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「好きです、付き合って下さい!」と手を差し出した相手は……好きな人の隣にいた、友達の方でした

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 駅の改札口で立ってる川添くんを見て、鼓動がトクンと鳴った。

 あ、川添くんがひとりでいる!
 こ、これは告白のチャンスかも。

 川添くんは隣のクラスの男子で、去年は同じクラスだった。美化委員を一緒にしたことから少しずつ喋るようになり、彼の控えめだけど優しい性格に惹かれるようになった。

 もっと川添くんと話したい、仲良くなりたい……そう思った私だけど、川添くんの隣にはいつも中園くんがいて……話しかけることが出来なかった。

 中園くんは、川添くんとは違って陽キャで、いっつも冗談ばっかり言って、私のこともからかってくるし、絡んでくるし……小さい頃、男の子からいじめられてた私にとって、正直、苦手なタイプの男の子だ。

 川添くんに近づきたくても、いつも中園くんがいるから遠くで見てるだけ。しかも、学年が上がって川添くんとは別のクラスになったうえに、中園くんとは同じクラスになっちゃって……ますます川添くんとの距離が遠ざかってしまった。

 周りには誰もいないし、今しかない!

 川添くんのとこに駆けていくと、目を瞑って頭を下げて手を差し出した。

「好きです! 付き合ってください!!」

 すると、私の手が握られた。

 これって、オッケーってこと!?
 嬉しい……

「おぉ、いいよ」

 え、ちょっと……待って。

 ガバッと顔を上げると……

 え、なんで中澤くんが!?
 あれっ、川添くんは!?

 川添くんは、中園くんの隣に立っていた。どうやら、川添くんの影になってて、中澤くんがいることに気付かないままダッシュして、中澤くんに告白して手を差し出してたらしい。

「ぇ。あのっっ」

 パニックを起こしてると、川添くんが中園くんの肩をポンと軽く叩いた。

「まさか、田原さんから告白してくるなんて、良かったな。両思いじゃん」
「ハハッ、マジで……ビックリした」

 え。え……中園くんは私のことが好きで、川添くんはそれを知ってて、応援してたってこと?
 ってことは……私、川添くんに振られたんだ。

 ショックを受けてると、川添くんが中園くんに手を振った。

「それじゃ俺、先にいくわ。浮かれて遅刻すんなよ」

 川添くんが爽やかに去って行く。

 ちょ、ちょっと待って……誤解なの!!

 川添くんを追いかけようとすると、中園くんに手をギュッと握られた。

「あ、あの……これから、よろしくな」

 そう言って私の顔を見つめる中園くんは真っ赤になってて、いつもの彼とは全然違ってて……これが、間違いだったなんて、ほんとは川添くんのことが好きだなんて、とても言えなかった。

 あーもう、どうしよう!!
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