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66. 一抹の不安
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義昭の話題から気を逸らすように、美羽は仕事の話を持ちかけた。
「まだお店の外の掃除、してないよね?」
「あぁ、悪いな。あと、そこに今日のランチとオススメを書いておいたから、黒板に書いておいてくれるか?」
「分かった」
美羽はメモを手に、従業員用の控室に向かった。
控室は6畳ほどのスペースに4人掛けの木製のテーブルとパソコンが置かれた事務用デスク、従業員用ロッカーとカーテンで仕切られた着替え用のスペースがあり、かなり狭く感じる。美羽はクリーニングに出しておいたユニフォームを手に取ると更衣室に入り、カーテンを敷くと一段高くなったところに荷物を置いた。
白シャツにブラウンのスカーフ、黒パンツの上にスカーフと同色のソムリエエプロンをキュッと締めた。最後にハンチングを被り、壁に備え付けられた姿見でチェックする。
ユニフォームを着るだけで、自然と仕事モードに切り替わるのを感じた。
朝に飲んだ頭痛薬がようやく効いてきて、気分も落ち着いてきた。
箒と塵取りを持って店の外に出ると、道の向こう側を浩平が歩いているのが見えた。
明るい茶色の髪に日に焼けた肌、引き締まった体躯は趣味のサーフィンからだった。くりっとした丸い瞳と少し上がり気味の小さい鼻と大きな口という見た目からして子犬のような浩平だが、性格も忠実で人懐っこくて好奇心旺盛でワンコ気質だ。
「美羽さーん! おかえりなさーい!!」
美羽に気付いた浩平が笑顔でブンブンと手を振り、美羽もそれに微笑んで小さく手を振った。
浩平は高校に入学したもののすぐ中退し、カフェの厨房で働き始め、もう4年ここにいる。隼斗は浩平にとって師匠であり、兄のような存在でもある。そんな浩平は、隼斗の妹である美羽のことも慕ってくれている。
「美羽さん、今日から復帰だったんすね?」
「うん、迷惑かけてごめんね。またよろしくね」
「ぜんっぜん大丈夫っすよー。美羽さんいなくてみんな寂しいって言ってたから、めちゃめちゃ気合い入ります! あ、俺もっすけど!」
綺麗な白い歯を見せ、浩平は全開の笑顔になった。浩平と話していると、美羽も自然と笑顔になる。明るく朗らかな浩平は、カフェのムードメーカーだ。
「今日は、誰が入ってるの?」
「えーっと、ランチはよっしーとかおりんで、ディナーはよっしー抜けてもえたん来ます」
「そっか。みんなに久しぶりに会えるの、嬉しいな」
自分の家に帰ってきたような温かい気持ちになりつつ、この穏やかな時間がいつまで続くのかと一抹の不安が美羽の心に過ぎった。
「まだお店の外の掃除、してないよね?」
「あぁ、悪いな。あと、そこに今日のランチとオススメを書いておいたから、黒板に書いておいてくれるか?」
「分かった」
美羽はメモを手に、従業員用の控室に向かった。
控室は6畳ほどのスペースに4人掛けの木製のテーブルとパソコンが置かれた事務用デスク、従業員用ロッカーとカーテンで仕切られた着替え用のスペースがあり、かなり狭く感じる。美羽はクリーニングに出しておいたユニフォームを手に取ると更衣室に入り、カーテンを敷くと一段高くなったところに荷物を置いた。
白シャツにブラウンのスカーフ、黒パンツの上にスカーフと同色のソムリエエプロンをキュッと締めた。最後にハンチングを被り、壁に備え付けられた姿見でチェックする。
ユニフォームを着るだけで、自然と仕事モードに切り替わるのを感じた。
朝に飲んだ頭痛薬がようやく効いてきて、気分も落ち着いてきた。
箒と塵取りを持って店の外に出ると、道の向こう側を浩平が歩いているのが見えた。
明るい茶色の髪に日に焼けた肌、引き締まった体躯は趣味のサーフィンからだった。くりっとした丸い瞳と少し上がり気味の小さい鼻と大きな口という見た目からして子犬のような浩平だが、性格も忠実で人懐っこくて好奇心旺盛でワンコ気質だ。
「美羽さーん! おかえりなさーい!!」
美羽に気付いた浩平が笑顔でブンブンと手を振り、美羽もそれに微笑んで小さく手を振った。
浩平は高校に入学したもののすぐ中退し、カフェの厨房で働き始め、もう4年ここにいる。隼斗は浩平にとって師匠であり、兄のような存在でもある。そんな浩平は、隼斗の妹である美羽のことも慕ってくれている。
「美羽さん、今日から復帰だったんすね?」
「うん、迷惑かけてごめんね。またよろしくね」
「ぜんっぜん大丈夫っすよー。美羽さんいなくてみんな寂しいって言ってたから、めちゃめちゃ気合い入ります! あ、俺もっすけど!」
綺麗な白い歯を見せ、浩平は全開の笑顔になった。浩平と話していると、美羽も自然と笑顔になる。明るく朗らかな浩平は、カフェのムードメーカーだ。
「今日は、誰が入ってるの?」
「えーっと、ランチはよっしーとかおりんで、ディナーはよっしー抜けてもえたん来ます」
「そっか。みんなに久しぶりに会えるの、嬉しいな」
自分の家に帰ってきたような温かい気持ちになりつつ、この穏やかな時間がいつまで続くのかと一抹の不安が美羽の心に過ぎった。
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