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悪魔のように美麗な執事に恋に堕ちてしまった私は、悪役令嬢となって婚約者をヒロインに差し出すことにいたしました

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 とろとろに柔らかくなった私の蜜穴に、彼の熱い欲の塊がズブズブと埋め込まれていきます。絶対に入るはずないと思うほど巨大なそれは、私の中で形を変えてピッタリと纏わり付き、複雑な襞を擦り、失心しそうな快感を与えながら奥へ奥へと突き進みます。

「ッッぁ、ぁああ!! ハァッ、ハァッ、ハァッ……ッッ!!」

 私の躰が内側から暴かれていくようです。脳髄が快感で蕩け、全身が打ち震えます。

 あぁ、繋がっている。ベリアルと私は……結ばれたのですね。

 涙で潤んだ瞳で縋るようにベリアルを見上げると、宥めるような優しい口づけを与えられました。

『えぇ、私たちは結ばれました。
 貴女の熱を感じます。貴女の温かさが、私の中に流れ込んできます』

 ベリアルの声が、胸に響いてきます。

 私の中で彼の猛りが蠢き、その存在を主張します。感動で胸が熱くなり、彼への愛情で心が満ち溢れてきます。

 愛しています、ベリアル。
 貴方と初めて会った時から、ずっと。

 貴方が何者であろうとも、この気持ちは変わりません。

 ベリアルが私の頬を包み込みます。私を見つめる彼の瞳が潤んでいるように見えるのは、私が泣いているせいなのでしょうか。



「ビアンカ。私も貴女を愛しています。
 清らかな貴女の魂に触れる時、私は自分が何者であるかを忘れることができます。暗く深い闇の中に射し込む、一筋の光に救われます。

 どうか、私の想いを受け取ってください」



 ベリアルが私の最奥を、ズンッと突きました。未知の快感が抉じ開けられます。

「ハァッッ!!」

 閃光が弾け、絶頂が全身へと広がっていきます。ベリアルが私の膝をパックリと開き、両脚を下から抱え込み、力強く抽挿し始めました。肉と肉がぶつかり合う音、中の蜜がグチュグチュと掻き混ぜられる音、自らのはしたない喘ぎ声が鼓膜を犯します。

 あぁ、こんな……恥ずかしいっっ。

「ハァッ、ハァッ、ハッ!! ック……ベリ、アルッッ!!」

 引き抜かれても吸い寄せられるように繰り返される抽挿が、折り重なって絶頂を引き起こし、色欲に狂わされます。

 も、もうダメ……ほんとに、ダメ……壊れちゃう……

 薄れていきそうな意識の中でそう訴えると、ベリアルが切ない吐息と共に告げました。

「私、も……もう、限界です……ハァッ」

 ベリアルがこれ以上ないほど最奥まで熱い雄杭で貫くと、暴発した彼の欲望が私の中で勢いよく弾けました。

 その瞬間、フワッと躰が浮き上がるような感覚になり、やがてゆっくりと沈み込むと包まれました。

 なんて……優しくて、柔らかくて、幸せな心地なのでしょう。

 瞳を閉じたまま快感の海を揺蕩っていると、暫くして耳の遠くから呼びかける声が聞こえてきました。

「ビアンカ。目を、覚ましていただけますか」

 でも、私……とても、気持ちよくて。
 このまま、眠ってしまいたいんです……

 夢の中で気怠く答えると、再び声がしました。

「ですが……貴女に、お見せしたいものがあるのですよ」

 私に、見せたいもの……ですか?

 抗い難い夢の世界から抜け出そうとすると、手が差し伸べられました。とても温かくて、滑らかな肌触りの手……

 そこまで感じて、ハッと目を開けました。

 だってそれは……先ほど手に取ったベリアルの手とは、違うものだったからです。

「ベリアル!?」

 慌てて呼びかけると、すぐ傍で声がしました。

「ここにいますよ」

 そう言われてベリアルを見上げた私は、驚きの声を上げました。

「ベリアル、これは一体……!?」

 そこにいたのは、先ほどまで私が見ていた彼とは違っていました。

 コウモリのような黒い翼は美しい黒羽の翼となり、山羊の角も尻尾も消えています。黒く鱗のように硬かった肌は人間のように滑らかになっており、何より印象的だった赤い瞳が深い碧色に変わっています。

 ベリアルが自分自身の姿をゆっくり眺め、それから私を深く見つめました。

「いったい何が起こったのか、私自身も驚いているところです。このような姿に戻るのは……何千年ぶりでしょうか」
「何千年ぶりって……」

 呆気にとられる私に、ベリアルが説明しました。

「私は、神の手によってルシファーに次いで創造された天使で、天上にあってはミカエルよりも尊き位階にいました。私は神の使者でしたが、神の似象を拒否したことにより地獄を管理するよう言い渡され、堕天使に落とされたのです。
 私の心は荒み、数々の悪事に手を染めるようになりました。そうして月日を過ごしているうちに魔窟にすっかり染まり、気づけば美しかった黒羽の翼はコウモリのような翼に変化し、頭部からは角が生え、臀部からは尻尾が生え、完全な悪魔の姿になっていたのです。

 私自身、自分が以前にこのような姿だったことを忘れていました」

 あまりにも壮大なベリアルの告白に言葉を失っていると、頭を優しく撫でられました。

「ビアンカへの本物の愛に目覚めたことにより、私は本来の姿を取り戻せたようです」
「そ、んな……」
「そうなのですよ」

 ベリアルが目を細めて、私に微笑みかけました。私の胸が切なく震えます。

「執事であっても、悪魔であっても、天使であっても……貴方であることに変わりはありません。どんな姿であっても、愛しています」

 ベリアルが睫毛を揺らしました。

「もう今更、天上に戻ることはできませんが……それでも、ここに。私の傍にいてくださいますか」
「もちろんです。私の命が尽きるまで、永遠に」

 そう誓った私に、ベリアルがクスリと妖艶な笑みを浮かべました。

魔窟ここにいる限り、貴女の若さと美しさと命は失われることはありません。
 ビアンカ、貴女は永遠に私のものです」
「あぁ、では……本当に、ベリアルの傍にいられるのですね」
「えぇ。お気の毒ですが、もう逃げられませんよ」

 ベリアルの唇が私の唇に重なり、再び甘美な交わりに縛られます。
 
 私のハッピーエンドには、どうやら終わりがないようです。
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