2 / 11
聖女ゲットだぜ(聖女視点 前編)
しおりを挟む
前話の聖女視点です。
------
モンスターが王都や各都市に入ってこないように神殿は司祭や神官を派遣して聖域を張り巡らすようにしています。
しかし、聖域で防ぐのにも限界があり、都市部周辺でも時々モンスター被害がでるときもあります。
特に辺境では凶悪なモンスターが暴れており聖域もほとんど効果がでていないと聞いています。
聖域がほとんど効果がでていないと聞いているとは、私自身が足を運んで見たわけではなく、そのように司祭が言っていたのをきいただけなためです。
一度、私自身が辺境に赴き、聖域を展開することを進言しましたが、王都周辺の守りを疎かにすることはできないと却下されてしまいました。
私が辺境に赴けないか進言したときの光明を見出したかのような顔をした辺境伯様のお顔。
そして、にべもなく進言が却下されたときの失望したお顔が今でも忘れることができません。
結局、辺境伯様は新たな神官の派遣も認められないまま辺境に戻られました。
その後、風の噂で辺境伯様が大怪我を負ったと聞いたときも、辺境に赴き治癒などできないかと思いましたが、王都から離れることは認められませんでした。
そんな状態になっても辺境伯様は最前線で戦い続けているそうです。
きっと教会を恨み、修羅のごとく戦われているのでしょう。
あの方あっての王都の平和だというのに、みな見て見ぬ振りです。
いえ、私も結局は教会の奥で祈るだけで辺境伯様を見捨てている一人なのでしょう。
私は王都を離れることができず、自分の至らなさに申し訳ない思いでいっぱいでした。
そんな風に自分の至らなさに申し訳ない思いをしつつ、日々、聖域の維持をしつつ、けが人などの治癒をしながら日々過ごしていましたが、今回、何故か王家主催のパーティーに参加することになりました。
このようなパーティーに平民出の私はでるようなことは極めて少なく、前回の王子との婚約発表ぶりの出席でした。
今回も王家のどなたかがご婚約でもするのでしょうか。
そんなことを思いながら参加したパーティーで、まさか王子から突然婚約解消を言われるとは思いませんでした。
話をきくと、なぜか私は日々の業務もサボり気味で、見たこともない令嬢をいじめていることになっていました。
そもそも聖女として一人で動けることなどほとんどなく、いじめをするような時間もありません。
それらを説明しようにも話をまともに聞いてもらえず、私の立場はどんどん不利な状況になっていきました。
そしてとうとう婚約破棄を言い渡され、代わりに婚約者なるのが、さきほど私にいじめられていたと発言していた女性でした。
婚約破棄がしたければ、素直にそう言ってもらえれば喜んで引き受けたのに、わざわざ、このようなことをしてまで婚約破棄をしなくて良いのにと、悲しい気分になってしまいました。
悲しいものの、婚約破棄されたからと言ってなにか困ることもないので、素直に婚約破棄を受けることにしました。
すると、どうでしょう。
「ふんっ、ようやく罪を認めたか。やはり貴様のような平民が聖女といわれてたのが間違いだったのだ。」
と、なぜか私が罪を認めたことになっていました。
婚約破棄を受け入れただけでなぜ、罪を認めたことになるのでしょうか。
「貴様のような性根が腐ったようなやつが神聖なる神殿にいれば天罰が下りかねん。
王都より去れ。いや、国外追放のほうが良いか。」
しかも、王子から国外追放をされそうになっていました。
なぜこのようなことになるのか信じられず呆然としていると、
「自分の罪の重さで声もでないか。」
などと、意味不明なことを言っています。
平民出とはいえ子供の頃から聖女として働いていたため、市井の生活をほとんど知りません。
国外追放どころか、神殿外で一人で生活しろと言われてもできない状態です。
そんな私を一人で放り出すのは私への死刑宣告に等しいです。
なんとかしないと思いはするものの、頭の中は真っ白で何も思いつきません。
そんな絶望の中、お一人が、こちらに近づいてきます。
その方の姿を見た瞬間、息をするのを忘れそうになりました。
「アルバート王子。お話の途中で大変申し訳ありませんが、私に発言の許可を頂けないでしょうか。」
決して大声を上げているわけでもないのですが、その迫力にまわりのものたちも静まり返り、王子も思わず許可を出してしまったようです。
とても美しい顔立ちで世の女性は恋い焦がれていましたが、モンスターにやられたといわれる右目は光を失ったばかりか、本来目があった部分はくぼんでおり、それがどこまでも続くかのような錯覚をうけ非常に恐ろしく感じます。
さらに左腕を失っているためになびく袖が凄惨さをましており、見るものに畏怖を受け付けます。
私が同行できていれば、あのようなお姿になるようなこともなかったのではないかと思ってしまいますが、辺境へ行かなかった私が弾劾されてもしかたないという思いと、この方に勘違いされることの悲しさで目の前が真っ暗になり、思わずその場に座り込んでしまいそうになります。
神官の辺境への派遣を断った教会について良い感情をお持ちでない辺境伯様も、当然私を弾劾するのでしょう。
王子には何を言われても心に響かなかったですが、辺境伯様に弾劾されると思っただけで心が張り裂けそうです。
辺境伯様に口汚く罵られるくらいなら、今すぐ辺境の最前線に赴き命あるまで戦うほうがましです。
神様、どうか、お願いします。
私に慈悲を。
---
思った以上に話が進まず、次に続くことになってしまいました。
次も聖女視点です。
------
