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モノローグ ーアンジュの独白ー
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いつも想像してたの。
ルネはどんな家に住んで、どんな生活をして、どんなことに興味あるんだろうって。
だから、ルネのお家に入った時にね、
わぁ、ここがルネが住んでるお家なんだー!
って思ったら、すごく興奮しちゃって。
ふふっ、私、変なこと口にしちゃってたんじゃないかな?
変な子だって、思ったよね、ルネ?
落ち着かなくて、ルネの周りをグルグルしちゃったり。今思うと、恥ずかしい。
でも、ルネと同じ場所に居られることが、嬉しくて仕方なかったの。
エッグノッグがあるって言われた時にね、思い出したの。まだ両親が生きてた頃、毎年冬になると飲んだなぁって。もちろん、お酒は入れなかったけど。
そんな思い出を共有しなかったのは、ルネに私が生身の人間であることを感じて欲しくなかったから。
聖夜に出会った天使と恋に落ちる、何て美しい物語だけど、孤独で辛い人生を歩んだ病弱なストーカーの女の子が好きな男の子を追いかけてきた、だなんて、みっともなくて。
ルネには、私が天使なんだって思っていて欲しかった。
過去や未来なんていらない。
私は、その時の二人の時間だけが欲しかった。
ふふっ、初めてのお酒は正直好きじゃなかった。喉が焼け付くように熱いんだもん。
でも、大人のフリして頑張って飲んでたの。だって、ルネの前ではいい女でいたくて。
私、見栄っ張りでしょ?
でも、女の子はみんなそうだと思う。好きな人の前では、いつも可愛くいたいし、見栄を張りたいの。
クリスマスツリーの灯りをつけて見つめてる時、ルネが私の横顔を見つめてることに気がついて、鼓動が煩く鳴り響いてた。
ルネが、少しでもいいから私のことを好きになって欲しいって、祈るような気持ちでいたの。
そう思ったら、ますます意識しちゃって……鳴り響く鼓動がルネに聞こえてしまうんじゃないか心配になって、それで、君に音楽がないか聞いたの。
「アンジュが歌ったらいい」
そう悪戯っぽく言った君に、私はわざとむくれた顔を見せたけど……あれはね、嬉しくて仕方ない顔を隠すためのものだったんだよ。
ルネが少しずつ私に心を開いてくれているのが、嬉しくて仕方なかった。
「アンジュ、ご家族が心配してるよ。家まで送るよ……」
そうルネに言われた時、とても悲しかった。
もっと、もっとルネと一緒にいたい。
聖夜を一緒に過ごしたい......
「お願い……一晩だけでいいから。
ここにいさせて……」
たった一晩限りでもいい。君の傍にいたい。
孤独な影を映す君の瞳に、私を映して欲しい。
私は、そんな悲痛な思いでいたの。
リビングを出る時、立ちくらみがした。
ルネにはお酒に酔ったせいだって言ったけどね、本当はあの時点で嫌な予感がしてたの。これから体調が悪くなるんだろうなぁっていう、長年の勘が働いてた。
でも、そんなことはルネには絶対に気づかれたくなくて。何とか平静を保って、歩いてた。
ルネは、怒ってる?
私が何も言わなかったこと。
それでもね、私は……君と一緒にいたかったの。
ごめんなさい。
クリスマスツリーを作ろうって提案した時のルネの顔、面白かったなぁ。
思いつきで始めたんだけどね。思いつきで何かをするって、今までしたことなかった。
だからね、ワクワクするぐらい、すっごく楽しかった。
ルネが絵の具の水を替えに下に降りていった隙に、オーナメントに「Joyeux Noel, Rene 」と、ハート入りのメッセージを入れたの。紙のデザインと溶け込むように書かれたメッセージは、目を凝らさないと読めない。
ルネは、このメッセージにいつ気付くのかな。
そんなことを考えて笑いが込み上げてきた後、泣けてきた。ルネがこのメッセージに気づく頃には、私はここにも、この世にもいないんだろうなぁって思ったから。
リビングで寝るというルネを引き止めた時、なんて積極的な女の子なんだろう、ってルネは思った?
ルネと離れたくなくて。
ルネの温もりを感じたくて。
我儘だって思われてもいい。積極的で自由奔放な女の子だって思われても、ルネの傍にいたかったの。
ルネは優しいね。
私、こんなに上手くいくなんて、正直思ってなかったの。
孤独に見えた男の子、気になっていた男の子のいろんな面が見えてくるうちにね、
ルネ、君のことを、もっともっと好きになっていくのを感じてた。
ルネにもっと近づきたい。
ルネに触れたい。
そう、強く感じてた。
ルネが毛布に入ろうとしないのを強引に入らせたり、離れて座るルネにこっちに来いって呼び寄せたり……
ほんと、すごいことしてたよね、私。
でも、そんな風に演じているのがすごく楽しかった。
それは、私の中での理想の「アンジュ」だったから。陽気で、楽しくて、積極的で、自分の思いのままを口にしてしまえる憧れの女の子。
ルネはどんな家に住んで、どんな生活をして、どんなことに興味あるんだろうって。
だから、ルネのお家に入った時にね、
わぁ、ここがルネが住んでるお家なんだー!
