1 / 2
今カレ振って、好きな人に告白するつもりが、順番間違えて修羅場になっちゃいました
しおりを挟む
ど、どうしよう……
翼くんと、ふたりきりになっちゃった。
放課後の補習クラス。まさか翼くんとふたりだけだなんて、思わなかった。しかも先生、呼び出し受けて後でプリント職員室に提出しろっていなくなっちゃうし。
「美奈ちゃんとふたりきりになれて嬉しいな」
光に透けそうなライトブラウンの髪を掻き上げて、天使のような微笑みで私を見つめてくれる翼くん。あぁ、そんなのもう、絶対に好きになっちゃうから。
翼くんは1ヶ月前にうちの高校に転入してきた。親の転勤で引っ越してきたんだって。
翼くんをひとめ見た時から気になってたんだけど、それから喋ったり、一緒に委員をやったりするうちにどんどん好きになってた。
でも……そこには、問題があって。
「美奈ちゃんって、3組の近藤くんと付き合ってるって聞いたんだけど、ほんと?」
ングッ……知ってたんだ。
「残念だなぁ。美奈ちゃんが、彼氏もちじゃなかったら告ってたのに」
私の顔を覗き込んで、きゅるるんとした瞳で見つめられたら……意識がぶっ飛んで、口走ってた。
「別れた! 別れたの!!
智司、とは……」
うわっ、私、何言った今!?
確かに翼くんのことを好きになっちゃって、智司に対して申し訳ない気持ちになって、別れ話を言い出さなきゃとは思ってたけど……いざとなると言い出せなくて、結局ずるずる付き合ってるくせに。
翼くんが目を丸くして、可愛い顔を近づけてきた。
「え、別れたの? ほんとに?」
「う、うん……
だって私……翼くんのこと、好きになっちゃったから」
うわーっ、言っちゃった!!
ちょっと順番が先になっちゃったけど、この後すぐに智司に別れるって言えばいいことだし、大丈夫だよね?
「美奈ちゃんも僕のこと好きだったなんて、嬉しい……」
蕩けるような笑顔で私を見つめると、翼くんが私に唇を寄せてきた。
翼くんとキス、なんて……夢みたい。
瞳を閉じて、翼くんの唇が触れかけた瞬間……
ガラガラーッ!!
勢いよく教室の扉が開いた。
「美奈、おめぇ何してんだ!!」
「ッッ智司!!」
え、え、なんでここにいるの!?
「お前、今日俺と帰るって約束してただろーが!!」
「え、嘘!? やだっ、忘れてた!!」
そういえば昨日、智司から一緒に帰ろうって言われてたんだった。補修受けることになって、翼くんとふたりきりになって、すっかり頭から抜けてたー!!
智司がずかずかと翼くんに歩いていくと、いきなり左頬を殴りつけた。
「ちょ、智司!! やめてよ!!」
「てめぇ、ふざけんな!! 美奈にちょっかいだしやがって!!」
翼くんは軽く吹っ飛び、机に頭を思いっきりぶつけた。
「いててて……近藤くん、美奈ちゃんと別れたんでしょ?」
「ハァ? 別れてねーし!!」
「で、でも……美奈ちゃんが、別れたって言ってたよ……」
智司が私を見つめて、眉を寄せた。
「どういうことだよ?」
智司に凄まれて、嘘なんてつけなかった。
「ご、ごめん!!
