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乙ゲーのメイドとなって落胆してた腐女子の私ですが、推しカプの登場で毎日ハッピーに過ごせます!

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 転生した先が乙ゲーだったんだが、乙ゲーなんて興味ないし、女が男に群がる逆ハーなんて、面白くもなんともない。

 わ、わしは男と男の絡みが見たいんやーーっっ!!
 BがLする世界、カモーーンヌ!!

 そう心で叫んでみても、視界に映るのは、私がメイドを勤めてる先の坊っちゃん、ウィリアード子爵子息であるトレアーノ様と婚約者であるジョセフィーヌ様の仲睦まじいお姿。

 チッ。面白くもなんともねー。

 屋敷で働いてるのは私みたいな女性のメイドたち、年老いたメイド長、そして年老いた執事の男性。

 想像でトレアーノ様と誰かを無理くりカプさせようと思っても、肝心の相手すら見つからない。

 トレアーノ様のご学友がこちらに遊びにいらっしゃることもないし、ウィリアード子爵卿は社交場に出かけられることはあっても、自宅にゲストを招いてのパーティーはお嫌いのようで、屋敷は静かで寂しいものだ。

 あー、せめて学校のモブキャラにでも転生してたら、この逞しい妄想力をフル活用して、貴族さまたちのBLストーリーを堪能できたのにぃぃ!!
 なんで私はメイドなんかになったのよぉぉ!
 
 そんなある日、ウィリアード子爵から執事、メイド長を始めとする侍従に招集がかかった。

 新しいメイドでも入ったのかなぁ?

 そう思いながら応接間へと向かうと、そこには金髪碧眼のお人形さんかと思うほどに美しい顔立ちの少年が座っていた。

 たっぷりフリルの入った真っ白なブラウスに紺碧のリボンタイ、黒に大きなボタンをシルバーのチェーンで繋げたダブルのショートベスト、紺碧のショートパンツは同色のサスペンダーベルトで吊ってる。1番の萌ポイントは、ガーターベルトで釣ってるニーハイソックス!! ショートパンツとニーハイソックスから僅かに覗く少年らしい生足が堪らーん!!

 ブホッ、ktkrーー!!
 夢の美ショター!! 

 しかも、美ショタくんの隣には、背の高い黒髪切れ長の美青年が立っていた。美しく着こなしてる燕尾服からは知的で優雅で、それでいて艶かしさも滲み出てる。

 いいっっ!!いいわーっっ!! 美ショタと美青年カプぅぅ!!
 ハァッ、ハァッ……こ、興奮するっっ。もちろん美ショタ受けの美青年攻め……いや、待てよ。美ショタの誘いねこも萌えるー。
 待って待って、美ショタタチもありじゃない? 苦痛に顔を歪めるウケ美青年、見たし!!

「アニータ、聞いていますか?」

 メイド長に殺人的な視線を投げられ、一気に現実に戻された。

「す、すみませんっっ、あまりに尊い世界に埋没してて、幽体離脱してました」
「何を分けのわからないことを言っているのです」
 
 ウィリアード子爵が私達のやりとりに苦笑いを浮かべた後、麗しの美少年を紹介した。

「こちらは私の二番目の息子で、セリウスだ。喘息持ちで体が弱く、田舎のマナーハウスで静養してたんだが、今年からロイヤル学院に入学させるために呼び寄せたのだ」

 あぁ、薄幸の美少年……その儚さに男達が群がるのね。

「それから、その隣に立っているのが、世話係のロレンツォだ。ずっとセリウスについてくれている」

 体の弱い薄幸の美少年をずっと献身的に支える世話係との恋。背徳的で耽美なBL。いや、少年愛の世界……尊すぎて漏らしそう。

「セリウス坊っちゃま、ロレンツォさん、どうぞよろしくお願いします」

 こんな素敵なカプを生で拝まさせてもらえるなんて、ありがたや、ありがたや。
 
 深々とお辞儀をすると、ロレンツォさんが微笑み、お辞儀を返してくれた。

「よろしくお願……セリウス坊っちゃん! 顔色が優れませんね」

 ロレンツォさんが、セリウス坊っちゃまの顔を心配そうに覗き込んだ。

 セリウス坊っちゃまの少しの変化にも気付くロレンツォさん、愛なのね、愛なんだわっっ。

「長旅で、少し疲れたみたい……」

 すると、セリウス坊っちゃまがロレンツォさんに両手を伸ばした。

 な、なんと!!

 ロレンツォさんが自然な仕草でセリウス坊っちゃまを横抱きにし、軽々と抱き上げる。セリウス坊っちゃまは華奢な身をロレンツォさんに委ねた。

 グホッ!! は、鼻血出そう……今すぐ床を転げ回りたいんですが、いいですか!?

「セリウス坊っちゃんを寝室へお運びします」
「すまんな」

 そう答えたウィリアード子爵卿に頭を下げ、ロレンツォさんが去っていく。

 いやーん、その後の展開の妄想が止まらん、止まらんよー!!

 乙ゲーのメイドキャラなんてクソゲーだと思って腐ってた私だけど、ここに来ての推しカプ登場で、毎日ハッピーに過ごせるわ♪

 あー、興奮がっっ、おさまらんっっ!!
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