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ダイエットの神様はドSスパルタイケメン王子でした!
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2ヶ月経った私の体重は、なんと68.5キロまで減っていた。小学生以来の体重!!
遥か遠い夢だと思ってた50キロ台が、現実として近づいてきた気がするーっっ。
そうだ! 神様に、何かお礼をしよう!
そう思ったら、一気にテンションが上がった。考えてみれば、神様の声はいつでもどこでも頭に響くけど、本物の神様に会うのはいつも社だけだ。
神様だって、たまには息抜きが必要だよね。
見た目は普通の男の子なんだから、遊園地とか水族館とか映画館とか行っても絶対バレないわけだし、お礼ってことで、お出かけでも誘ってみようかな。
なんて考えて、いつもより浮かれてる自分に気づき、ハッとした。
い、いや……デートじゃ、ないし。お出かけだし!!
これは、ダイエットに協力してくれてる、お礼、お礼なんだから!!
軽やかにステップを踏みながら階段を上がり、細井神社の拝殿に着くと、神様が極上の笑顔で迎えてくれた。
「美保ちゃーん、だいぶ体が軽くなったね!」
その笑顔に、胸がトクンと高鳴った。
な、なに意識してんのよ、私……相手はドSスパルタ神様なのに。
「か、神様のお陰だよ。最初はとんでもなく怪しいし、ウザいし、面倒いって思ってたけど、こんなに痩せることが楽しいって知らなかった!
神様、ありがとう」
「なーんか途中褒められてる気がしなかったけど、美保ちゃんの役に立てて嬉しいよ」
い、言うんだ、私……
緊張して、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「そ、それでね……私から何かお礼がしたいと思って。明日、一緒にどこか出かけない?
ほら、会うのっていつもここじゃない? たまには気分を変えてさ」
神様なら喜んで『いくいくー! どこ行こっかぁ。あぁ、美保ちゃんとデート楽しみだなぁ♪』なんて、言ってくれるんじゃないかって期待してたのに……神様は、困ったような笑顔を見せた。
私の気持ちが一気に挫かれる。
ぇ。私と行くの……嫌、だった?
それで、私と会うのは社だけで、あとは頭の中だけで会話してたの?
すると、神様が寂しげな表情で笑った。
「そうじゃ、ないんだ。
僕は……世の中を見たり聞いたりできるし、離れた物を動かすことも出来るけど、この神社の境内から出ることは出来ないんだよ。
それが僕の、宿命だから」
「ぇ……」
考えてみればそれは当然のはずなのに、あまりにも見た目が普通の男の子だから、そんなこと考えてもみなかった。
そう、だよね……神様、なんだから、拝殿にいてみんなのお願いごとを聞いたり、神社を守らなくちゃいけないんだよね。
神様は……ここから出ることは、許されないんだ。
神様が、ポンッと私の頭を軽く撫でた。
「そんな悲しそうな顔しないでよー。気まぐれだったけど、美保ちゃんのダイエットの応援できて僕は嬉しいんだから。こーんな楽しいこと、何十年ぶりかなぁ」
笑顔を見せる神様に、私の胸がギュッと絞られるように痛んだ。
ずっと拝殿の中に独りでいて、人々の願いを叶えてきた神様。
私なら、どう思うだろう。
寂しいって、外に出たいって思っちゃうかもしれない……
でも、それは叶わないんだ。
何も、返せなかった。
私はただ……
「うん。神様が応援してくれるから、頑張って痩せれるようにするね」
そう言うことしか、できなかった。
遥か遠い夢だと思ってた50キロ台が、現実として近づいてきた気がするーっっ。
そうだ! 神様に、何かお礼をしよう!
そう思ったら、一気にテンションが上がった。考えてみれば、神様の声はいつでもどこでも頭に響くけど、本物の神様に会うのはいつも社だけだ。
神様だって、たまには息抜きが必要だよね。
見た目は普通の男の子なんだから、遊園地とか水族館とか映画館とか行っても絶対バレないわけだし、お礼ってことで、お出かけでも誘ってみようかな。
なんて考えて、いつもより浮かれてる自分に気づき、ハッとした。
い、いや……デートじゃ、ないし。お出かけだし!!
これは、ダイエットに協力してくれてる、お礼、お礼なんだから!!
軽やかにステップを踏みながら階段を上がり、細井神社の拝殿に着くと、神様が極上の笑顔で迎えてくれた。
「美保ちゃーん、だいぶ体が軽くなったね!」
その笑顔に、胸がトクンと高鳴った。
な、なに意識してんのよ、私……相手はドSスパルタ神様なのに。
「か、神様のお陰だよ。最初はとんでもなく怪しいし、ウザいし、面倒いって思ってたけど、こんなに痩せることが楽しいって知らなかった!
神様、ありがとう」
「なーんか途中褒められてる気がしなかったけど、美保ちゃんの役に立てて嬉しいよ」
い、言うんだ、私……
緊張して、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「そ、それでね……私から何かお礼がしたいと思って。明日、一緒にどこか出かけない?
ほら、会うのっていつもここじゃない? たまには気分を変えてさ」
神様なら喜んで『いくいくー! どこ行こっかぁ。あぁ、美保ちゃんとデート楽しみだなぁ♪』なんて、言ってくれるんじゃないかって期待してたのに……神様は、困ったような笑顔を見せた。
私の気持ちが一気に挫かれる。
ぇ。私と行くの……嫌、だった?
それで、私と会うのは社だけで、あとは頭の中だけで会話してたの?
すると、神様が寂しげな表情で笑った。
「そうじゃ、ないんだ。
僕は……世の中を見たり聞いたりできるし、離れた物を動かすことも出来るけど、この神社の境内から出ることは出来ないんだよ。
それが僕の、宿命だから」
「ぇ……」
考えてみればそれは当然のはずなのに、あまりにも見た目が普通の男の子だから、そんなこと考えてもみなかった。
そう、だよね……神様、なんだから、拝殿にいてみんなのお願いごとを聞いたり、神社を守らなくちゃいけないんだよね。
神様は……ここから出ることは、許されないんだ。
神様が、ポンッと私の頭を軽く撫でた。
「そんな悲しそうな顔しないでよー。気まぐれだったけど、美保ちゃんのダイエットの応援できて僕は嬉しいんだから。こーんな楽しいこと、何十年ぶりかなぁ」
笑顔を見せる神様に、私の胸がギュッと絞られるように痛んだ。
ずっと拝殿の中に独りでいて、人々の願いを叶えてきた神様。
私なら、どう思うだろう。
寂しいって、外に出たいって思っちゃうかもしれない……
でも、それは叶わないんだ。
何も、返せなかった。
私はただ……
「うん。神様が応援してくれるから、頑張って痩せれるようにするね」
そう言うことしか、できなかった。
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