ほんとは先に智司に別れ話をするつもりだったんだけど……なんか翼くんといい雰囲気になったから、つい口が滑って告っちゃったの。だから智司、別れて!!」
「お前、サイテーだな」
智司が翼くんに歩み寄ると、ぶっきらぼうに手を差し出した。翼くんはちょっと躊躇いつつも、その手を握り、助け起こしてもらった。
「お前みたいな女、こっちから願い下げだ。
本前、済まなかったな……お前のせいじゃなかったのに、殴っちまって。
じゃ、俺いくわ」
そう言って、智司が教室を出て行った。
ど、どうしよう……智司のこと、傷つけちゃった。
そう思いつつも、智司が別れてくれたことにホッとしてもいた。これでちゃんと、翼くんと付き合うことができる。
翼くんを振り返ると、唇の端が切れてた。
「翼くん!! 血が……」
ハンカチを手渡そうとすると、押し退けられた。
「いい。
君がそんなアザとい女だったなんて、気づかなかった。もう僕に、話しかけないで」
翼くんが見下すような目つきで私を見下ろし、去って行く。
う、嘘……
待って、違うの!!
タイミングを間違っただけなのーー!!
なんでこうなるのよーーっっ!!
翼くんと、ふたりきりになっちゃった。
放課後の補習クラス。まさか翼くんとふたりだけだなんて、思わなかった。しかも先生、呼び出し受けて後でプリント職員室に提出しろっていなくなっちゃうし。
「美奈ちゃんとふたりきりになれて嬉しいな」
光に透けそうなライトブラウンの髪を掻き上げて、天使のような微笑みで私を見つめてくれる翼くん。あぁ、そんなのもう、絶対に好きになっちゃうから。
翼くんは1ヶ月前にうちの高校に転入してきた。親の転勤で引っ越してきたんだって。
翼くんをひとめ見た時から気になってたんだけど、それから喋ったり、一緒に委員をやったりするうちにどんどん好きになってた。
でも……そこには、問題があって。
「美奈ちゃんって、3組の近藤くんと付き合ってるって聞いたんだけど、ほんと?」
ングッ……知ってたんだ。
「残念だなぁ。美奈ちゃんが、彼氏もちじゃなかったら告ってたのに」
私の顔を覗き込んで、きゅるるんとした瞳で見つめられたら……意識がぶっ飛んで、口走ってた。
「別れた! 別れたの!!
智司、とは……」
うわっ、私、何言った今!?
確かに翼くんのことを好きになっちゃって、智司に対して申し訳ない気持ちになって、別れ話を言い出さなきゃとは思ってたけど……いざとなると言い出せなくて、結局ずるずる付き合ってるくせに。
翼くんが目を丸くして、可愛い顔を近づけてきた。
「え、別れたの? ほんとに?」
「う、うん……
だって私……翼くんのこと、好きになっちゃったから」
うわーっ、言っちゃった!!
ちょっと順番が先になっちゃったけど、この後すぐに智司に別れるって言えばいいことだし、大丈夫だよね?
「美奈ちゃんも僕のこと好きだったなんて、嬉しい……」
蕩けるような笑顔で私を見つめると、翼くんが私に唇を寄せてきた。
翼くんとキス、なんて……夢みたい。
瞳を閉じて、翼くんの唇が触れかけた瞬間……
ガラガラーッ!!
勢いよく教室の扉が開いた。
「美奈、おめぇ何してんだ!!」
「ッッ智司!!」
え、え、なんでここにいるの!?
「お前、今日俺と帰るって約束してただろーが!!」
「え、嘘!? やだっ、忘れてた!!」
そういえば昨日、智司から一緒に帰ろうって言われてたんだった。補修受けることになって、翼くんとふたりきりになって、すっかり頭から抜けてたー!!
智司がずかずかと翼くんに歩いていくと、いきなり左頬を殴りつけた。
「ちょ、智司!! やめてよ!!」
「てめぇ、ふざけんな!! 美奈にちょっかいだしやがって!!」
翼くんは軽く吹っ飛び、机に頭を思いっきりぶつけた。
「いててて……近藤くん、美奈ちゃんと別れたんでしょ?」
「ハァ? 別れてねーし!!」
「で、でも……美奈ちゃんが、別れたって言ってたよ……」
智司が私を見つめて、眉を寄せた。
「どういうことだよ?」
智司に凄まれて、嘘なんてつけなかった。
「ご、ごめん!!
ほんとは先に智司に別れ話をするつもりだったんだけど……なんか翼くんといい雰囲気になったから、つい口が滑って告っちゃったの。だから智司、別れて!!」
「お前、サイテーだな」
智司が翼くんに歩み寄ると、ぶっきらぼうに手を差し出した。翼くんはちょっと躊躇いつつも、その手を握り、助け起こしてもらった。
「お前みたいな女、こっちから願い下げだ。
本前、済まなかったな……お前のせいじゃなかったのに、殴っちまって。
じゃ、俺いくわ」
そう言って、智司が教室を出て行った。
ど、どうしよう……智司のこと、傷つけちゃった。
そう思いつつも、智司が別れてくれたことにホッとしてもいた。これでちゃんと、翼くんと付き合うことができる。
翼くんを振り返ると、唇の端が切れてた。
「翼くん!! 血が……」
ハンカチを手渡そうとすると、押し退けられた。
「いい。
君がそんなアザとい女だったなんて、気づかなかった。もう僕に、話しかけないで」
翼くんが見下すような目つきで私を見下ろし、去って行く。
う、嘘……
待って、違うの!!
タイミングを間違っただけなのーー!!
なんでこうなるのよーーっっ!!
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。
みゅー
恋愛
王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。
いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。
聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。
王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。
ちょっと切ないお話です。
「好きです、付き合って下さい!」と手を差し出した相手は……好きな人の隣にいた、友達の方でした
奏音 美都
恋愛
駅の改札口で一人立ってる川添くんを見て、告白のチャンスだと思ったのに……
「好きです! 付き合って下さい!!」
そう言って手を差し出した相手は、彼の隣に立っていた中園くんだった。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
「不吉な子」と罵られたので娘を連れて家を出ましたが、どうやら「幸運を呼ぶ子」だったようです。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
マリッサの額にはうっすらと痣がある。
その痣のせいで姑に嫌われ、生まれた娘にも同じ痣があったことで「気味が悪い!不吉な子に違いない」と言われてしまう。
自分のことは我慢できるが娘を傷つけるのは許せない。そう思ったマリッサは離婚して家を出て、新たな出会いを得て幸せになるが……
婚約者様にお子様ができてから、私は……
希猫 ゆうみ
恋愛
アスガルド王国の姫君のダンス教師である私には婚約者がいる。
王室騎士団に所属する伯爵令息ヴィクターだ。しかしある日、突然、ヴィクターは子持ちになった。
神官と女奴隷の間に生まれた〝罪の子〟である私が姫君の教師に抜擢されたのは奇跡であり、貴族に求婚されたのはあり得ない程の幸運だった。
だから、我儘は言えない……
結婚し、養母となることを受け入れるべき……
自分にそう言い聞かせた時、代わりに怒ってくれる人がいた。
姫君の語学教師である伯爵令嬢スカーレイだった。
「勝手です。この子の、女としての幸せはどうなるのです?」
〝罪の子〟の象徴である深紅の瞳。
〝罪の子〟を片時も忘れさせない〝ルビー〟という名前。
冷遇される私をスカーレイは〝スノウ〟と呼び、いつも庇護してくれた。
私は子持ちの婚約者と結婚し、ダンス教師スノウの人生を生きる。
スカーレイの傍で生きていく人生ならば〝スノウ〟は幸せだった。
併し、これが恐ろしい復讐劇の始まりだった。
そしてアスガルド王国を勝利へと導いた国軍から若き中尉ジェイドが送り込まれる。
ジェイドが〝スノウ〟と出会ったその時、全ての歯車が狂い始め───……
(※R15の残酷描写を含む回には話数の後に「※」を付けます。タグにも適用しました。苦手な方は自衛の程よろしくお願いいたします)
(※『王女様、それは酷すぎませんか?』関連作ですが、時系列と国が異なる為それぞれ単品としてお読み頂けます)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる