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美姫への想い ー大和過去編ー
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美姫と付き合い始めてから、俺は美姫の気をひこうと必死だった。本来まめじゃない性格の俺が、付き合い始めてからは毎日LINEや電話で連絡するようになったり、朝は苦手なのに早朝から美姫と待ち合わせして一緒に学校に行ったりした。
それは、俺といながらも時々どこか遠くに思いを馳せる美姫の態度に、不安を抱いていたことも原因だった。
なぜなら……俺はあの後、知ったのだ。美姫の叔父である来栖秀一がモルテッソーニに師事するためオーストリアへと旅立ってしまったこと。そして、その翌日に美姫が俺と付き合うことを決めたのだということを。
ショックじゃない、といえば嘘になる。
だが、それ以上に、これは俺にとってチャンスだと思った。
来栖秀一という、美姫にとって大きかった存在が離れてしまった今、俺は……来栖秀一以上の存在になりたい。
いや、なってやる……
そう、決意していた。
実際、俺と美姫の距離はだんだんと縮まっているように思えた。美姫は以前よりよく笑うようになったし、物思いにふけることも少なくなっていった。
付き合ってから3ヶ月目のデートの帰り。
俺は美姫との付き合いに不安な気持ちを打ち明けた。
「美姫は…その…気持ち的に…変わったのかな、って思って…」
俺はいつも恐れてた、いつ美姫から別れを告げられるんだろうって。女々しいが、美姫の気持ちがちゃんと俺に向いてるのかずっと気になってた。
美姫は真剣に受け止め、答えてくれた。
「うん。大和のこと…前よりももっと近付いた気がするし……もっと、好きになっていってるよ」
「いつも…大和が私を大切に想ってくれてること、すごく伝わってるよ。本当に、嬉しいの……」
それは、俺に自信を与えてくれた。
「美姫......」
好きだ......
そして、重ねた唇。甘くて蕩けるその感触は、俺の胸を熱くした。
それから、学校の帰りやデートの時にキスするようになると、もっと美姫が欲しくて堪らなくなった。
「ん……だ、め……やま、と……」
「ご、ごめん……つい、気持ちが盛り上がっちゃって……」
俺達はキスから先へは進まなかった。でも、何よりも美姫を大切にしたかったし、躰よりも心で繋がっていたかったから、俺は美姫の心の準備が出来るまで待つつもりだった。
美姫と、心と躰を繋げられる日がいつか来るはず......
そう、信じてた。
ーーそう、信じたかったんだ......
それは、俺といながらも時々どこか遠くに思いを馳せる美姫の態度に、不安を抱いていたことも原因だった。
なぜなら……俺はあの後、知ったのだ。美姫の叔父である来栖秀一がモルテッソーニに師事するためオーストリアへと旅立ってしまったこと。そして、その翌日に美姫が俺と付き合うことを決めたのだということを。
ショックじゃない、といえば嘘になる。
だが、それ以上に、これは俺にとってチャンスだと思った。
来栖秀一という、美姫にとって大きかった存在が離れてしまった今、俺は……来栖秀一以上の存在になりたい。
いや、なってやる……
そう、決意していた。
実際、俺と美姫の距離はだんだんと縮まっているように思えた。美姫は以前よりよく笑うようになったし、物思いにふけることも少なくなっていった。
付き合ってから3ヶ月目のデートの帰り。
俺は美姫との付き合いに不安な気持ちを打ち明けた。
「美姫は…その…気持ち的に…変わったのかな、って思って…」
俺はいつも恐れてた、いつ美姫から別れを告げられるんだろうって。女々しいが、美姫の気持ちがちゃんと俺に向いてるのかずっと気になってた。
美姫は真剣に受け止め、答えてくれた。
「うん。大和のこと…前よりももっと近付いた気がするし……もっと、好きになっていってるよ」
「いつも…大和が私を大切に想ってくれてること、すごく伝わってるよ。本当に、嬉しいの……」
それは、俺に自信を与えてくれた。
「美姫......」
好きだ......
そして、重ねた唇。甘くて蕩けるその感触は、俺の胸を熱くした。
それから、学校の帰りやデートの時にキスするようになると、もっと美姫が欲しくて堪らなくなった。
「ん……だ、め……やま、と……」
「ご、ごめん……つい、気持ちが盛り上がっちゃって……」
俺達はキスから先へは進まなかった。でも、何よりも美姫を大切にしたかったし、躰よりも心で繋がっていたかったから、俺は美姫の心の準備が出来るまで待つつもりだった。
美姫と、心と躰を繋げられる日がいつか来るはず......
そう、信じてた。
ーーそう、信じたかったんだ......
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