【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

奏音 美都

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愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

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 シルべスタインが立ち去るベルゼウスを気にしつつも、手早くアンジェリーナに小さな箱を渡す。

「女王陛下、これを……」
「えっ!? 私に、ですか?」

 顔を赤らめながらも、シルべスタインがわざと顔を顰めて答える。

「誤解しないで下さい。ベルゼウス様の側近として、シャルール公国の女王陛下に敬意を払っただけです」

 箱を開けると、そこにはシュテンスタインの王章が刻まれた万年筆が入っていた。

「以前、貴方がシュテンスタインの王章が美しいと仰っていたので……これで公務が少しでも捗れば、我が国にとっても有益だと考えましたので」
「シルべスタイン! とっても嬉しいです、ありがとうございます」

 笑顔で答えるアンジェリーナにシルべスタインはますます顔を赤くした。

「では、私はこれで」

 それから、いそいそとベルゼウスの後を追った。

 ルノーはそんな彼を、驚きと共に見送った。

 あの堅物で常に冷静沈着、無表情なシルべスタインが、アンジェにプレゼントをするなんて……ありえない。
 しかも、あの顔はなんだ? あいつは、ベルゼウス以外のことは頭にないと思っていたが、油断出来ないな。

 立ち去ったシルべスタインの後ろから、ユリウスがリスのように可愛らしくちょこんと顔を覗かせる。

「アンジェリーナ様!」
「ユリウス!」

 二人は手を取り合って、久々の再会を喜んでいる。

 ユリウスはベルゼウスの命を受けてスパイとしてシャルール公国に潜入したのではなく、ベルゼウスの為に役に立ちたくて独断で潜入し、アンジェリーナの執事として仕えていた。

 だが、アンジェリーナと共に時間を過ごすうちに彼女の優しくて温かい人柄に触れ、次第に惹かれていった。それだけでなく、両親を亡くしたアンジェリーナに幼い頃に両親を失った自分の姿が重なり、それでもなお強く心を持ち、若き女王として国を支えていこうとする彼女の姿に胸を打たれた。

 ベルゼウスへの忠誠心はあるものの、シャルール公国、そして女王となったアンジェリーナを裏切りたくない。悩みに悩んで、ベルゼウスの右腕でもあり、ユリウスのよきライバルであるシルべスタインに手紙を送ったのだが、それがルノーに見つかり、ユリウスはスパイとして捕らえられたのだった。

 だが、アンジェリーナはユリウスを疑わず、彼が潔白だと信じ続けた。そして、今まで親交のなかったシュテンスタイン王国に自ら乗り込み、ベルゼウスに会談を申し出た。

 結果は、ユリウスはシャルール公国を追放されることとなったが、今でもユリウスはアンジェリーナと時々手紙を交わしている。

 それにしても、女王と執事との関係で、こんなにも親しくなるものか?

 ルノーは不機嫌そうに、手をとるふたりを見つめた。

「アンジェリーナ様、元気にしてた?
 僕がいなくて寂しいんじゃない?」

 なっ……!

 ルノーの躰がピクンと震える。

 ユリウスの言葉にアンジェリーナがクスッと笑みを浮かべた。

「ユリウスは相変わらずだね。
 そうだね、ユリウスがいないと寂しいよ」
「僕も、アンジェリーナ様の可愛い寝顔が見られなくて寂しいもん。シュテンスタインは女っけなくてさぁ、男ばっかで汗臭くて嫌になるよ」

 ルノーのこめかみがピクピクと震える。

 可愛い寝顔? 俺のアンジェの寝顔を見るなんて……元執事とはいえ、許せない。

 ルノーが怒りで肩を震わせる。

「はいっ、俺からアンジェリーナ様にプレゼント!」
「ありがとう、ユリウス」

 満面の笑みで、アンジェリーナがこたえた。

 その笑顔は、俺だけのものなのに……

 ルノーが拳を握り締める。

 箱を開けると、そこにはピンクのシースルー素材にたっぷりとフリルのついた膝上丈の夜着が入っていた。

「ちょっ……ユリウス!」
「なに、アンジェリーナ様?」

 ユリウスが屈託のない笑顔で答える。

「恥ずかしくて……着られないよ」

 アンジェリーナが照れながら、困ったように小声で告げる。

「絶対にアンジェリーナ様に似合うと思ったんだけどな」

 ユリウスが悪戯っぽくニヤッと笑う。

「アンジェリーナ様のあの天使のような寝顔にこの夜着着られたら、襲わずにはいられないよ」

 ルノーのこめかみがピキッと音を立てた。かつて領民に恐れられた『氷の公爵』が蘇る。誰をも一瞬で凍らせる冷やかな表情で、ユリウスに告げた。

「ユリウス、君にはあの時我が国で、処罰を科すべきだったな」
「ル、ルノー……こ、国王陛下……」
「それとも今ここで、尋問にかけるか……」

 ユリウスが、ぴょんと後ろに仰け反った。

「あ、俺、ベルゼウス様待たせてるから、もう行かないと! じゃ、またね、アンジェリーナ様。
 ……失礼します、国王陛下」

 ユリウスが風のように去っていった。
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