4 / 11
深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
4
しおりを挟む
ウィンストンお兄様は、相当の覚悟を決めて私に愛の告白をされたのだから、私もお兄様の気持ちに真剣に答えなくては。
「ウィンストンお兄様……わたくしも……お兄様のことを……ずっと、お慕い申し上げておりました」
えっ……
予想もしていなかったクリスティーナの言葉に、ウィンストンは目を瞬かせ、息を呑んだ。
「それ、は……」
「兄、としてではなく……ひとりの殿方として、ウィンストンお兄様のことをお慕いしております」
「クリスティーナ……嬉しい」
クリスティーナの背中に腕を回し、ウィンストンがギュッと力強く抱き締める。彼女の温かい体温が腕から伝わってきて、ウィンストンの緊張に固まっていた心を溶かしていく。
だが、クリスティーナはウィンストンの腕をそっと解き、潤んだ瞳でウィンストンを見上げると、震える声で告げた。
「けれど……いけませんわ。お互い好きあっていても……どうしようもありませんもの。
だって、わたくしとウィンストンお兄様は……血は繋がらなくとも、兄妹なのですから」
諦めるしか、ないのですわ……
クリスティーナはそう思うものの胸が締め付けられ、切なさに苦しくなる。
俯きそうになるクリスティーナの顎をウィンストンの指が捉え、クイとあげる。魅惑的なクリスタルブルーの瞳に、クリスティーナの迷いに満ちた表情が映し出される。
「俺は、クリスティーしかいらない。君さえ側にいてくれれば……何もいらない」
ウィンストンの真摯な眼差しに、熱い想いに、クリスティーナの心が強く揺さぶられる。
受け止めてはいけない……そう、分かっていますのに。
この手に、腕に、背中に預けてしまいたくなる。何もかも全て委ねて、お兄様の腕に抱かれてしまいたくなるなんて……
「ウィンストンお兄様……」
「俺に全て、預けて?」
わかっていますわ。この恋が、許されるものではないということは。
それでも、わたくしもウィンストンお兄様のことが……
両親のことも家名も、何もかもがウィンストンの熱い想いによって崩されていく。
ただ目の前にいる、愛しい人の側にいたい。
その想いが、クリスティーナを強く突き動かした。
「……」
クリスティーナは言葉で返事をする代わりに、コクリと頷いた。
「ウィンストンお兄様……わたくしも……お兄様のことを……ずっと、お慕い申し上げておりました」
えっ……
予想もしていなかったクリスティーナの言葉に、ウィンストンは目を瞬かせ、息を呑んだ。
「それ、は……」
「兄、としてではなく……ひとりの殿方として、ウィンストンお兄様のことをお慕いしております」
「クリスティーナ……嬉しい」
クリスティーナの背中に腕を回し、ウィンストンがギュッと力強く抱き締める。彼女の温かい体温が腕から伝わってきて、ウィンストンの緊張に固まっていた心を溶かしていく。
だが、クリスティーナはウィンストンの腕をそっと解き、潤んだ瞳でウィンストンを見上げると、震える声で告げた。
「けれど……いけませんわ。お互い好きあっていても……どうしようもありませんもの。
だって、わたくしとウィンストンお兄様は……血は繋がらなくとも、兄妹なのですから」
諦めるしか、ないのですわ……
クリスティーナはそう思うものの胸が締め付けられ、切なさに苦しくなる。
俯きそうになるクリスティーナの顎をウィンストンの指が捉え、クイとあげる。魅惑的なクリスタルブルーの瞳に、クリスティーナの迷いに満ちた表情が映し出される。
「俺は、クリスティーしかいらない。君さえ側にいてくれれば……何もいらない」
ウィンストンの真摯な眼差しに、熱い想いに、クリスティーナの心が強く揺さぶられる。
受け止めてはいけない……そう、分かっていますのに。
この手に、腕に、背中に預けてしまいたくなる。何もかも全て委ねて、お兄様の腕に抱かれてしまいたくなるなんて……
「ウィンストンお兄様……」
「俺に全て、預けて?」
わかっていますわ。この恋が、許されるものではないということは。
それでも、わたくしもウィンストンお兄様のことが……
両親のことも家名も、何もかもがウィンストンの熱い想いによって崩されていく。
ただ目の前にいる、愛しい人の側にいたい。
その想いが、クリスティーナを強く突き動かした。
「……」
クリスティーナは言葉で返事をする代わりに、コクリと頷いた。
0
お気に入りに追加
241
あなたにおすすめの小説
【完結】私は義兄に嫌われている
春野オカリナ
恋愛
私が5才の時に彼はやって来た。
十歳の義兄、アーネストはクラウディア公爵家の跡継ぎになるべく引き取られた子供。
黒曜石の髪にルビーの瞳の強力な魔力持ちの麗しい男の子。
でも、両親の前では猫を被っていて私の事は「出来損ないの公爵令嬢」と馬鹿にする。
意地悪ばかりする義兄に私は嫌われている。
練習なのに、とろけてしまいました
あさぎ
恋愛
ちょっとオタクな吉住瞳子(よしずみとうこ)は漫画やゲームが大好き。ある日、漫画動画を創作している友人から意外なお願いをされ引き受けると、なぜか会社のイケメン上司・小野田主任が現れびっくり。友人のお願いにうまく応えることができない瞳子を主任が手ずから教えこんでいく。
「だんだんいやらしくなってきたな」「お前の声、すごくそそられる……」主任の手が止まらない。まさかこんな練習になるなんて。瞳子はどこまでも甘く淫らにとかされていく
※※※〈本編12話+番外編1話〉※※※
鉄壁騎士様は奥様が好きすぎる~彼の素顔は元聖女候補のガチファンでした~
二階堂まや
恋愛
令嬢エミリアは、王太子の花嫁選び━━通称聖女選びに敗れた後、家族の勧めにより王立騎士団長ヴァルタと結婚することとなる。しかし、エミリアは無愛想でどこか冷たい彼のことが苦手であった。結婚後の初夜も呆気なく終わってしまう。
ヴァルタは仕事面では優秀であるものの、縁談を断り続けていたが故、陰で''鉄壁''と呼ばれ女嫌いとすら噂されていた。
しかし彼は、戦争の最中エミリアに助けられており、再会すべく彼女を探していた不器用なただの追っかけだったのだ。内心気にかけていた存在である''彼''がヴァルタだと知り、エミリアは彼との再会を喜ぶ。
そして互いに想いが通じ合った二人は、''三度目''の夜を共にするのだった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる