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第一章 始まり

閑話2

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研修中に聞こえた「念仏の様な声」については、原因というか、どうして聞こえてきたのかは、研修2日後ぐらいには見当がついていました。
実は私と同じ事務所赴任する大卒者が隣の部屋にいたのですが、その人が何かブツブツと独り言を言っていることが、状況証拠によって分かっていたのです。
一つは自分の部屋の隣から、確実に聞こえていたこと。その上、たまにこちらが知っている単語や舌打ち、何かを叩く音が聞こえていたこと。また、その人がいないと思われる時には何も聞こえなかったこと。
二つ目は、私の逆隣の同期が、私に「お前のところで変な声が聞こえないか」と言ってきた事が、その当時の私にとっては、オカルト関係ではないな、と確信が持てたことが要因です。それまで、複数の場所でオカルト的な起こる場合は建物全般に同じようなことが起きているはずだ(私の主観)と確信していたので、間違いなく人為的な現象であると結論付けました。
後日、聞いた話し(私は彼と別の場所の寮に住んでいたので、伝え聞いたのですが)では、彼は寮に移った時から、毎日ブツブツと独り言を言っていたようで、それをウザく思った隣の寮生は、酔って帰ってその声を聞くと、彼の部屋に入り、怒りの拳を彼の部屋の壁にぶつけていたことが、しばしばあったということです。
彼が呟いていた独り言も内容は、知りません。聞きたくもありませんでした。それが呪いの言葉だとしたら、知ってしまった瞬間何が起こるか、想像するのも怖い事なので、その事については、入社から2年後、彼が退職するまで、どんな酒席でも話題にすることはありませんでした。
今のところ、その時事務所に所属していた人達には、変死した人はいません。呪いの言葉で無いのなら、彼は毎晩何を呟いていたのでしょう。別の意味でも怖い様な気がします。
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