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乱心
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薫子だけでなく、陽子の言葉にその場にいた全員がショックを受けていた。
そんな中、陽子は気丈に薫子の元へ行き、手を取った。
「私が...運転する、から......病院、行こ?」
薫子の肩が僅かに震えた。激しく動揺しているのが伝わってくる。
「う...そ...う、そ......うそ......」
独り言のように、ボソボソと繰り返し呟く。
美姫だって、信じられなかった。ほんのつい先ほど、悠と会話を交わしたばかりだった。
これから来ると、言っていたのに……
怒っているかのように、薫子が声を張り上げた。
「嘘!!!そんなの、嘘!!!
悠は、ここに来る!!!そう、悠が言ったんだから!!!」
挑むような怒りに燃えた目線を陽子に投げかけ、それからハッとしたように立ち上がり、窓に向かって駆け出す。
先程まで、どれだけ美姫が動かそうと手を焼いてもテコでも動かなかった薫子の突然の行動に、皆が呆然と彼女を見つめた。
薫子は勢い良くカーテンを開けると、窓の取っ手に手を掛けた。
「...待た、なきゃ......ここで、待ってないと......悠が、もうすぐ来るはず......悠が......悠が、来る...来てくれる.....悠が」
ガタガタ震える躰を寄りかかるように窓に預け、ブツブツと呟きながら窓の外を一心に見つめる。
かお、るこ……
信じたくない一心で突き動かされている薫子にショックを受けつつも、なんとかしなくてはと思うのに、躰が動かない。
陽子がそんな薫子の側へ行き、優しく声をかけた。
「かお、るこ......もしかしたら、そんなに大したことなくて......風間君、病院で待ってるかもしれないし...行こ?」
伸ばされた陽子の手を、薫子は思い切り振り払った。
「ヤメテーーーッッ!
触らないで!!!あっち行ってーーーーーっっ!!!」
発狂したように叫ぶと、今度は側のデスクから本やペンなどを掴むと手当たり次第に投げつけ始めた。
飛んできた本を顔の前に持ってきた腕で振り払いながら、陽子が叫ぶ。
「っ... やめ...薫子っ!」
「悠が、悠が...すぐに迎えに来るんだから!!!
私たち、これからふたりで一緒になるって決めたんだから!!!邪魔しないでっ!!!」
薫子の目にも耳にも何も入ってこないようだった。陽子にではなく、迫ってくる見えない何かに対抗するように、薫子は一心に物を投げつけた。
そんな薫子の姿を、美姫は茫然と見ていた。
そんな中、陽子は気丈に薫子の元へ行き、手を取った。
「私が...運転する、から......病院、行こ?」
薫子の肩が僅かに震えた。激しく動揺しているのが伝わってくる。
「う...そ...う、そ......うそ......」
独り言のように、ボソボソと繰り返し呟く。
美姫だって、信じられなかった。ほんのつい先ほど、悠と会話を交わしたばかりだった。
これから来ると、言っていたのに……
怒っているかのように、薫子が声を張り上げた。
「嘘!!!そんなの、嘘!!!
悠は、ここに来る!!!そう、悠が言ったんだから!!!」
挑むような怒りに燃えた目線を陽子に投げかけ、それからハッとしたように立ち上がり、窓に向かって駆け出す。
先程まで、どれだけ美姫が動かそうと手を焼いてもテコでも動かなかった薫子の突然の行動に、皆が呆然と彼女を見つめた。
薫子は勢い良くカーテンを開けると、窓の取っ手に手を掛けた。
「...待た、なきゃ......ここで、待ってないと......悠が、もうすぐ来るはず......悠が......悠が、来る...来てくれる.....悠が」
ガタガタ震える躰を寄りかかるように窓に預け、ブツブツと呟きながら窓の外を一心に見つめる。
かお、るこ……
信じたくない一心で突き動かされている薫子にショックを受けつつも、なんとかしなくてはと思うのに、躰が動かない。
陽子がそんな薫子の側へ行き、優しく声をかけた。
「かお、るこ......もしかしたら、そんなに大したことなくて......風間君、病院で待ってるかもしれないし...行こ?」
伸ばされた陽子の手を、薫子は思い切り振り払った。
「ヤメテーーーッッ!
触らないで!!!あっち行ってーーーーーっっ!!!」
発狂したように叫ぶと、今度は側のデスクから本やペンなどを掴むと手当たり次第に投げつけ始めた。
飛んできた本を顔の前に持ってきた腕で振り払いながら、陽子が叫ぶ。
「っ... やめ...薫子っ!」
「悠が、悠が...すぐに迎えに来るんだから!!!
私たち、これからふたりで一緒になるって決めたんだから!!!邪魔しないでっ!!!」
薫子の目にも耳にも何も入ってこないようだった。陽子にではなく、迫ってくる見えない何かに対抗するように、薫子は一心に物を投げつけた。
そんな薫子の姿を、美姫は茫然と見ていた。
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