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愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる

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 アンジェリーナが優しく諭すような口調で、ルノーに呼びかける。

「ルノー、こっち向いて?」

 ルノーがアンジェリーナの方へと顔を向けると、彼女が首に腕を回し、背伸びをして軽く唇を重ねた。

「ッッアン、ジェ……」

 首に回されていた両腕が背中へと下り、ルノーはギュッとアンジェリーナに抱き締められる。

「ルノー、泣かないで……」
「えっ、泣いてないよ」
「うん。でも……泣きそうな顔してる。
 私は、ルノーの元を、何があっても離れないよ」
「アンジェ……」
「宣言式の前の日に、玉座の前で私に誓ってくれたでしょ?」

 父であるフィリップス国王が崩御し、悲しみの癒えぬうちに、アンジェリーナは彼の後を継いで女王陛下として即位することを伝える宣言式を控えていた。

 宣言式の前日、ルノーは玉座の前に立つアンジェリーナの前に跪き誓った。

『この先何があっても、君を一人にしないと誓う。
 愛することも、愛されることも、アンジェが俺に教えてくれたから……』

 その言葉が、どれだけアンジェリーナにとって心強かったことか。

『……俺と共に生きてくれますか』

 アンジェリーナもまた、ルノーと共に生きていきたい、そう思った。たとえ、どんな困難がふたりの前に立ちはだかろうとも。

 それから2年の月日が経ち、ふたりは夫婦として、シャルール公国を支える国王と女王として、共にいる。ようやく、ふたりの夢が叶ったのだ。

「だから、私も……ルノーから離れない。絶対にルノーを一人にしないよ。
 ルノーと一緒に生きていきたいの」

 ルノーの心が温かさに満たされていく。

 俺の不安も孤独も全て受け入れ、微笑んでくれる……やっぱりアンジェには、敵わない。

 愛しさが込み上げ、幸せで胸が詰まる。

「アンジェ、愛してる」
「ルノー、私も、愛してる……」

 お互い引き寄せられるように顔を近づけ、唇を重ねる。

 君と出会えたこと、君が俺の傍にいてくれること、そして君が俺を愛してくれること。
 その全ては、俺にとって奇跡のようだ……

 アンジェリーナと重ねた唇から彼女の温かい体温が伝わり、それがルノーの心の芯まで優しく温めていく。

 離れがたい気持ちを抑え、ゆっくりと唇を離す。

「いつまでもこうしていたいけど……今日は、なかなかアンジェを独占させてもらえないみたいだ」

 アンジェリーナが、フフッと笑みを浮かべる。

「でも、心はいつもルノーだけのものだよ?」

 アンジェ……

 ルノーは、アンジェリーナの額に自分の額をコツンと合わせる。

「そして、覚えておいて……夜は、心も躰も俺だけのものだから」

 アンジェリーナの額が熱くなり、頬が赤く染まる。

「う、ん……わかった……」
「アンジェ、背中向いて?」

 そう言いながらアンジェリーナの両肩にルノーが手を置き、くるりと背を向けさせる。コルセットを胸まで引き上げ、丁寧に紐を編み上げていく。

「ルノー……ありがとう」

 言いながら、アンジェリーナの首筋がほんのりと赤くなっている。

 可愛い……

 アンジェリーナのうなじに吸い寄せられるように、ルノーが接吻を落とす。

 贈り物の上に置かれたドレスを取り上げ、裾を広げる。

「アンジェ、脚入れて?」
「うん」

 アンジェリーナの白くて細い脚がすっと入り、ドレスを引き上げる。ファスナーを閉じ、ドレスを整えた。

「少し髪、乱れちゃったね」

 ルノーがアンジェリーナの手を引き、書類整理のために置いてある机と椅子のある場所へ連れて行く。椅子に座らせて、結い上げた髪を丁寧に直した。

「ほんとにルノーって何でもできるんだね……」

 アンジェリーナが感心したように呟く。

「行こうか」

 ルノーが手を差し出すと、嬉しそうにアンジェリーナがその手をとった。

 倉を抜け、ジルベールの執務室へと向かう途中に、二人の寝室がある部屋を通りかかろうとすると、アンジェリーナが声をかけた。

「ちょっと、寄ってもいいかな?」

 何故かアンジェリーナが恥ずかしそうに、俯きながら尋ねる。

「忘れ物?」
「ううん……そういうわけじゃないんだけど」
「じゃあ、一緒に戻ろ?」
「あ! ルノー、は……ここで待っててもらっていいかな?」
「何か、気になることでもあるの?」

 すると、アンジェリーナが顔を真っ赤にして答える。

「その……下着を取り替えたくて……だから……少し待ってて」

 すると、ルノーもまた、アンジェリーナと同様に顔を赤くした。

 こんなことをアンジェに言わせるなんて、夫失格だな。

「……うん、分かった」
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