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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編
53話 初めてのお泊まり冒険者活動21〈いざっ!洞窟内に突入!!〉
しおりを挟むはい、どうも、僕です。・・・・今、すっごい気まずい雰囲気で洞窟内を探索中です・・・・
洞窟に入る前に色々と一悶着あった後、スタフお兄様のとりなしで、僕の制作した地図を元に魔物気配を感知しながら探索を始める事になりました。もちろん僕達は他の斥候役の人達と一緒に先頭で気配探知と索敵のスキルを使い、進んでいるのですが、どうも、ソルのご機嫌が悪いようなので、凄く気まずいです・・・
「ソル?まだ怒ってる?あのね?時間がなかったから急いで地図を仕上げるのにスキルを使い過ぎちゃったんだ、今度からは前みたいにちゃんと一階層ごとに分けてスキルを使うよ・・・だから、ごめんなさい・・・」しゅん・・・
ソル「・・・・・っ、はぁ~・・・・すみません、僕はアトリー様が効率重視で動く事は分かっていました、それなのに僕がちゃんとお諌めできなかった事を、アトリー様のせいにするのはお門違いでした。本当にごめんなさい。怒ってないので、もう謝らないでください」
「!、ソルのせいじゃないよ!僕がちゃんと自重していればよかったんだよ!心配かけてごめんね・・・」
思い立ったことをすぐに実行してしまう僕の癖を、ソルがいつも気にかけて居てくれる事に、僕が甘えきってしまって、今回のように行き過ぎたことも過去に何回かあり、ソルの心配も分かってはいるけど、どうにもその癖が治る兆しがなかった。今回ばかりは僕もやり過ぎた事を深く反省して、謝ったのだが、ソルも同じように謝って来たので、また自分の行動を反省し謝った僕。するとソルも謝ってきてと、互いに謝罪の応酬になった、それでも洞窟内の探索の手は辞めていない、そんな僕達のやりとりを見ている他の人達の目はかなり生ぬるかったと思う。
その時の周囲の人達の様子・・・・
「なぁ、何だあのやり取り・・・」 「貴族って言ってもやっぱガキはガキなんだな・・・」 「貴族らしくないわねぇ」 「何?あいつらデキてんの?」
“蒼炎“ゼンガ「アトリーちゃん達は幼馴染の親友同士ですって、アトリーちゃんって見た目に相反して活発で結構ヤンチャよ、それをソルちゃんが気遣って見守っている感じなのよね。でも、2人とも貴族だけど自分の失敗を素直に謝る事ができるいい子達よねぇ、うふふっ」
“蒼炎“ガイアス「そうだな、いい子達だが思ってた以上の能力を持ってたな、もしかして、ギルマスはこのこと知ってて、こっちの隊にあの子達をわざわざ入れたのか?」
“蒼炎“タミラ「そう言えば以前どこかのダンジョンの詳細な地図が突然できたって、風の噂で聞いたことあるわ・・・・」
「「「「「えっ・・・」」」」」
“蒼炎“イデリー「・・・確定だね・・・あの子達も自分達の能力をよく分かってたから、斥候役を買って出たんだね。その方が効率的だって思ったんだろう、その事に関してもギルマスは止めなかったし・・・」
“蒼炎“テミル「魔法禁止、合理的・・・」
“蒼炎“イデリー「うんうん、そうだね。自ら魔法の使用を制限してるから、魔法なしでできる斥候役を買ってでたのは合理的だよね。自分でできることをちゃんと認識しているのは良い事だ」
?「そうなんですか?私達からしてみたら、まだ雑魚しか出て来てないとしても、こんな危険な洞窟内で、あんな話してるのはふざけているようにしか見えないんですけど・・・」
そう言って眉間に皺を寄せてアトリー達を見たのは、同じ冒険者側の“洞窟隊“に配属された女性だけのパーティーを組む、Cランクパーティーの“野花の乙女《のばなのおとめ》“のリーダー“アニス“だ。
“蒼炎“イデリー「そうかな?彼らはあんな事しててもちゃんとお仕事してるから、ふざけてはないと思うよ?」
そう言って指差す方向では、アトリーとソルの次に感知能力が高いへティを先頭に、洞窟内を進んでいて、へティが正面を、イネオスが右側を、ベイサンが左側を、それぞれが気配感知のスキルで警戒しながら進んでいる、そしてアトリーの次に感知能力に長けているソルが後ろを担当し、アトリーは自分の探索スキルで知った洞窟内の構造を全て覚えているため、それを元に道案内をしていた。ついでに言うと、制作した地図は“洞窟隊“の隊長であるガイアスに渡したのだが、アトリーが率先して道案内をしているのであまり活用されてない。
アトリー「へティ、次はそこを左、その先に階段があるよ。あ、後、クララさん、その右の小部屋に、何か箱があるみたいなんですが、確認お願いできますか?」
“野花の乙女“クララ「え、あ、あぁ、分かった、隊長、行って良い?」
先程まで謝罪合戦をしていたアトリーが急にそう指示を出してきて、戸惑いながらも指示を受けた“野花の乙女“所属の斥候役、“クララ“が、隊長のガイアスにお伺いを立てた。
“蒼炎“ガイアス「あぁ、頼んだ、もしかしたら罠かもしれないから気をつけるんだぞ」
“野花の乙女“クララ「了解」
アトリー「大丈夫ですよ。罠の気配は感じませんから、多分、ここに来ていた人間が置いていった備品だと思います。でも本当に何が入っているかは分からないので確認をお願いします」
“蒼炎“ガイアス「そ、そうか・・・」
アトリーがその箱の存在を感知した時点で害がなく、中身も予想がついてる事に、冒険者達はドン引き、さらにそれを友人と会話しながら片手間でやっていることにさらにドン引きしていた。なので、ふざけているように見えるのしょうがないと言える。
そして、そんな事を思われているとは知らずに、アトリーは効率よく洞窟内の探索を進め、すでに地下3階に繋がる階段付近まで来ていた。
へティ「アトリー様、階段ありました。結構狭そうですが、どうしましょう?」
「そうなんだよね。僕達ぐらいは2人ずつ入っても平気な広さなんだけど、大人達は1人通るのがやっとって感じだからね・・・ガイアスさん、どうしますか?これから先は多分大量にゴブリンとアーミーアントが出てくると思われます。魔法で階段を拡張しますか?」
(ここの階までのゴブリン達は表の討伐隊の排除に出ていったんだけど、この先に居るのは外の様子をまだ伺ってるんだよねぇ、さっきから1、2匹ずつゴブリンやアーミーアントの偵察が上がってきてたんだけど、全部その場で倒しちゃってるから、向こうも結構警戒してると思うなぁ(*´ー`*)ここの階段が向こうからしたら第2防衛ライン的な場所だと思うし・・・( ̄▽ ̄))
ガイアスさん「そうだな、・・・1人ずつ行くのは効率が悪し危険だ、階段を拡張した方がいいだろうが、作業中に魔物達に襲われるのは避けたいな、先に数人を雑魚排除のために下の階に送るか・・・」
へティから報告を受けたが、この先の対応をどうするかと隊長であるガイアスさんに指示を求めると、ガイアスさんは少し考えた後すぐに対応策を練り出した。そんな話をしていると、僕が言った小部屋を探索して戻ってきたクララさんが、小部屋にあった物を見せてくれた。
クララさん「坊や、君が気にしていた箱の中身はコレなんだけど、私には意味が分からなかったから持って来たわ」ぽすっ
と、持ってきた物を手渡してくれた。
「わ♫ありがとうございます♪・・・・・っ!?これはっ!!」バッ!!
(くそっ!!こんな手の込んだ事してるなんて!!しかも上手く行くか分からない博打みたいな仕掛けをするとはなっ!!すでに動いている!!)
クララさんから受け取った四角い金属の板を見た瞬間、精霊達から聞いて予想していた事より、はるかに上をいく事態に驚きを隠せなかった、この金属板に書かれている事が可能ならと思い、確認の為スキルをフル活用し、周囲の壁を確認すると、やはり、コレはすでに始まっていると認めざる得なかった。何故なら薄暗い洞窟内には誰かが設置したのか、ぼんやり光る石が等間隔で壁に埋め込まれており、確実に人の手によるものだと認識していたのだが、その他にも、先程まで誰も気づかないぐらい巧妙に細工された痕跡の先を壁に見つけ、その奥を透視するようにスキルで見ると、この四角い金属板が埋め込まれたが確認できたのだ。
天華『どうしました?アトリー?』
(天華、コレ見て!)
天華『!?コレは・・・最深部に急いだ方がいいですね』
(だよね!)
僕の慌てようを見て、声をかけてきた天華に手に持っていた物を見せると、天華も驚き、事の重大さに真剣な表情になった。天華と僕の話を聞いたジュールや夜月も、先程までのゆるい雰囲気を一変させ、周囲を警戒し始めた。
ソル「アトリー様、どうかなさいましたか?」
「ソル、僕の予想が現実になった、しかも悪い方向で」
ソル「!!、分かりました。王太子殿下に知らせてきます」
「うん、お願い、急いで!」
僕の様子がおかしい事にすぐさま気づいたソルに僕が端的に説明すると、手筈通りに急いでスタフお兄様の元へ走っていった。
ガイアスさん「ど、どうしたってんだ!?アトリー坊!」
「すみません、詳しいお話はスタフお兄様、いえ、総司令官の王太子殿下が来てからお話しします。それまではここで待機していただけますか?」
ガイアスさん「お、おぉ、別に構わねぇが・・・そこまで深刻な状況なのか?」
「えぇ、かなり・・・」
僕達のやり取りの意味がわからなかったガイアスさんが訝しげに聞いてきたので、僕は一切ふざける事なく真剣な表情で、こう答えるしかなかった。何故なら、王族ですら知らなかったはずの技術が使われている事だから、それを軽々しく冒険者であるガイアスさん達に話してはいけないと思ったから・・・
そして、数分も経たないうちにソルがスタフお兄様と総元帥とロズ殿下、その他に護衛の騎士を数人連れて戻ってきた。僕は本題に入る前に先程、クララさんが探索してくれた小部屋にガイアスさんと今来た人達を連れて行く事に、その時には申し訳ないが他の冒険者達や軍人達は、イネオス達と引き続き周辺の警戒をしてもらいその場で待機、スタフお兄様達についてきた護衛騎士達にも小部屋の外で待機して貰ってから、小部屋に入り、遮音と侵入不可の結界を展開した。
ガイアスさん「そこまでする必要があるのか・・・」
「えぇ、コレから話す事は他に漏れたら大変な事態を引き起こしかねないので、“洞窟隊“の隊長であるガイアスさん以外の方にはご遠慮願いしました。もちろん、ガイアスさんにはこの場で神に他言無用を誓って貰うか、依頼終了後に王城で魔法契約にて、今から話す内容を話せなくして頂くかです」
ガイアスさん「ま、まじか・・・」
僕の施した結界の仕様を聞いて、事の重大性に尻込みしている様子のガイアスさんに、さらに追い討ちという訳ではないが、今からの話を完全に他所に漏らさない処置をする事も伝えた。そこまでする程の話が始まると分かったガイアスさんは冷や汗をかきながら顔を引きつらせた。
スタフお兄様「アトリー君、コレから話す内容はそこまでするほどの発見があったと言うことなんだね?」
「はい、スタフお兄様、今、ここにいる人達の中でガイアスさんだけは、“3年前“の当時の状況を知らないので、説明しても理解はできないかもしれませんが、今から出すものを覚えられた場合、その情報が流出するのは避けたいですから、今の条件は必須です」
スタフお兄様「っ・・・“3年前“・・・もしかして、あの時の・・・」
スタフお兄様達はまだちゃんとした説明もない時点で、僕がここまで用心している事に驚いていたが、僕がその時の当事者達だけしか分からないワードを出すと、直ぐに今から話す内容に検討がついたのか、険しい表情になった。
「ガイアスさん、どうします?知りたくないのなら、貴方もここから出ていって貰わなければなりません。その代わり、この後の洞窟内の探索の指揮は僕がとらせて頂きます。その際は、絶対に僕の指示に従って貰いますが・・・」
ガイアスさん「!?・・・・・王太子殿下でも、軍のお偉いさんでもなく、アトリー坊が?・・・ちっ、ええいっ、いい大人が尻込みするもんじゃねぇな!よし!分かった!俺は、神に誓って、今から話す内容は絶対に他所には漏らさねぇ!!約束するっ!!」
僕が用意した逃げ道を振り切って、ガイアスさんは堂々とそう宣言した。
「流石ガイアスさん、貴方のその約束の言葉は神々に確かに届きました」
・・・・・『契約成立ね♪』・・・・・
ガイアスさん「はっ!?」 「「「「えっ!?」」」」
どこからともなく、美しい女性の声が聞こえてきた事にガイアスさん達は驚いて不思議そうに周囲を見渡した。
「ふふっ、相変わらず、お茶目だなぁ・・・では、契約が成立した事ですし、早急に話を始めしょう」
今の現象が何なのか理解が追いついてない人達を急かすように本題に入った僕、そのあまりの急展開に僕とジュール達以外は混乱しているが、今はそんな事態ではないので、サクサクと今あった事を今は一旦脇に置いておくように強制して、話を進めた・・・・
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