って思ったら、すごく興奮しちゃって。
ふふっ、私、変なこと口にしちゃってたんじゃないかな?
変な子だって、思ったよね、ルネ?
落ち着かなくて、ルネの周りをグルグルしちゃったり。今思うと、恥ずかしい。
でも、ルネと同じ場所に居られることが、嬉しくて仕方なかったの。
エッグノッグがあるって言われた時にね、思い出したの。まだ両親が生きてた頃、毎年冬になると飲んだなぁって。もちろん、お酒は入れなかったけど。
そんな思い出を共有しなかったのは、ルネに私が生身の人間であることを感じて欲しくなかったから。
聖夜に出会った天使と恋に落ちる、何て美しい物語だけど、孤独で辛い人生を歩んだ病弱なストーカーの女の子が好きな男の子を追いかけてきた、だなんて、みっともなくて。
ルネには、私が天使なんだって思っていて欲しかった。
過去や未来なんていらない。
私は、その時の二人の時間だけが欲しかった。
ふふっ、初めてのお酒は正直好きじゃなかった。喉が焼け付くように熱いんだもん。
でも、大人のフリして頑張って飲んでたの。だって、ルネの前ではいい女でいたくて。
私、見栄っ張りでしょ?
でも、女の子はみんなそうだと思う。好きな人の前では、いつも可愛くいたいし、見栄を張りたいの。
クリスマスツリーの灯りをつけて見つめてる時、ルネが私の横顔を見つめてることに気がついて、鼓動が煩く鳴り響いてた。
ルネが、少しでもいいから私のことを好きになって欲しいって、祈るような気持ちでいたの。
そう思ったら、ますます意識しちゃって……鳴り響く鼓動がルネに聞こえてしまうんじゃないか心配になって、それで、君に音楽がないか聞いたの。
「アンジュが歌ったらいい」
そう悪戯っぽく言った君に、私はわざとむくれた顔を見せたけど……あれはね、嬉しくて仕方ない顔を隠すためのものだったんだよ。
ルネが少しずつ私に心を開いてくれているのが、嬉しくて仕方なかった。
「アンジュ、ご家族が心配してるよ。家まで送るよ……」
そうルネに言われた時、とても悲しかった。
もっと、もっとルネと一緒にいたい。
聖夜を一緒に過ごしたい......
「お願い……一晩だけでいいから。
ここにいさせて……」
たった一晩限りでもいい。君の傍にいたい。
孤独な影を映す君の瞳に、私を映して欲しい。
私は、そんな悲痛な思いでいたの。
リビングを出る時、立ちくらみがした。
ルネにはお酒に酔ったせいだって言ったけどね、本当はあの時点で嫌な予感がしてたの。これから体調が悪くなるんだろうなぁっていう、長年の勘が働いてた。
でも、そんなことはルネには絶対に気づかれたくなくて。何とか平静を保って、歩いてた。
ルネは、怒ってる?
私が何も言わなかったこと。
それでもね、私は……君と一緒にいたかったの。
ごめんなさい。
クリスマスツリーを作ろうって提案した時のルネの顔、面白かったなぁ。
思いつきで始めたんだけどね。思いつきで何かをするって、今までしたことなかった。
だからね、ワクワクするぐらい、すっごく楽しかった。
ルネが絵の具の水を替えに下に降りていった隙に、オーナメントに「Joyeux Noel, Rene 」と、ハート入りのメッセージを入れたの。紙のデザインと溶け込むように書かれたメッセージは、目を凝らさないと読めない。
ルネは、このメッセージにいつ気付くのかな。
そんなことを考えて笑いが込み上げてきた後、泣けてきた。ルネがこのメッセージに気づく頃には、私はここにも、この世にもいないんだろうなぁって思ったから。
リビングで寝るというルネを引き止めた時、なんて積極的な女の子なんだろう、ってルネは思った?
ルネと離れたくなくて。
ルネの温もりを感じたくて。
我儘だって思われてもいい。積極的で自由奔放な女の子だって思われても、ルネの傍にいたかったの。
ルネは優しいね。
私、こんなに上手くいくなんて、正直思ってなかったの。
孤独に見えた男の子、気になっていた男の子のいろんな面が見えてくるうちにね、
ルネ、君のことを、もっともっと好きになっていくのを感じてた。
ルネにもっと近づきたい。
ルネに触れたい。
そう、強く感じてた。
ルネが毛布に入ろうとしないのを強引に入らせたり、離れて座るルネにこっちに来いって呼び寄せたり……
ほんと、すごいことしてたよね、私。
でも、そんな風に演じているのがすごく楽しかった。
それは、私の中での理想の「アンジュ」だったから。陽気で、楽しくて、積極的で、自分の思いのままを口にしてしまえる憧れの女の子。
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