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忘れえぬ快楽の蜜
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「明日は仕事、休みだよな」
夕飯を食べながら大和が自然を装うように尋ね、美姫は「そうだね」と頷いた。
今日は誕生日という特別な日だからということもあったが、大和が求めてくる日はいつもよりもなんとなくスキンシップが多く、彼の視線に熱を感じる。
大学に通いながら仕事をするという多忙なスケジュールをこなしていることを考慮し、大和は美姫をむやみやたらに求めることはしなかった。翌日が休日だったり、大学があっても講義が少ない日の前日にしたりと、美姫の負担にならないよう考えてくれる。
最近はお互いに仕事が忙しく、暫く躰を重ねていなかった。大和に見つめられた美姫の躰が、熱く疼いた。
食事を終えるとソファへと場所を移し、大和がケーキにキャンドルを灯した。
「美姫、21歳の誕生日おめでとう」
美姫は、大和を見つめて微笑むとキャンドルの火を吹き消した。
「ありがとう、大和」
美姫が、大和に唇を寄せた。大和はそれに応じてチュッと軽く口づけると、ナイフを手にした。
「じゃ、食うか!」
「うん......そうだね。美味しそう」
美姫は微笑んだ後で俯き、そっと唇を結んだ。
ケーキを食べ終わると、大和は皿を持って立ち上がった。キッチンで手早く洗って水切りカゴに立てかけると、美姫に声を掛ける。
「俺、じゃあ風呂入ってくる!」
「あ、うん。いってらっしゃい」
ケーキを食べ終えていない美姫は、ひとり残された。リズムよく階段を上っていく音を聞きながら、ひっそり息を吐いた。
仕事が長引いたことで、既にもう真夜中を過ぎている。これから1人ずつお風呂に入ると時間がかかることを考慮し、大和が気を遣って急いでくれたのだということは、美姫にも十分分かっている。
それでも、食べ終わるまで一緒にいて欲しかったな.....
今日は誕生日という特別な日で、しかも明日は二人とも休みなのだ。ケーキを食べ終わるのにそれ程の時間がかかるわけではないのだから、それぐらいは待ってくれてもいいのにと思わずにはいられなかった。
いつの頃からか、行為のある日の習慣が出来ていた。
食事が終わると大和は大抵TVをつけるが、その日はまっすぐにお風呂へと向かう。ふたりで一緒にお風呂に入ることはなく、大和に誘われたこともなかった。
大和がお風呂から上がると、美姫もそれに続く。以前までは、読んでいる資料やレポートのキリがつくまでとか、入りたくなったらという自分のタイミングでお風呂に入る時間は決めていた。だがその間、大和がいつ美姫がお風呂に入るのかそわそわと気にしていることに気づき、待っていてもらうのが申し訳なくなり、すぐに入るようにしたのだ。
美姫がお風呂に入っている間、大和は美姫のベッドルームで待っている。
お風呂から出た大和が、2階から美姫に声をかける。
「おさきー」
「はーい」
美姫はまだ少し残っているケーキの入った皿をキッチンに運び、残りを捨てた。
お風呂から上がって部屋に戻ると、ベッドのサイドテーブルの明かりだけがついていた。化粧台の前に座り、化粧水をつけたり、髪を乾かして梳かしたりするのを大和はベッドから眺めている。まるで「おあずけ」されている犬のようで、そんな大和を可愛く思った。
寝る準備を終えて美姫がシーツに滑り込むのを確認すると、手元の電気が消される。
そこから、ふたりの蜜時が始まるのだ。
夕飯を食べながら大和が自然を装うように尋ね、美姫は「そうだね」と頷いた。
今日は誕生日という特別な日だからということもあったが、大和が求めてくる日はいつもよりもなんとなくスキンシップが多く、彼の視線に熱を感じる。
大学に通いながら仕事をするという多忙なスケジュールをこなしていることを考慮し、大和は美姫をむやみやたらに求めることはしなかった。翌日が休日だったり、大学があっても講義が少ない日の前日にしたりと、美姫の負担にならないよう考えてくれる。
最近はお互いに仕事が忙しく、暫く躰を重ねていなかった。大和に見つめられた美姫の躰が、熱く疼いた。
食事を終えるとソファへと場所を移し、大和がケーキにキャンドルを灯した。
「美姫、21歳の誕生日おめでとう」
美姫は、大和を見つめて微笑むとキャンドルの火を吹き消した。
「ありがとう、大和」
美姫が、大和に唇を寄せた。大和はそれに応じてチュッと軽く口づけると、ナイフを手にした。
「じゃ、食うか!」
「うん......そうだね。美味しそう」
美姫は微笑んだ後で俯き、そっと唇を結んだ。
ケーキを食べ終わると、大和は皿を持って立ち上がった。キッチンで手早く洗って水切りカゴに立てかけると、美姫に声を掛ける。
「俺、じゃあ風呂入ってくる!」
「あ、うん。いってらっしゃい」
ケーキを食べ終えていない美姫は、ひとり残された。リズムよく階段を上っていく音を聞きながら、ひっそり息を吐いた。
仕事が長引いたことで、既にもう真夜中を過ぎている。これから1人ずつお風呂に入ると時間がかかることを考慮し、大和が気を遣って急いでくれたのだということは、美姫にも十分分かっている。
それでも、食べ終わるまで一緒にいて欲しかったな.....
今日は誕生日という特別な日で、しかも明日は二人とも休みなのだ。ケーキを食べ終わるのにそれ程の時間がかかるわけではないのだから、それぐらいは待ってくれてもいいのにと思わずにはいられなかった。
いつの頃からか、行為のある日の習慣が出来ていた。
食事が終わると大和は大抵TVをつけるが、その日はまっすぐにお風呂へと向かう。ふたりで一緒にお風呂に入ることはなく、大和に誘われたこともなかった。
大和がお風呂から上がると、美姫もそれに続く。以前までは、読んでいる資料やレポートのキリがつくまでとか、入りたくなったらという自分のタイミングでお風呂に入る時間は決めていた。だがその間、大和がいつ美姫がお風呂に入るのかそわそわと気にしていることに気づき、待っていてもらうのが申し訳なくなり、すぐに入るようにしたのだ。
美姫がお風呂に入っている間、大和は美姫のベッドルームで待っている。
お風呂から出た大和が、2階から美姫に声をかける。
「おさきー」
「はーい」
美姫はまだ少し残っているケーキの入った皿をキッチンに運び、残りを捨てた。
お風呂から上がって部屋に戻ると、ベッドのサイドテーブルの明かりだけがついていた。化粧台の前に座り、化粧水をつけたり、髪を乾かして梳かしたりするのを大和はベッドから眺めている。まるで「おあずけ」されている犬のようで、そんな大和を可愛く思った。
寝る準備を終えて美姫がシーツに滑り込むのを確認すると、手元の電気が消される。
そこから、ふたりの蜜時が始まるのだ。
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