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ダイエットの神様はドSスパルタイケメン王子でした!

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 家に帰ると、甘辛い醤油と油で揚げてるいい匂いがー! うはー、食欲を唆られるわぁ。今日の夕飯なんだろ、楽しみぃ♪

 その途端、LINEのお知らせ音がピンコーンと鳴った。

 え、誰だろ……

 スマホを取り出すと、メッセージが表示されてる。

『僕が渡した紙、ちゃんと読んでね。ご飯は八分目までにすること!』

 は……誰?
 って。えぇっっ!! 『神様』って登録されてるし!!

 なになに、いつの間に!? なんで私のLINEアド知ってるわけ?
 てかその前に、神様ってそもそもスマホ持ってんのぉ!?

 目玉が飛び出して驚愕してると、お母さんの声がキッチンから聞こえてきた。

「美保ぉ? 帰ったんなら手ぇ洗ってご飯食べるわよー!!」
「はーい、今行くー!」

 とりあえずお腹空きすぎて何も考えらんないから、ご飯食べてから考えよーっと。

 手を洗っていそいそと席に着くと、もうお父さんと弟のたけしも座ってた。ふたりとも椅子に体が収まり切れてなくて、ミシミシ音が鳴ってる。まぁ、私も人のこと言えんけど。

 そこに、エプロンで手を拭きながらお母さんが席に着いた。4人しかいないのに、なにこの圧迫感。6人がけのテーブルがいっぱいいっぱいだわ。

「さぁさ、食べましょ」

 食卓には、さっき美味しい匂いをさせてた肉じゃが、唐揚げ、ポテトフライ、焼きそばにかぼちゃの煮付け、ローストビーフサラダが大皿にどーんと盛られてて、どんぶり山盛りのご飯、具沢山の味噌汁が各自に配膳されてる。

 うわーっ、今日もおいしそうっっ。やっぱ食事の時間が至福のひとときだわ!

 我が家の食事は基本、大皿料理だ。そこから好きな料理を好きな分だけ自分の皿に取って食べる。ワンプレートディッシュだとか、小鉢ものなんて、我が家の食卓で目にすることはない。

 平皿におかずをてんこ盛りにすると、幸せが膨らんだ。

「いっただきまーす♪」
 
 すると、またLINEのお知らせ音が。

 もうっ、なんなのよ!

『そんなにてんこもりにしちゃダメだってばー! 
 それと、食事はよく噛んで食べること!!』

 うっ、神様……どこかで見てる? 

 ならば。

 ピーッと電源長押し。

 ハァ、これでご飯に集中出来るわ。食べよーっと。

『美保ちゅわん、ひどいよぉ。せっかく普通に連絡してあげたのにぃ』

 えっ、えっ、何これ!? 頭の中で神様の声が響いてるーっっ!!

「イヤーーーーー!!」

 頭を抱えて首を振ると、お母さんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「美保、あんた、なんか嫌いなもんでもあった? 今日は美保の好きなものばっかり作ったんだけど」
「いや、そうじゃなくて!」

 私の悩みって、食べ物のことしかないんかい!!

「え、姉ちゃん食べないなら、俺食べる!!」

 猛が私の皿に箸を伸ばしてきたのを、パチンと手で打つ。

 もう、どんだけ食い意地張ってんだよ。

「食べるし!!」

 神様の声なんて、無視、無視。
 
 特大サイズのマヨネーズを手に取り、唐揚げの上にソフトクリーム上状にデコレーションすると、箸で摘み上げる。

 あー、この肉汁たっぷりのジューシーな唐揚げとクリーミーなマヨネーズのコンビネーション、たまんなぁい!!

 すると……

『ぶたぶたこぶた♪ 美保ちゃんはこぶたー、ブヒー♪
 ぶたぶたこぶた♪  美保ちゃんはこぶたー、ブヒー♪』

 変な歌が、頭の中でエンドレスリピートしてる。

 ひぃぃっっ!!

 思わず、箸を落っことしちゃったじゃーん。
 わーん、私の唐揚げちゃーん!!
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