6 / 22
再会
1
しおりを挟む
声の主が、前に進み出る。
その耳慣れた声に、目に映る懐かしい姿に、ジュリアンは安堵の溜息を吐いた。
リアム……
リアムは少し青みがかった黒髪を掻き上げ、深いブルーサファイアの鋭い双眸を向け、薄い唇をキッと上げていた。一番図体のでかい大男には負けるが、背が高く、がっちりとした肩幅に分厚い胸板は衣服を纏っていても感じられ、屈強であることが見た目からも伝わってくる。
リアムは男達に拘束されたジュリアンの姿を認めた途端、みるみるうちに瞳孔が開いていった。
「おっ…まっ……」
リアムは瞳孔が開ききった後、眉間に皺を寄せ、「チッ」と舌打ちした。
それから、リアムはジュリアンの腕を強引に引き寄せた。
「おい、来いっ!」
不意をつかれたジュリアンの腕を取っていた二人はバランスを崩し、見事に前のめりになる。
「な、にしやがんだっ!!」
そのうちの若い方の目がつり上がった男がキッと顔を見上げ、今にも飛びかかりそうな勢いでリアムを睨みつけた。
リアムは、ジュリアンを背後に隠すように庇った。
「コイツに手を出すな」
低い冷たい声が、喧噪の中でもはっきりと響く。
「っは!何言ってやがる。先にそいつを見つけたのは俺たちだ。横取りはいくらリアムでも許さねぇ」
図体の大きい男が不遜な笑いを浮かべながら言った。
その言葉に、リアムはこの男達を知ってるんだ……と、荒くれ者達と知り合いだということにジュリアンは愕然とする。
ギョロ目の男がギラギラとした目でジュリアンに近づく。
「こいつはこれから闇市で競売にかけるんだ。男でも、これだけの上玉だ、うんと高値で売れるにちげぇねぇ。手放すわけにはいかねぇな」
そう言うと、リアムの背後にいたジュリアンを引き剥がすように強引に腕を掴んで引っ張って来た。
「い、いたいっ……」
すると、リアムがギョロ目の男の腕を掴んで引き寄せたかと思うと、一気に突き放した。
ガラガラガラ……ガシャーンッ!!
側にあったテーブルと椅子にギョロ目の男が投げ込まれ、音を立てて椅子が倒れた。
「おい」
リアムはさっきよりも低い声で告げる。
「俺のもんに、手ぇ出すんじゃねぇ!!」
その射るような鋭い目つきに、図体の大きい男の周りにいた手下たちはゴクリと生唾を飲み、一歩後ろへと下がった。
こんな状況にも関わらずリアムに『俺のもん』と呼ばれ、ジュリアンは胸の高鳴りを感じた。
「フッ…ブワッハッハッハッハッハッ……お前のもん、だと!? そんな話、聞いたこともねぇ。
おい、そんなにこいつとヤリたいなら、情報屋で稼いだ金持って闇市にでも来るんだな」
図体の大きい男は豪快に笑うと、仲間達に目で合図をした。後ろに控えていた手下達が動き出そうとする。
「待てよ」
リアムの口角が片側だけ上がり、ニヤリとした。
その耳慣れた声に、目に映る懐かしい姿に、ジュリアンは安堵の溜息を吐いた。
リアム……
リアムは少し青みがかった黒髪を掻き上げ、深いブルーサファイアの鋭い双眸を向け、薄い唇をキッと上げていた。一番図体のでかい大男には負けるが、背が高く、がっちりとした肩幅に分厚い胸板は衣服を纏っていても感じられ、屈強であることが見た目からも伝わってくる。
リアムは男達に拘束されたジュリアンの姿を認めた途端、みるみるうちに瞳孔が開いていった。
「おっ…まっ……」
リアムは瞳孔が開ききった後、眉間に皺を寄せ、「チッ」と舌打ちした。
それから、リアムはジュリアンの腕を強引に引き寄せた。
「おい、来いっ!」
不意をつかれたジュリアンの腕を取っていた二人はバランスを崩し、見事に前のめりになる。
「な、にしやがんだっ!!」
そのうちの若い方の目がつり上がった男がキッと顔を見上げ、今にも飛びかかりそうな勢いでリアムを睨みつけた。
リアムは、ジュリアンを背後に隠すように庇った。
「コイツに手を出すな」
低い冷たい声が、喧噪の中でもはっきりと響く。
「っは!何言ってやがる。先にそいつを見つけたのは俺たちだ。横取りはいくらリアムでも許さねぇ」
図体の大きい男が不遜な笑いを浮かべながら言った。
その言葉に、リアムはこの男達を知ってるんだ……と、荒くれ者達と知り合いだということにジュリアンは愕然とする。
ギョロ目の男がギラギラとした目でジュリアンに近づく。
「こいつはこれから闇市で競売にかけるんだ。男でも、これだけの上玉だ、うんと高値で売れるにちげぇねぇ。手放すわけにはいかねぇな」
そう言うと、リアムの背後にいたジュリアンを引き剥がすように強引に腕を掴んで引っ張って来た。
「い、いたいっ……」
すると、リアムがギョロ目の男の腕を掴んで引き寄せたかと思うと、一気に突き放した。
ガラガラガラ……ガシャーンッ!!
側にあったテーブルと椅子にギョロ目の男が投げ込まれ、音を立てて椅子が倒れた。
「おい」
リアムはさっきよりも低い声で告げる。
「俺のもんに、手ぇ出すんじゃねぇ!!」
その射るような鋭い目つきに、図体の大きい男の周りにいた手下たちはゴクリと生唾を飲み、一歩後ろへと下がった。
こんな状況にも関わらずリアムに『俺のもん』と呼ばれ、ジュリアンは胸の高鳴りを感じた。
「フッ…ブワッハッハッハッハッハッ……お前のもん、だと!? そんな話、聞いたこともねぇ。
おい、そんなにこいつとヤリたいなら、情報屋で稼いだ金持って闇市にでも来るんだな」
図体の大きい男は豪快に笑うと、仲間達に目で合図をした。後ろに控えていた手下達が動き出そうとする。
「待てよ」
リアムの口角が片側だけ上がり、ニヤリとした。
11
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説
メランコリック・ハートビート
おしゃべりマドレーヌ
BL
【幼い頃から一途に受けを好きな騎士団団長】×【頭が良すぎて周りに嫌われてる第二王子】
------------------------------------------------------
『王様、それでは、褒章として、我が伴侶にエレノア様をください!』
あの男が、アベルが、そんな事を言わなければ、エレノアは生涯ひとりで過ごすつもりだったのだ。誰にも迷惑をかけずに、ちゃんとわきまえて暮らすつもりだったのに。
-------------------------------------------------------
第二王子のエレノアは、アベルという騎士団団長と結婚する。そもそもアベルが戦で武功をあげた褒賞として、エレノアが欲しいと言ったせいなのだが、結婚してから一年。二人の間に身体の関係は無い。
幼いころからお互いを知っている二人がゆっくりと、両想いになる話。
稀代の英雄に求婚された少年が、嫌われたくなくて逃げ出すけどすぐ捕まる話
こぶじ
BL
聡明な魔女だった祖母を亡くした後も、孤独な少年ハバトはひとり森の中で慎ましく暮らしていた。ある日、魔女を探し訪ねてきた美貌の青年セブの治療を、祖母に代わってハバトが引き受ける。優しさにあふれたセブにハバトは次第に心惹かれていくが、ハバトは“自分が男”だということをいつまでもセブに言えないままでいた。このままでも、セブのそばにいられるならばそれでいいと思っていたからだ。しかし、功を立て英雄と呼ばれるようになったセブに求婚され、ハバトは喜びからついその求婚を受け入れてしまう。冷静になったハバトは絶望した。 “きっと、求婚した相手が醜い男だとわかれば、自分はセブに酷く嫌われてしまうだろう” そう考えた臆病で世間知らずなハバトは、愛おしくて堪らない英雄から逃げることを決めた。
【堅物な美貌の英雄セブ×不憫で世間知らずな少年ハバト】
※セブは普段堅物で実直攻めですが、本質は執着ヤンデレ攻めです。
※受け攻め共に、徹頭徹尾一途です。
※主要人物が死ぬことはありませんが、流血表現があります。
※本番行為までは至りませんが、受けがモブに襲われる表現があります。
寂しい竜の懐かせ方
兎騎かなで
BL
ジルは貴重な宝石眼持ちのため、森に隠れて一人寂しく暮らしていた。ある秋の日、頭上を通りがかった竜と目があった瞬間、竜はジルを鋭い爪で抱えて巣に持ち帰ってしまう。
「いきなり何をするんだ!」
「美しい宝石眼だ。お前を私のものにする」
巣に閉じ込めて家に帰さないと言う竜にジルは反発するが、実は竜も自分と同じように、一人の生活を寂しがっていると気づく。
名前などいらないという竜に名づけると、彼の姿が人に変わった。
「絆契約が成ったのか」
心に傷を負った竜×究極の世間知らずぴゅあぴゅあ受け
四万字程度の短編です。
かくして王子様は彼の手を取った
亜桜黄身
BL
麗しい顔が近づく。それが挨拶の距離感ではないと気づいたのは唇同士が触れたあとだった。
「男を簡単に捨ててしまえるだなどと、ゆめゆめ思わないように」
──
目が覚めたら異世界転生してた外見美少女中身男前の受けが、計算高い腹黒婚約者の攻めに婚約破棄を申し出てすったもんだする話。
腹黒で策士で計算高い攻めなのに受けが鈍感越えて予想外の方面に突っ走るから受けの行動だけが読み切れず頭掻きむしるやつです。
受けが同性に性的な意味で襲われる描写があります。
落第騎士の拾い物
深山恐竜
BL
「オメガでございます」
ひと月前、セレガは医者から第三の性別を告知された。将来は勇猛な騎士になることを夢見ていたセレガは、この診断に絶望した。
セレガは絶望の末に”ドラゴンの巣”へ向かう。そこで彼は騎士見習いとして最期の戦いをするつもりであった。しかし、巣にはドラゴンに育てられたという男がいた。男は純粋で、無垢で、彼と交流するうちに、セレガは未来への希望を取り戻す。
ところがある日、発情したセレガは男と関係を持ってしまって……?
オメガバースの設定をお借りしています。
ムーンライトノベルズにも掲載中
ド陰キャが海外スパダリに溺愛される話
NANiMO
BL
人生に疲れた有宮ハイネは、日本に滞在中のアメリカ人、トーマスに助けられる。しかもなんたる偶然か、トーマスはハイネと交流を続けてきたネット友達で……?
「きみさえよければ、ここに住まない?」
トーマスの提案で、奇妙な同居生活がスタートするが………
距離が近い!
甘やかしが過ぎる!
自己肯定感低すぎ男、ハイネは、この溺愛を耐え抜くことができるのか!?
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる