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箱入り令嬢は密かに慕う執事に夜伽の手解きを受け、快楽に沈む

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 スペンサーの唇がアリアの頭から額、瞼、頬、耳へとゆっくりと下りていく。同時に、指先で華奢な腰のラインをなぞられ、ビクビクと震えが走る。切なくて堪らない気持ちが沸き起こり、熱の籠った腰から下がなんだか重く感じる。

 アリアの中で相反する感情がぶつかり合う。

 スペンサーのまるで愛おしむかのように触れる愛撫にもっと触れて欲しいと欲する気持ちと、これ以上触れないで欲しいと拒絶する気持ち。

 こんなに優しく愛おしく触れられたら、忘れられない。きっとまた求めずにはいられなくなる。
 それが、怖い。怖いのに、怖くてたまらないのに、もうそんな感情を無視してでも、何もかも忘れて、欲情に食い尽くされたくなる。

 気づけば、スペンサーの指先がアリアの夜着の肩紐にかかっていた。

「ぁ、だめ……」

 止める間もなく、肩紐が外される。

 アリアの豊かな膨らみの片方が露わになり、恥ずかしさで手で覆おうとすると、手首を頭の上に縫い止められた。

「美しい……今宵は、私の為だけに貴女のその美しい躰を晒してください」
「スペンサー……」

 見上げると、そこには切ない表情で見つめるスペンサーの顔が目の前にあった。

 なぜ、そんな悲しそうな顔で見つめるの?

 アリアの胸が、絞られるように苦しくなる。

 スペンサーの反対側の指先が器用にもう一方の肩紐を外し、下へと下げられた。

「ん……」

 羞恥で顔を真っ赤にしたアリアは俯向こうとしたが、それより早くスペンサーの唇に捕らえられた。

 ピチャピチャと水音を立てながら合わさる唇と舌の感覚が、アリアの官能をより一層擽る。スペンサーの大きな掌がアリアのそれぞれの膨らみを下から包み込み、揉みしだく。

 初めての感触に戸惑いを覚えていたアリアだったが、やがてそれは甘美な感触へと変化していった。

「ハ、ァン……」

 自分ですら聞いたことのない、とびきり甘い艶のある声に驚きながらも、それを止める術を知らない。

 やがて、スペンサーの指先は膨らみの先端の敏感な部分へと伸ばされ、軽く触れた。

「あぁっ!!」

 電気が流れたようなショックが頭から背中へと走り、アリアは小さくのけぞった。

「クスッ。お嬢様は敏感ですね」

 スペンサーに反応を揶揄され、アリアは全身真っ赤になった。

「可愛過ぎて……危ういです」

 その言葉にアリアは顔を上げ、問いかけようとしたが、スペンサーの指で真っ赤に熟した蕾を摘まれ、喉から出た言葉は吐息となって漏れるだけだった。
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