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After Story3 ー怖いぐらいに幸せな……溺愛蜜月旅行❤️ー
DAY1ー24
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ピアノの音が聞こえる。だが、いつもとは違う響きだ。ふわりふわりと優しく波に揺られているかのような心地よさを感じつつ、少しずつ意識がはっきりしてくる。
そうだ、ここは海の上……クルーズ船。
私と秀一さんは、新婚旅行に来てるんだった。
気怠い躰で寝返りを打ちながらゆっくりと瞳を開けると、そこには眠る前とは違う景色が広がっていた。
ここ、もうひとつの寝室だ。
秀一さんが、運んでくれたんだ……
きっと今頃はもう、マスターベッドルームのシーツも新しく清潔なものに替えられていることだろう。
それを思うと、恥ずかしくなった。
私って、いつでも秀一さんに甘えてばかり。
ベッドから起きると、ハンガーにドレスが掛けられているのが目についた。
目の覚めるようなクラシックブルーのサマードレス。日本の太陽の下では眩しすぎる鮮やかな色合いも、太陽が燦々と照りつけるクルーズ船では美しく映えることだろう。
オートクチュールのように肌にぴったりとなじむドレスを纏い、美姫は部屋から出た。
秀一はピアノの譜面台にサラサラとペンを走らせていた。その下には、何枚もの紙が折り重なっている。
真剣な表情がフッと和らぎ、美姫へと向けられる。
「お目覚めですか、プリンセス?」
美姫は少し頰を染め、秀一へと近づいた。
「はい。
あ、の……これって、もしかして私がデザインしたドレスですか?」
美しいクラシックブルーのドレスの胸元に手を当てながら、美姫はおずおずと尋ねた。
かつて、『KURUSU』ブランドのデザイナーとして活躍し、東京だけなく海外にまで支店を広げ、一斉を風靡した美姫だが、彼女の現在の夢は、一人一人の好みにあったデザインを描き、世界にひとつしかない服を作る小さなオートクチュールの店を持つことだった。
そのため、現在美姫は服飾の専門学校に通い、デザインの基礎から学び直している。そして、時々自分でデザインを起こし、スケッチブックにためていた。
このドレスはデザイン画に色をつけていなかったので色からは判断できないものの、裾の長さや襟のディテールまで、美姫が最近デザインしたものとそっくりだった。
「えぇ。とても素敵でしたので、作らせてみました。
そのドレス、よく似合っていますよ。後ろも見せてください」
秀一に言われ、美姫は背中を向けた。ドレスを後ろで結ぶスタイルになっており、背中が大胆にあいている。
「背中の美しいデコルテが見えて、魅力的ですね」
秀一の視線を背中に感じ、彼の甘く低く艶やかな声に、ゾクゾクと美姫の肌が粟立つ。
「ありがとう、ございます」
そうだ、ここは海の上……クルーズ船。
私と秀一さんは、新婚旅行に来てるんだった。
気怠い躰で寝返りを打ちながらゆっくりと瞳を開けると、そこには眠る前とは違う景色が広がっていた。
ここ、もうひとつの寝室だ。
秀一さんが、運んでくれたんだ……
きっと今頃はもう、マスターベッドルームのシーツも新しく清潔なものに替えられていることだろう。
それを思うと、恥ずかしくなった。
私って、いつでも秀一さんに甘えてばかり。
ベッドから起きると、ハンガーにドレスが掛けられているのが目についた。
目の覚めるようなクラシックブルーのサマードレス。日本の太陽の下では眩しすぎる鮮やかな色合いも、太陽が燦々と照りつけるクルーズ船では美しく映えることだろう。
オートクチュールのように肌にぴったりとなじむドレスを纏い、美姫は部屋から出た。
秀一はピアノの譜面台にサラサラとペンを走らせていた。その下には、何枚もの紙が折り重なっている。
真剣な表情がフッと和らぎ、美姫へと向けられる。
「お目覚めですか、プリンセス?」
美姫は少し頰を染め、秀一へと近づいた。
「はい。
あ、の……これって、もしかして私がデザインしたドレスですか?」
美しいクラシックブルーのドレスの胸元に手を当てながら、美姫はおずおずと尋ねた。
かつて、『KURUSU』ブランドのデザイナーとして活躍し、東京だけなく海外にまで支店を広げ、一斉を風靡した美姫だが、彼女の現在の夢は、一人一人の好みにあったデザインを描き、世界にひとつしかない服を作る小さなオートクチュールの店を持つことだった。
そのため、現在美姫は服飾の専門学校に通い、デザインの基礎から学び直している。そして、時々自分でデザインを起こし、スケッチブックにためていた。
このドレスはデザイン画に色をつけていなかったので色からは判断できないものの、裾の長さや襟のディテールまで、美姫が最近デザインしたものとそっくりだった。
「えぇ。とても素敵でしたので、作らせてみました。
そのドレス、よく似合っていますよ。後ろも見せてください」
秀一に言われ、美姫は背中を向けた。ドレスを後ろで結ぶスタイルになっており、背中が大胆にあいている。
「背中の美しいデコルテが見えて、魅力的ですね」
秀一の視線を背中に感じ、彼の甘く低く艶やかな声に、ゾクゾクと美姫の肌が粟立つ。
「ありがとう、ございます」
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