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とりあえず映画を観た話
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やることが特にないので、二人で映画を観ることになった。
勿論、家でだが。
動画配信サービスを利用してるらしいので、テレビに繋いだ。
最初はおじさんのオススメを観た。
初手はやっぱり人気作がいいなとか言って、おじさんが選んだ映画のタイトルは『In the cell』。
俺は初めて聞いた。どうやら、10年ちょっと前に大ヒットしたものらしい。
内容は、「俺たちが暮らしている世界は実はセルと呼ばれる仮想空間で、そこから抜け出して、核戦争中の本当の世界の救済を目指す」というもの。
中々面白かった。
世界観も独特で面白いが、とにかく主人公が強くて、見ていて気持ちよかった。
観終わったあと、2人でセルごっこをした。
後ろに仰け反って弾を避けるシーンを真似しようと思ったら、盛大に尻もちをついた。恥ずかしい。
ちなみにおじさんは完璧だった。
「…それ、ずっと練習したんだろ。」
「だ、だって、かっこいいだろう…?学生時代に、誰が1番上手いか競ったりしていたんだ。これは1位の実力だ。」
おじさんは仰け反ったままそう言った。
次は俺のオススメを観ることになった。
が、俺はそんなに映画を観ない。
迷った末、『The center of summer』という作品を選んだ。
観たことは無かったが、数年前に、予告編で「驚かないホラー」というキャッチコピーを使っていたことを思い出して、なんとなく興味を持っていた。
確かに驚くような演出は無かった。
だが、長めの性行為のシーンがあり、自分で選んだ映画というのもあって、とてつもなく気まずくなった。
その後は対照的にグロテスクなシーンになり、かなり滅入った。
結果的にカルト的な恐怖がテーマの映画だった訳だが、SAN値がごりごり削られた気がした。
そんな俺を察してか、おじさんは蜂蜜入りのホットミルクを渡してくれた。
すっかり、外は暗くなっていた。
腹減ったな、と言ったら、レトルトカレーと冷凍牛(調理済み)を使って牛カレーを用意してくれた。
一人暮らしのおじさんって感じだ。...俺もたまにやるけど。
知り尽くした美味しさを味わったあと、おじさんは…ウイスキーを持ってきた。
「おじさん飲むのか。初めて見たな、それ。ウイスキーだよな?」
「ああ、そうだ。…グレンゴインの40年もの。結構奮発して買ったやつでね。ちまちま飲んでる。飲みやすいからつい飲みすぎてしまうけどね。」
飲みやすい……ちらっと見えたラベルにアルコール度数が書いてあったが、50%を超えていたような気がする。
「おお…すげぇ良い匂いするな。思ったより甘めっていうか、なんつーか、嗅いだことねぇ独特な匂いだな。」
「これは、知人の店で開けてあってね。ちょっと貰ったら最高に美味くて、また飲みたいと思ったんだが、次に行った時には空になっていてね…。買ってしまった。酒はそろそろ控えた方がいいのは分かっているが…。まあ、でもかっこつけるには丁度いいかな。」
自虐気味に笑って、グラスを傾けた。
「おじさんだけずりーな。おれもなんか飲みたい。」
「ああ…そういえば、飲める年齢だったな…!はは、しょうがないな、一口飲んでみるか?」
さっきまで飲んでいたグラスを渡された。
蜂蜜のような色が揺れる。
勿論、家でだが。
動画配信サービスを利用してるらしいので、テレビに繋いだ。
最初はおじさんのオススメを観た。
初手はやっぱり人気作がいいなとか言って、おじさんが選んだ映画のタイトルは『In the cell』。
俺は初めて聞いた。どうやら、10年ちょっと前に大ヒットしたものらしい。
内容は、「俺たちが暮らしている世界は実はセルと呼ばれる仮想空間で、そこから抜け出して、核戦争中の本当の世界の救済を目指す」というもの。
中々面白かった。
世界観も独特で面白いが、とにかく主人公が強くて、見ていて気持ちよかった。
観終わったあと、2人でセルごっこをした。
後ろに仰け反って弾を避けるシーンを真似しようと思ったら、盛大に尻もちをついた。恥ずかしい。
ちなみにおじさんは完璧だった。
「…それ、ずっと練習したんだろ。」
「だ、だって、かっこいいだろう…?学生時代に、誰が1番上手いか競ったりしていたんだ。これは1位の実力だ。」
おじさんは仰け反ったままそう言った。
次は俺のオススメを観ることになった。
が、俺はそんなに映画を観ない。
迷った末、『The center of summer』という作品を選んだ。
観たことは無かったが、数年前に、予告編で「驚かないホラー」というキャッチコピーを使っていたことを思い出して、なんとなく興味を持っていた。
確かに驚くような演出は無かった。
だが、長めの性行為のシーンがあり、自分で選んだ映画というのもあって、とてつもなく気まずくなった。
その後は対照的にグロテスクなシーンになり、かなり滅入った。
結果的にカルト的な恐怖がテーマの映画だった訳だが、SAN値がごりごり削られた気がした。
そんな俺を察してか、おじさんは蜂蜜入りのホットミルクを渡してくれた。
すっかり、外は暗くなっていた。
腹減ったな、と言ったら、レトルトカレーと冷凍牛(調理済み)を使って牛カレーを用意してくれた。
一人暮らしのおじさんって感じだ。...俺もたまにやるけど。
知り尽くした美味しさを味わったあと、おじさんは…ウイスキーを持ってきた。
「おじさん飲むのか。初めて見たな、それ。ウイスキーだよな?」
「ああ、そうだ。…グレンゴインの40年もの。結構奮発して買ったやつでね。ちまちま飲んでる。飲みやすいからつい飲みすぎてしまうけどね。」
飲みやすい……ちらっと見えたラベルにアルコール度数が書いてあったが、50%を超えていたような気がする。
「おお…すげぇ良い匂いするな。思ったより甘めっていうか、なんつーか、嗅いだことねぇ独特な匂いだな。」
「これは、知人の店で開けてあってね。ちょっと貰ったら最高に美味くて、また飲みたいと思ったんだが、次に行った時には空になっていてね…。買ってしまった。酒はそろそろ控えた方がいいのは分かっているが…。まあ、でもかっこつけるには丁度いいかな。」
自虐気味に笑って、グラスを傾けた。
「おじさんだけずりーな。おれもなんか飲みたい。」
「ああ…そういえば、飲める年齢だったな…!はは、しょうがないな、一口飲んでみるか?」
さっきまで飲んでいたグラスを渡された。
蜂蜜のような色が揺れる。
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