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晴天の霹靂(へきれき) ー大和回想ー
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あの日。
早朝で、俺はまだベッドの中にいた。スマホの音で起こされ、気怠い躰を起こすと、そこには見慣れない番号が表示されている。
なぜか、美姫からの電話だと直感した。
「はい...」
緊張で、声が固くなる。
自分から電話してきたくせに、俺の声を聞いた途端に躊躇っているのが受話器の向こうから伝わってきた。
『もし、もし......』
小さくて聞き取りにくいが、間違いない。
美姫だ。
予感はしていたものの、実際に美姫の声を聞き、思わず息を呑んだ。
「美姫、か!?
今、どこにいるんだ? 無事なのか?」
必死に受話器に向かって呼び掛ける。
頼む。頼むから、切らないでくれ。
ちゃんと答えてくれ!
暫く間が空いた後、美姫の泣き崩れた声が響いた。
『ッグゥ...や、まどぉヒグッ...ウッウッ』
それを聞き、何があったんだと心配する一方で、美姫が俺を頼ってくれたことを嬉しく思った。
美姫は、話したいことがあるから、今から会いたいと言ってきた。待ち合わせの場所に指定したのは、誠一郎おじさんが入院している病院だった。
「分かった。すぐ行くから、待ってろ」
それから遼に連絡し、今日の講義を休むことを伝えた。急いで出かける支度をし、ひろ兄から借りてる車で病院へと向かう。
平日の早朝ということもあり、すいていれば20分もあれば着くところが、渋滞でなかなか進まない。焦燥が募っていく。
早く。
早く、美姫のところへ行かせてくれ......
早く行かなければ、また美姫は俺の元からすり抜けちまうんじゃないかと気が気じゃなかった。
ようやく渋滞を抜け、病院に着いた。
駐車場に車を停めてからダッシュで病院の入り口を目指し、静かなロビーに足音を響かせてエレベーターへ直行する。待ってる間も落ち着かず、無駄に足踏みした。
エレベーターに乗ってる時、ふと中に入る手段がないことに気がついた。以前みたいに鍵を預かって来てるわけでもないし、誠一郎おじさんの病室の番号も知らない。
どうしようか思案しながらエレベーターの案内音と共に顔を上げると、開いた扉の向こう側に美姫が立っていた。
い、た。
本当に、いた......
まるで幽霊でも見るような気持ちになりつつ、それが本物だとわかり、安心でホッと息を吐いている自分がいた。美姫は、本当に幽霊かのように顔が真っ白で、生気がなかった。
「美姫......大丈夫......なわけ、ねぇよな......」
早朝で、俺はまだベッドの中にいた。スマホの音で起こされ、気怠い躰を起こすと、そこには見慣れない番号が表示されている。
なぜか、美姫からの電話だと直感した。
「はい...」
緊張で、声が固くなる。
自分から電話してきたくせに、俺の声を聞いた途端に躊躇っているのが受話器の向こうから伝わってきた。
『もし、もし......』
小さくて聞き取りにくいが、間違いない。
美姫だ。
予感はしていたものの、実際に美姫の声を聞き、思わず息を呑んだ。
「美姫、か!?
今、どこにいるんだ? 無事なのか?」
必死に受話器に向かって呼び掛ける。
頼む。頼むから、切らないでくれ。
ちゃんと答えてくれ!
暫く間が空いた後、美姫の泣き崩れた声が響いた。
『ッグゥ...や、まどぉヒグッ...ウッウッ』
それを聞き、何があったんだと心配する一方で、美姫が俺を頼ってくれたことを嬉しく思った。
美姫は、話したいことがあるから、今から会いたいと言ってきた。待ち合わせの場所に指定したのは、誠一郎おじさんが入院している病院だった。
「分かった。すぐ行くから、待ってろ」
それから遼に連絡し、今日の講義を休むことを伝えた。急いで出かける支度をし、ひろ兄から借りてる車で病院へと向かう。
平日の早朝ということもあり、すいていれば20分もあれば着くところが、渋滞でなかなか進まない。焦燥が募っていく。
早く。
早く、美姫のところへ行かせてくれ......
早く行かなければ、また美姫は俺の元からすり抜けちまうんじゃないかと気が気じゃなかった。
ようやく渋滞を抜け、病院に着いた。
駐車場に車を停めてからダッシュで病院の入り口を目指し、静かなロビーに足音を響かせてエレベーターへ直行する。待ってる間も落ち着かず、無駄に足踏みした。
エレベーターに乗ってる時、ふと中に入る手段がないことに気がついた。以前みたいに鍵を預かって来てるわけでもないし、誠一郎おじさんの病室の番号も知らない。
どうしようか思案しながらエレベーターの案内音と共に顔を上げると、開いた扉の向こう側に美姫が立っていた。
い、た。
本当に、いた......
まるで幽霊でも見るような気持ちになりつつ、それが本物だとわかり、安心でホッと息を吐いている自分がいた。美姫は、本当に幽霊かのように顔が真っ白で、生気がなかった。
「美姫......大丈夫......なわけ、ねぇよな......」
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