モンスターが王都や各都市に入ってこないように神殿は司祭や神官を派遣して聖域を張り巡らすようにしています。
しかし、聖域で防ぐのにも限界があり、都市部周辺でも時々モンスター被害がでるときもあります。
特に辺境では凶悪なモンスターが暴れており聖域もほとんど効果がでていないと聞いています。
聖域がほとんど効果がでていないと聞いているとは、私自身が足を運んで見たわけではなく、そのように司祭が言っていたのをきいただけなためです。
一度、私自身が辺境に赴き、聖域を展開することを進言しましたが、王都周辺の守りを疎かにすることはできないと却下されてしまいました。
私が辺境に赴けないか進言したときの光明を見出したかのような顔をした辺境伯様のお顔。
そして、にべもなく進言が却下されたときの失望したお顔が今でも忘れることができません。
結局、辺境伯様は新たな神官の派遣も認められないまま辺境に戻られました。
その後、風の噂で辺境伯様が大怪我を負ったと聞いたときも、辺境に赴き治癒などできないかと思いましたが、王都から離れることは認められませんでした。
そんな状態になっても辺境伯様は最前線で戦い続けているそうです。
きっと教会を恨み、修羅のごとく戦われているのでしょう。
あの方あっての王都の平和だというのに、みな見て見ぬ振りです。
いえ、私も結局は教会の奥で祈るだけで辺境伯様を見捨てている一人なのでしょう。
私は王都を離れることができず、自分の至らなさに申し訳ない思いでいっぱいでした。
そんな風に自分の至らなさに申し訳ない思いをしつつ、日々、聖域の維持をしつつ、けが人などの治癒をしながら日々過ごしていましたが、今回、何故か王家主催のパーティーに参加することになりました。
このようなパーティーに平民出の私はでるようなことは極めて少なく、前回の王子との婚約発表ぶりの出席でした。
今回も王家のどなたかがご婚約でもするのでしょうか。
そんなことを思いながら参加したパーティーで、まさか王子から突然婚約解消を言われるとは思いませんでした。
話をきくと、なぜか私は日々の業務もサボり気味で、見たこともない令嬢をいじめていることになっていました。
そもそも聖女として一人で動けることなどほとんどなく、いじめをするような時間もありません。
それらを説明しようにも話をまともに聞いてもらえず、私の立場はどんどん不利な状況になっていきました。
そしてとうとう婚約破棄を言い渡され、代わりに婚約者なるのが、さきほど私にいじめられていたと発言していた女性でした。
婚約破棄がしたければ、素直にそう言ってもらえれば喜んで引き受けたのに、わざわざ、このようなことをしてまで婚約破棄をしなくて良いのにと、悲しい気分になってしまいました。
悲しいものの、婚約破棄されたからと言ってなにか困ることもないので、素直に婚約破棄を受けることにしました。
すると、どうでしょう。
「ふんっ、ようやく罪を認めたか。やはり貴様のような平民が聖女といわれてたのが間違いだったのだ。」
と、なぜか私が罪を認めたことになっていました。
婚約破棄を受け入れただけでなぜ、罪を認めたことになるのでしょうか。
「貴様のような性根が腐ったようなやつが神聖なる神殿にいれば天罰が下りかねん。
王都より去れ。いや、国外追放のほうが良いか。」
しかも、王子から国外追放をされそうになっていました。
なぜこのようなことになるのか信じられず呆然としていると、
「自分の罪の重さで声もでないか。」
などと、意味不明なことを言っています。
平民出とはいえ子供の頃から聖女として働いていたため、市井の生活をほとんど知りません。
国外追放どころか、神殿外で一人で生活しろと言われてもできない状態です。
そんな私を一人で放り出すのは私への死刑宣告に等しいです。
なんとかしないと思いはするものの、頭の中は真っ白で何も思いつきません。
そんな絶望の中、お一人が、こちらに近づいてきます。
その方の姿を見た瞬間、息をするのを忘れそうになりました。
「アルバート王子。お話の途中で大変申し訳ありませんが、私に発言の許可を頂けないでしょうか。」
決して大声を上げているわけでもないのですが、その迫力にまわりのものたちも静まり返り、王子も思わず許可を出してしまったようです。
とても美しい顔立ちで世の女性は恋い焦がれていましたが、モンスターにやられたといわれる右目は光を失ったばかりか、本来目があった部分はくぼんでおり、それがどこまでも続くかのような錯覚をうけ非常に恐ろしく感じます。
さらに左腕を失っているためになびく袖が凄惨さをましており、見るものに畏怖を受け付けます。
私が同行できていれば、あのようなお姿になるようなこともなかったのではないかと思ってしまいますが、辺境へ行かなかった私が弾劾されてもしかたないという思いと、この方に勘違いされることの悲しさで目の前が真っ暗になり、思わずその場に座り込んでしまいそうになります。
神官の辺境への派遣を断った教会について良い感情をお持ちでない辺境伯様も、当然私を弾劾するのでしょう。
王子には何を言われても心に響かなかったですが、辺境伯様に弾劾されると思っただけで心が張り裂けそうです。
辺境伯様に口汚く罵られるくらいなら、今すぐ辺境の最前線に赴き命あるまで戦うほうがましです。
神様、どうか、お願いします。
私に慈悲を。
---
思った以上に話が進まず、次に続くことになってしまいました。
次も聖女視点です。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
厳しい婚約者から逃げて他国で働いていたら、婚約者が追いかけて来ました。どうして?
