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急変
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「再生不良性貧血は白血球の減少に伴い、免疫力も低下する……
おそらく、免疫力が低下しているところに寒空の下飛び出して肺炎を患い、その感染症を起こしている場所から血液中に病原体が入り込み、敗血症を起こしたのだろう」
バルト医師はそう言って、俯いた。
突然処置室の扉が開き、その向こう側から看護師が強ばった顔を見せた。
「バルト医師、アルベールさんが敗血症性ショックをおこしています!」
バルト医師が立ち上がった。
「すぐ行く」
そして僕を見た。
促されるように一緒に部屋を後にし、彼女の病室へと向かう。
エレベーターはなかなか来ない。僕はいても立ってもいられず、その場で足踏みをする。
バルト医師が僕を誘導する。
「こっちだ」
ふたりで階段を一気に駆け上がり、廊下を息せき切って走り、彼女の病室へと急ぐ。
嫌な予感が胸を渦巻く。
病室の扉を開け、彼女のベッドへと足を向ける。
そこには……さまざまな管に繋がれ、酸素マスクをしたまま微動だにしないアンジュが、横たわっていた。すぐ傍のモニターには真っ直ぐな直線が果てしなく表示され続け、ピーッと長く響く耳障りな機械音が静かな部屋に響いていた。
「……間に合わなかった、か」
バルト医師が小さく呟いた。
おそらく、免疫力が低下しているところに寒空の下飛び出して肺炎を患い、その感染症を起こしている場所から血液中に病原体が入り込み、敗血症を起こしたのだろう」
バルト医師はそう言って、俯いた。
突然処置室の扉が開き、その向こう側から看護師が強ばった顔を見せた。
「バルト医師、アルベールさんが敗血症性ショックをおこしています!」
バルト医師が立ち上がった。
「すぐ行く」
そして僕を見た。
促されるように一緒に部屋を後にし、彼女の病室へと向かう。
エレベーターはなかなか来ない。僕はいても立ってもいられず、その場で足踏みをする。
バルト医師が僕を誘導する。
「こっちだ」
ふたりで階段を一気に駆け上がり、廊下を息せき切って走り、彼女の病室へと急ぐ。
嫌な予感が胸を渦巻く。
病室の扉を開け、彼女のベッドへと足を向ける。
そこには……さまざまな管に繋がれ、酸素マスクをしたまま微動だにしないアンジュが、横たわっていた。すぐ傍のモニターには真っ直ぐな直線が果てしなく表示され続け、ピーッと長く響く耳障りな機械音が静かな部屋に響いていた。
「……間に合わなかった、か」
バルト医師が小さく呟いた。
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