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復讐の誓い ー久美回想ー
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田舎から東京の大学を受験することになった私に、東京で旦那と2人暮らししていたお姉ちゃんが、自分のところに滞在すればいいと申し出てくれた。
東京に出てくる旅費だけでも負担なのに、ホテルにまで滞在するともなると相当のお金がかかる。両親に申し訳なく思っていた私は、お姉ちゃんの申し出が有り難かった。けど、短期間とはいえ、遠沢もいるのかと思うと気が重かった。
お姉ちゃんの旦那の遠沢には、結婚の報告をしに来た時に一度会っただけだった。
報道カメラマンだとか話していたが、見るからに裏の世界の人間の匂いがぷんぷんして、なんでお姉ちゃんはこんな人を選んだんだろうって疑問だった。遠沢は収入が安定せず、纏まった金が入るとそれをパチンコや競馬などのギャンブルに注ぎ込み、使い果たしてしまう、タチの悪い男だった。生活を支えるため、お姉ちゃんは結婚後もずっと正社員として働き続けていた。
もちろん両親はこのことを知らない。知ったら激怒して、離婚させられることは間違いないからだ。
新婚の2人の邪魔をしたくないと遠慮した私に、遠沢はしょっちゅう出かけて家にいないことの方が多いから心配しなくてもいい、とお姉ちゃんが言ってくれた。それなら、あまり気を遣うこともないだろうし、顔を合わせずに済むかもしれない。そんな思いから、本当は受験の為に3日だけ上京する予定だったけど、ホテル代も浮いたことだし、せっかく久しぶりに会えるんだからというお姉ちゃんの勧めもあって、1週間滞在することにした。
受験の3日前に上京して、お姉ちゃんの家に泊めてもらった。お姉ちゃんの言った通り、旦那である遠沢は家に帰りもしなければ、連絡すら寄越してこなかった。
『寂しくないの?』
そう問いかけた私に、
『もう......慣れた。それに、今は久美がいるし』
寂しそうな笑顔でお姉ちゃんが答えた。
どうして、離婚しないの?
言いかけた言葉を飲み込み、私は笑顔で頷いた。
それから3日後。
試験を無事に終え、あとは楽しみの東京見学だけとなった。試験の翌日である今日は、ゆっくり受験の疲れをとるようにと言ってお姉ちゃんは仕事に出かけ、明日から休みをとって付き合ってくれることになっていた。
私はようやく受験のストレスから解放され、ひとりでソファに寝転がり、テレビを観ていた。安心感からか、眠気が襲ってきてボーッとしてきた。
あともう少しで眠りそう......という瞬間、いきなり外の扉のノブがガチャガチャいう音が聞こえてきた。
あ、あれ......もう、お姉ちゃん帰ってきたの?
そう思ってリビングの扉を見つめた先には......遠沢がいた。
ソファから急いで躰を起こし、正座した。かなりくつろいでいたところを見られて、罰が悪い。
『お邪魔...してます』
俯くと、自分が部屋着のままだったことに気づいた。
『あぁ。由美から、聞いてる』
お姉ちゃんの名前が出てホッとした。
ちゃんと話してくれてたんだ。
『あの、すみません......突然お邪魔しちゃって』
そう言って見上げた先には、ニヤニヤと不敵な笑いを浮かべながら私の全身を舐め回すように見つめ、煙草を口に咥えた遠沢が見えた。
咄嗟に、身の危険を感じた。
『じゃ、私...失礼します......』
立ち去ろうとした私の目の前に、遠沢の太い腕が伸び、次の瞬間には押し倒されていた。
東京に出てくる旅費だけでも負担なのに、ホテルにまで滞在するともなると相当のお金がかかる。両親に申し訳なく思っていた私は、お姉ちゃんの申し出が有り難かった。けど、短期間とはいえ、遠沢もいるのかと思うと気が重かった。
お姉ちゃんの旦那の遠沢には、結婚の報告をしに来た時に一度会っただけだった。
報道カメラマンだとか話していたが、見るからに裏の世界の人間の匂いがぷんぷんして、なんでお姉ちゃんはこんな人を選んだんだろうって疑問だった。遠沢は収入が安定せず、纏まった金が入るとそれをパチンコや競馬などのギャンブルに注ぎ込み、使い果たしてしまう、タチの悪い男だった。生活を支えるため、お姉ちゃんは結婚後もずっと正社員として働き続けていた。
もちろん両親はこのことを知らない。知ったら激怒して、離婚させられることは間違いないからだ。
新婚の2人の邪魔をしたくないと遠慮した私に、遠沢はしょっちゅう出かけて家にいないことの方が多いから心配しなくてもいい、とお姉ちゃんが言ってくれた。それなら、あまり気を遣うこともないだろうし、顔を合わせずに済むかもしれない。そんな思いから、本当は受験の為に3日だけ上京する予定だったけど、ホテル代も浮いたことだし、せっかく久しぶりに会えるんだからというお姉ちゃんの勧めもあって、1週間滞在することにした。
受験の3日前に上京して、お姉ちゃんの家に泊めてもらった。お姉ちゃんの言った通り、旦那である遠沢は家に帰りもしなければ、連絡すら寄越してこなかった。
『寂しくないの?』
そう問いかけた私に、
『もう......慣れた。それに、今は久美がいるし』
寂しそうな笑顔でお姉ちゃんが答えた。
どうして、離婚しないの?
言いかけた言葉を飲み込み、私は笑顔で頷いた。
それから3日後。
試験を無事に終え、あとは楽しみの東京見学だけとなった。試験の翌日である今日は、ゆっくり受験の疲れをとるようにと言ってお姉ちゃんは仕事に出かけ、明日から休みをとって付き合ってくれることになっていた。
私はようやく受験のストレスから解放され、ひとりでソファに寝転がり、テレビを観ていた。安心感からか、眠気が襲ってきてボーッとしてきた。
あともう少しで眠りそう......という瞬間、いきなり外の扉のノブがガチャガチャいう音が聞こえてきた。
あ、あれ......もう、お姉ちゃん帰ってきたの?
そう思ってリビングの扉を見つめた先には......遠沢がいた。
ソファから急いで躰を起こし、正座した。かなりくつろいでいたところを見られて、罰が悪い。
『お邪魔...してます』
俯くと、自分が部屋着のままだったことに気づいた。
『あぁ。由美から、聞いてる』
お姉ちゃんの名前が出てホッとした。
ちゃんと話してくれてたんだ。
『あの、すみません......突然お邪魔しちゃって』
そう言って見上げた先には、ニヤニヤと不敵な笑いを浮かべながら私の全身を舐め回すように見つめ、煙草を口に咥えた遠沢が見えた。
咄嗟に、身の危険を感じた。
『じゃ、私...失礼します......』
立ち去ろうとした私の目の前に、遠沢の太い腕が伸び、次の瞬間には押し倒されていた。
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