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可愛い彼女の本心は……

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「ごめんなさい、段ボールが散乱してて……」
「引っ越してきたばかりなんだから、気にしないで」

 私は段ボール箱に囲まれ、ローテーブルに座った。

 まだ梱包がほとんど解かれていないけど、そこに置かれた家具や開けられたダンボール箱から覗く小物はガーリーテイストなものばかり。部屋のつくりは私と全く同じに関わらず、シンプルな私の部屋とは全く違って見えた。

 彼女はいそいそとキッチンに行き、流し台の側の床に置いてあった段ボール箱を開けて鍋やら菜箸やらを出していた。なんだか申し訳ない。

 出来上がった蕎麦をふたりで食べながら、自己紹介のような形で会話が進む。

 彼女は同じ大学でしかも学部も学科も同じ2個下の新入生だった。このアパートの周辺にはうちの大学ぐらいしかないため、同じ大学だろうなとは思っていたけど、学科まで同じとは思わなかった。しかも私がとっているのは外国語学部ドイツ語学科だ。それほど人気のある学科ではない。

「あの……せっかく仲良くなったし、美来さんって呼んでもいいですか?」

 彼女は遠慮がちに声をかけた。少し首を傾げるその仕草に、なぜか女の私までキュンとしてしまう。

 動揺を隠すように、少し目線を下げて話した。

「うん、美来でも美来さんでも何でも呼んで。じゃ、私はやよいって呼ばせてもらうね」

 中・高とバスケ部だった私は下級生をいつも名前で呼び捨てにするのが常だったので、ちゃん付けやさん付けよりも呼び捨ての方が心地よく感じた。

 それから私たちは、取っている講義がよく重なっていることもあり、一緒に大学へ行くようになった。ただ、帰りは私が週5で居酒屋でバイトを入れているため、あまり一緒に帰ることはなかった。親には学費のみしか援助してもらっていないので、生活費を稼ぐのに必死だ。

 朝はシリアルとか適当に食べ、昼は学食、夜ご飯はだいたいバイトの賄いで済ませている私をやよいは心配して、時々彼女の家にご飯に呼ばれたりした。

「やよい、こんな可愛くて料理も出来て、なんていったら男がほっとかないでしょ」
「えぇっ、そんなこと……ないです。付き合ったこととか、ありませんし……」

 やよいは途端に顔を赤らめた。私も人のこと言えないけど、相当奥手らしい。

「嘘っ、マジで!?もったいなぁい!」
「は、い……美來さんは彼氏いるんですか?」
「うん、まぁ一応ね」

 人から湊のことを彼氏と言われることに、擽ったさを感じてしまう。
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