい!! 決してギャップ萌えとかしてないからーっっ!!
私もだけど、浩二もどうしちゃったの!? こんなの、いつもの浩二じゃない、いつもの私たちじゃないよ……
こんな風に囁かれたら……いくら私だって、変な方向に勘違いしそうになるからやめて欲しい……
「まだ、質問の答え聞いてねぇし」
追い打ちを掛けてくる浩二に、うっ……と心臓を突かれたように痛くなる。既に私の受け入れキャパを完全に超えてる。なんて答えていいのか、分かんない。
もう、どうにでもなれっ……
「……うん……好、き……」
浩二の腕に、顔を埋めて答える。
なん、なの……浩二の、くせに。こんなに、ドキドキさせられるなんて。
急にスッピンなのが恥ずかしく思えてきた。今まで意識なんてしたことなかったのに、素直に倫子の言うこと聞いてメイクしとくんだったなんて思えてきたりして。
私と倫子が『理想の萌えシチュ』なんて大声で語ってたから、きっとからかってやろうと思ったんだ。悔しいっ。
浩二の腕がゆっくり外されて、床に投げ出されたスポーツバッグをボスッと担いだ音が背中越しに鈍く響いた。
パチッと音が鳴り、ピカピカッと瞬いてから教室の蛍光灯が灯された。一瞬目が眩み、クラクラする。
「行くぞ」
「ぇ、でも……」
倫子の方を向きかけると、
「蓮田も、すぐ来るって」
私の意を察した浩二が答え、倫子は怪しすぎるぐらい爽やかな笑顔で手を振った。
「私はここで圭人待ってるから。じゃ、また明日ねー!」
「ほら、早くしろよ」
私に大きな背中を向ける浩二。まったく、なんなのよ……もう、人の気も知らないで。
睨みつけようと見上げて、ハッとした。後ろ姿の短髪から見える浩二の耳が、既に沈んでしまった夕陽より真っ赤に染まってるってことに気づいたから。
ぁ。浩二も、恥ずかしかったんだ……恥ずかしいなら、やらなきゃいいのに。ったく……
「今、行くってば!」
なんだか嬉しくなって、弾むように椅子から立ち上がった。
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