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……当ててみて

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果てしなく続く
新幹線の高架下の道路

走り抜ける自転車

前照灯が
ブンブン唸る音が
静かな暗闇に響く

遠慮がちに腰に触れた指

『落ちるから……』

ぐいっと引っ張られ
腕を腰に回される

突然近付いた距離に
跳ねる鼓動

彼の腰に回した腕に
ギュッと力を込めた

『……好きな娘がいるんだ』

不意に落とされた
君の声

どう反応していいか分からない

失望と期待の入り混じった
複雑な気持ち……

『……当ててみて』

そんな問い掛けに
ある女の子の名前を出した

可愛くて
いつも親しげで

彼のことを好き……
そんな気持ちが態度に出てる、女の子

その答えを
聞きたくないのに
言ってしまった

『はぁ?んな訳ないじゃん。
 ……もっと可愛い娘だよ』

『じゃあ……?』

『違う、違う』

何度目かのやり取り……

心臓の音が煩くて
彼の言葉に集中出来ない


『ほら、よく考えて
 他に、いるでしょ?』

ドキドキが……

『もう、知ってる娘
 他にいないよ……』

止まらない……

『いるよ』

彼の右手がハンドルを離れ
私の腕を指先でトントン
軽く、弾いた

『今、
 俺の後ろに座ってる娘……』

心臓が
爆発、しそう……

彼の表情は窺えない
けれど

背中から
緊張感が伝わってくる

声が……震える……

『へ、ぇ…偶然、だね……
 私の、好きな、人……
 前の、席に…座ってるの……』

彼の肩がビクンッと揺れて

一瞬
後ろを振り向いた

『めっちゃ嬉しい!』

まるでそこだけ太陽に照らされたみたいな
満面の笑顔

嬉しさと恥ずかしさで
胸がキュンとなる

夢じゃ……ない、よね?

確かめたくて、もう一度
彼の腰にギュッと腕を回した

自転車が、二人を乗せて
高架下を駆け抜ける
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