火野村志紀
恋愛
身寄りがないカスタネアは菓子店の夫婦に拾われた。
菓子作りが得意になった彼女を婚約者にしたいと言い出したルビス侯爵ライネック。
彼の屋敷で暮らすことになったカスタネアを待っていたのは多忙の日常。
ライネックを怒らせないため、毎日頑張っていたカスタネアだったが、ついに彼の逆鱗に触れ、婚約破棄を言い渡されてしまう。
「君がこのこを要らないなら、うちが貰うよ」
失意のどん底に叩き落とされたカスタネアに手を差し伸べたのは……。
【完結】追放聖女は最強の救世主〜隣国王太子からの溺愛が止まりません〜
●やきいもほくほく●
恋愛
「フランソワーズ・ベルナール、貴様との婚約は破棄させてもらう」
パーティーの場で、シュバリタイア王国の王太子……セドリック・ノル・シュバリタイアの声が響く。
その隣にはフランソワーズの義理の妹、マドレーヌが立っていた。
(さて……ここまでは物語通りかしら)
フランソワーズ・ベルナールは前世で読んだ小説の悪役令嬢だった。
そして『聖女』として悪魔の宝玉を抑えて国を守っていたのだが……。
(これですべてが思い通りに終わると思っているんでしょうが……甘いのよ)
マドレーヌに貶められて罪に問われたフランソワーズは国外への逃亡を決意する。
しかし逃亡しようとしたフランソワーズの前に現れたのは隣国、フェーブル王国の王太子ステファンだった。
彼はある事情からフランソワーズの『聖女』としての力を欲していた。
フェーブル王国で、国を救った救世主として持ち上げられ、ステファンから溺愛されるフランソワーズは幸せな日々を過ごす。
一方、フランソワーズを追い出したシュバリタイア王国は破滅へと向かう──。
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
異世界を【創造】【召喚】【付与】で無双します。
FREE
ファンタジー
ブラック企業へ就職して5年…今日も疲れ果て眠りにつく。
目が醒めるとそこは見慣れた部屋ではなかった。
ふと頭に直接聞こえる声。それに俺は火事で死んだことを伝えられ、異世界に転生できると言われる。
異世界、それは剣と魔法が存在するファンタジーな世界。
これは主人公、タイムが神様から選んだスキルで異世界を自由に生きる物語。
*リメイク作品です。
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
スキル【課金】を使って無双してみます 〜前世の記憶を思い出し僕は最強になった〜
ss
ファンタジー
主人公のレオはスキルという特別な力を手に入れることの出来る神の祝福を受けた。しかし、そこで手に入れたスキルは【課金】だった。
使い方がわからず、周囲からは落ちこぼれ扱いをされていたレオだが、ある日、日本人だった前世の記憶を思い出した。
レオの前世はプロゲーマーの『高田 明』という男だった。明の記憶を使い、レオは【課金】の力を使い無双する物語である。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです
無能と罵られた私だけど、どうやら聖女だったらしい。
冬吹せいら
恋愛
魔法学園に通っているケイト・ブロッサムは、最高学年になっても低級魔法しか使うことができず、いじめを受け、退学を決意した。
村に帰ったケイトは、両親の畑仕事を手伝うことになる。
幼いころから魔法学園の寮暮らしだったケイトは、これまで畑仕事をしたことがなく、畑に祈りを込め、豊作を願った経験もなかった。
人生で初めての祈り――。そこで彼女は、聖女として目覚めるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる