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美麗な年下国王は、アイスクリームよりも甘く淫らに妻の女王に溶かされる

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 今日はルノーの18歳の誕生日だった。

 朝早くからシャルール公国の国王の誕生日を祝おうと城門へと集まった国民に向けて、バルコニーでルノーと妻である女王のアンジェリーナは顔見せをした。若き美しい国王に国民は歓声を上げ、一様に誕生日の祝いの言葉を叫んでいた。

 元々、ルノーは王位継承者ではなかった。シャルール公国の女王であるアンジェリーナと婚姻し、王配という女王の配偶者に与えられる称号となったが、それでは政治や軍に対する権限は一切ない。アンジェリーナはルノーに、共にシャルール公国を支えてほしいと願ったため、元老院との話し合いの末、王位を受けることが決まり、戴冠式を経てこの国の国王となったのだった。

 それまで、ソノワール公爵として広大な領地を所有し、上級貴族だったルノーだったが、出自は貴族出身ではなく、孤児院で養子として引き取られた上で養父から公爵の爵位を授けられた経緯があったため、多くの元老院の者たちから反発があり、説得は容易ではなかった。

 そこで、ルノーは自身の政治的手腕を見せた上で、隣国のアルル王国から侵攻された際には自ら戦地へと赴いて軍を率い、騎士団を率いるリーダーシップと統率力、軍略に長けた実力を見せ、元老院を納得させた。

 隣に立つ2歳年上である20歳のアンジェリーナは、ブロンドがハイライトのように混ざったブルネットの細く柔らかな巻き毛をしており、長い睫毛に縁取られた優しさの溢れたブラウンの瞳、白くて陶器のような肌に映えるピンクに染まった頬、柔らかく曲線を描く顎のラインで、華奢な躰つきも相まって20歳を超えても未だ少女のようなあどけなさを残していた。

 だが、17歳で愛する両親をクルーズ事故で失い、18歳で女王として即位してからルノーが国王として即位するまでの2年間、アンジェリーナはシャルール公国を統べるトップとして、国を、国民を導いてきた。賢く、決断力も備えながら慈悲深く愛情に満ちたアンジェリーナは国民から愛され、崇拝されている。

 そんなアンジェリーナと共に生きられる喜びを噛みしめながら、ルノーは国民たちに手を振り、挨拶をした。

 それが終わると、特別に事前に今日だけ許可を取り、招待をしていた孤児院の子供達に城内の案内をした。ルノーが幼少時代を過ごした孤児院だ。

 ルノーがいた頃は十分な食事が与えられず、過酷な労働を強いられ、まるで奴隷のように扱われる劣悪な環境だったが、ルノーがソノワール公爵となってから孤児院の院長を解雇して信用のおける新たな院長を引き入れ、栄養のある十分な食事が行き渡り、教育が受けられ、温かなベッドで眠れるようにと改善をした。また、他の孤児院に対してもそういった働きかけをした。

 ここにいる子供たちは皆、肌艶が良く、希望に満ちた瞳をしている。孤児院にいた頃のルノーとは、まるで違う。そんな子供たちの表情に、ルノーは心からの笑みを見せた。それは、『氷の公爵』と呼ばれていた公爵時代のルノーからは、考えられないことだった。

 子供達はルノーに会うと、一斉にお祝いの言葉を述べた。

「お誕生日、おめでとうございます!!」

 子供たちは、ルノーとアンジェリーナの似顔絵やみんなで焼いたというクッキーを得意満面に渡した。

 公爵時代から訪れていた孤児院の子供達は、眩しいほどに逞しく成長していた。出会った頃はよちよち歩きだった子が、今では幼い子供の手を引き面倒をみるまでになっている。その成長ぶりに目を見開くと同時に、心が温かくなるのを感じた。
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