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英国公爵の妹を演じる令嬢は、偽りの兄である恋人に甘やかされ、溺愛される

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「ランドルフ様、預けてた荷物なんて、ありましたっけ……?」
「あぁ。こっちだ、ジュリア」

 先に貨物車の中へと進み、ランドルフが手招きする。

 大きな荷物は先に、スチュアートさんが送ってくれてるはずなんだけど……

 ジュリアが首を傾げながら、ランドルフの側に歩み寄ると……

 っ……!?

 ジュリアは急にランドルフに抱き寄せられ、柔らかい唇に接吻が落とされた。大人の余裕を見せるいつもの接吻とは違う、どこか焦りを感じさせるような早急な接吻にジュリアが戸惑う。

「っ……ランドルフ様!?」

 ジュリアがランドルフを見上げると、彼のオリーブ色の瞳に獰猛な光が映った。

「……良い子にしてろ」

 あやすような囁きの後、唇を塞がれる。啄むような接吻が、やがて呼吸さえ奪うような激しいものに変わるまでに、時間はかからなかった。

「……ん…っあっ……んぅっ」

 歯列をなぞり、唇を噛み付くように接吻され、舌を絡め取られ……クチュクチュという水音が、列車の倉庫内に響き渡る。

 ジュリアの躰全体が、熱をもってランドルフに溶かされていく。

 だ、め……こんな、接吻……

 そう思うのに、ジュリアの下半身が疼き、更なる熱を欲する。

「んぅふぅっ……」

 ランドルフが愉しげに耳元で囁く。

「良い声で啼くな、ジュリアは」

 羞恥心を煽られ、更に熱を上げられる。

 だ、め……なのに、抗え……ない。

「もっと可愛い声を聞かせてくれ」

 激しい接吻を続けながら、ランドルフがジュリアの首筋を指先で撫でると、途端にジュリアの背筋がビクンと震えた。

「んぁあんっ!!」

 ランドルフの大きくて逞しい手が、首筋から下へと降りていく。黄色のシフォンのワンピースから肩の袖を下ろすと、豊かな膨らみの谷間がはっきりと覗いた。

 乳房を覆う下着の上から、ランドルフの大きな右手が包み込むと、激しく揉みしだいていく。左手はジュリアの背中に回り、背筋から腰へと悪戯になぞっていく。

 ジュリアは棚を背にして、寄りかかるようにランドルフの愛撫を受け入れる。

 布越しに触れる感覚でさえも、ジュリアに甘い刺激をもたらす。布を通しても乳房の先端の突起が硬く尖っていくのが分かる。

「んんっ……あっ……だ、め…これ以上、は……」

 ジュリアがランドルフの胸を押し返し、快楽に押し流されそうな誘惑を抑え抵抗する。

「どうしてだ?」
「……っ、誰かに見られたら……」

 私はどうなってもいいけど、ランドルフ様にご迷惑をかけるようなことになりたくない。

「大丈夫だ。貨物車の扉は内側から鍵をかけておいた。
 誰も、俺たちの邪魔はできない」

 ランドルフがジュリアの胸に顔を寄せると、甘い吐息がかかる。

「ジュリアとふたりだけの時間を過ごせるここが、俺にとっての特等席だ」

 甘い囁きと同時に、ジュリアを抱きしめる腕に、力がこもっていく。

「それとも……あっちの方が、良かったか?」

 そんなわけ、ない……

 ジュリアは思い切り首を横に振って、ランドルフの背中をそっと、抱き締め返した。

「私も……この特等席が好きです」
「趣味が合って、良かった」

 ランドルフが、悪戯っぽい表情を見せ笑った。
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