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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編
49話 初めてのお泊まり冒険者活動17 〈作戦決行の朝〉
しおりを挟むはい、どうも、おはようございます。僕です・・・・スタフお兄様とのお話の後、皆んなでキャンプファイヤーしながら星空を眺めてまったりダベると言ったことをする筈だった僕です。
でも、いつの間にか朝になってました。テンションダダ下がりです・・・・
(なんで?いつの間にか朝になってるの?星空はどこに行ったの?(*´-`))
天華『おはようございます。アトリー』
(あ、おはよう・・・じゃないよぉ~~~!何でまた僕寝ちゃったの?いつもの加護の効果なのは分かるけど!何で皆んなと星空見ながら楽しくだべって、マシュマロ焼いて食べて、ほんわかゆるキャンの思い出を作りたかっただけなのに、何でまた中途半端な所で寝ちゃうかなぁ!?( ゚д゚)途中までは良かったんだよ?皆んなで楽しく夕暮れ眺めながらご飯食べて、そのあとは焚き火を囲んで食後のお茶飲んで、後は焼いたマシュマロ食べながら綺麗な星空を眺めて、今日1日あった事を話してまったりする予定だったのに!o(`ω´ )o途中からスタフお兄様達とあの失礼な護衛騎士が来たから予定が狂った!!( *`ω´))
夜月『おはよう、アトリー朝から大荒れだな・・・』
ジュール『おはようアトリー、ぷんぷんだね』
(おはよう!そりゃぷんぷんするよ!僕の思い描いていたキャンプじゃなくなったんだもん!それもこれも途中からきたスタフお兄様達のせいだ!皆んなと楽しくダベる時間を邪魔するんだもん!あれがなかったら僕も皆んなと焼いたマシュマロ食べながら星空を眺めて、楽しくお喋りしてまったりできたのに!( ;∀;))
このようにアトリーが怒るのには理由があった、前世での自分の母との約束というか予定を組んでいた、1番下の弟が高校を卒業し、独り立ちをしたら、母と2人でのんびりキャンプをすると・・・
アトリーは前世で1番同じ時間を過ごした母の、これまでの育児の苦労を労うつもりで、当時、キャンプの動画を見るのにハマっていた母の願いを叶えるために、自然豊かで星空が綺麗な場所でキャンプをしようと計画を立てていたのだ。それを実行する寸前に自分が死んでしまうという事態になって、何より自分も思った以上にキャンプを楽しみにしていたこともあり、今でもアトリーの心の奥底でこの約束が宙ぶらりんになったままだった。
楽しみにしていた大切な母とキャンプをすると言う約束、もう絶対に果たせないと分かっていても残っている、そんな消化しきれないモヤモヤした思いが、今回の“2泊3日掃討作戦“の野営で、大切な友人達とキャンプができればスッキリするかも?と無意識に感じていたことで、やたらこだわりを持って、テントやお風呂、トイレなどの制作に力を注いでいたのだった・・・・
天華『まぁまぁ、アトリー、落ち着いて、せっかく頑張って作ったテントの空間が歪んで、他の皆さんが寝ている場所が潰れてしまいますよ』
(む、むぅ~~~( ̄^ ̄))
夜月『そう怒るなアトリー、まだチャンスは今日の夜にあるだろう?その時にアトリーが呼んだ人以外を通さない結界でも張れば邪魔は入らないさ』
(む?あ!そうだね!そうすれば皆んなと楽しく過ごせるね!・・・あれ?でも動物達はどうしよう・・・それにあの後動物達はどこに行ったの?ここには居ないみたいだし・・・(*´ー`*))
そんな、本当の約束が果たせるわけでも無いと分かっていても、今までに無いこだわりを見せた僕を天華や夜月がなだめて、今日も野営できるのだから、その時に今度は邪魔が入らないようにして仕切り直せばいいと言ってくれたので、僕はすぐに機嫌を直し今日の夜を楽しむき満々になった。
ジュール『あ、動物達なら、アトリーが寝ちゃった後、森に帰って行ったよ』
(あ、そうなんだ、今日の夜も来てくれるかな?( ´ ▽ ` ))
ジュール『心配しなくても来ると思うよ』
(そうか、来てくれるといいな、来てくれたら今度は皆んなと一緒に寝たいな( ^∀^))
春雷&雪花『『おはようございます。アトリー様』』
(あ、おはよう春雷、雪花、そう言えば、昨日会議の途中からどっか行っていた様だけど、どこに行ってたの?(・・?))
春雷『その事でご報告がありまして・・・・』
(ん?何かあった?・・・)
春雷『実は昨日、あれから山の中の精霊達に会いに行ったのですが・・・・・・・・・
・・・・・・・と、言う証言が出て来てまして・・・』
(・・・そう、そんな事が・・・分かった、今日の洞窟調査の時、注意して見てみるよ・・・)
と、春雷達から新たな報告を受け、今回の“掃討作戦“における洞窟内の斥候役の偵察だけではなく、探索としても力を入れて新たに得た情報の証言の正確性を確かめる事になった。そうして色々と話してる内にテント内の他の場所から誰かが起きる気配がしたので、自分もそろそろベッドから出て、着替える用意をし始めた。
・・・・・数分後、身支度をキッチリ整えたソルが僕を起こしにきて、着替え途中だった僕の着替えの手伝いをすぐにしてくれた。そして今日も僕の髪をセットするために、明るくなり始めたテントの外で僕の髪をすきながら、今日の髪型の要望を聞いてくる。
ソル「アトリー、今日の髪型はどうしますか?」
「うーん、そうだね、暴れても解けないような髪型なら何でもいいよ」
ソル「分かりました。じゃあ、戦闘の邪魔にならないように編み込んでひとまとめにして、それをお団子にしておきましょう」
「うん、お願いします♪」
朝のわずかな時間、誰も起きてない中、いつものように僕を様付けで呼ばないソルにニコニコしながら、会話するのがいつもの日課になっていて、ふとたまに思う僕達の関係性に思いを馳せる。
(何だか、この時間のやり取りは日課になってて、凄く自然体で心地いいんだよね、何故か分からないけどもっとずーっと昔からこれが当たり前のようなそんな感覚・・・僕とソルの間にある魔力の繋がりがそう感じさせるのかな?今みたいにソルが楽しそうだったら僕も楽しいし、僕が泣いたらソルも泣く、今日も朝の僕の怒りも伝わっていただろうに、今は何も聞かずにいつも通り接してくれている、・・・本当に心地良い・・・・この不思議な繋がりがある僕達は、一体いつまで一緒にいられるかな・・・)
そんな事を思っていると、次第に他の人が目覚めて動き出す気配が周囲からしてきて、この心地良く不思議な感覚でいられる時間が終了を告げたのだった・・・
周囲の人の気配がさらに活発になってきた頃に、イネオス達も自発的に起きて、自分の身支度を済ませてテントから出てきた。全員に朝の挨拶をして、昨日の寝落ちを謝罪すると同時に、今日こそはまったりとキャンプを満喫しようと張り切って提案すると、皆んなも喜んで賛成してくれたので、また夜の楽しみができた。これだけで、テンションが上がっていった僕はご機嫌で朝食を取り、いつの間にかやってきていた動物達とも朝の挨拶を交わし、集合の時間まで後少しと言う所で今日の“掃討作戦“のために気合いを一つ入れて、装備をつけて準備を済ませた。
そして、集合場所に向かう前に、ついさっき春雷達から得た情報を皆んなと共有し、いざとなった時は僕はそちらの問題にかかりきりになるかもしれないから、少し迷惑をかけるかもと話すと、皆んなはその時は存分に頼ってくれと言われて、僕はとても嬉しくなった。
その後は、防犯の面から魔道具を使用するのだが使用時にちょっとした制約があるのでその事で、朝から遊びに来てくれた動物達をどうするか迷った、なので一応、動物達の要望を聞く事にした。
「さて、もう少しで集合時間だから僕達はしばらくここを離れるけど、君達はまだここにいるかい?」
そう言って、朝食の途中からここにやってきていた動物達に話しかけると、動物達は皆んな一様に頷いた。
「きゅ!」 「チュンッ!」
「ふふっ、可愛い、・・・そうか、ここに居てもいいけど、今日はあの山に近づかないようにね、まぁ、ここからはかなり距離があるから心配はいらないと思うけど、一応、この野営地には僕が作った結界の魔道具を置いて行くよ。最初に発動させた時に中にいた人以外は中に入って来れない設定だから、後から来たお友達は中に入れないよ。でも、この結界は君達がこの野営地の敷地から出ない限り何が襲ってきても君達には手を出せないからね。それだけは覚えていて、もしかしたら君達を捕まえにくる人がいるかも知れないから、その時はすぐにこの結界の中に入るんだよ」
「チチッ!」 「きゅっ!!」
(ふぁっ!?相変わらず可愛いかよ!!も、萌死ぬ・・・・_:(´ཀ`」 ∠):)
と、元気よく返事を返してくれたので、僕は1人萌を感じながら動物達を一通り撫で回し、約束通り魔道具を起動、設置して、野営地を後にすることに、後ろでは動物達が可愛く手を振り見送ってくれて、さらにテンションを上げて、集合場所へと向かったのだった。
ザワザワ ザワザワ
集合場所であるチーボ村の入り口にはすでに軍人の殆どとが整列し、静かに待機している、それとは反対に冒険者の半数以上が集まって賑わっていた。
「わぁー、こうやって全員が集まってみると凄い圧巻だね、特に軍人さん達の整列が綺麗だね」
イネオス「そうですね。冒険者側はこれと言って列を作ってないみたいですし、見たところまだ半数ほどしか集まってないですね」
「そうみたいだね、僕達ちょっと遅れたかもって思ったけど、まだ半数きてないのか・・・」
集合時間は5時半で、その5分ほど前に自分達は着くようにして到着したのだが、思ったよりも集まりが悪く、こんな事で良いのだろうか?と思っていたら・・・
ギルマス「大丈夫ですよ。本当の集合時間は6時ですから、冒険者達に時間厳守を敷いても時間通りに集まったりしませんからね。だからいつも予定の時間の30分前を告知してます」
と、僕達の後ろからやってきたギルマスがそう言ってきた。
「そうなんですね。それは何というか、冒険者らしい話ですね・・・」
(まぁ、確かに、冒険者は自由な感じの人が多いからな、そもそも、仕事は基本的に自分で選んで自己責任、自分のリズムで仕事をするのが冒険者だもんな、それを予測して集合時間を前倒ししてるギルマスは、冒険者のなんたるかをよくわかっている。流石ギルマス( ^∀^))
ギルマス「それより、デューキス様達は、その装備で行かれるのですか?」
「?・・・あぁ、そうですね。今日は斥候役でもありますから軽い装備にしました」
ギルマスは僕達の今日の装備を見て心配そうに聞いてきた。それもその筈、僕達は王都からここに来るまでの時に着用していた防具の上に、ケープのような短いマントをお揃いで着ているのだ、イネオス達は武器はそのままに上着が変わっただけで、僕に至っては来る時はほぼ防具なんて着けてなかった、かろうじて上着の下に胸当てをつけていて、武器なんて装備すらしてなかった。
今はその来るときに着けていた胸当てよりさらガードする範囲の少ないに胸当てに変更し、その上からお揃いのマントに手には指貫の手袋をつけて。腰に愛用の刀を二振りベルトで固定し装備しているだけで、総じて僕達の防御面の装備が薄いのが気になっているのだろう。
でも、これには理由がある、僕達の付けているお揃いの腕輪には仕掛けがあって、僕の加護の結界を元に一度規定の魔力をその腕輪に通すと、皮膚から1センチの所を覆うように結界が張られ、その状態が一定時間継続するようになっている魔道具なのだ。もちろん僕は自分の加護の結界があるのでその機能はない、と言うか僕の神力を抑えるための“神器“をデザインモデルにして作ってあるので、ただ機能が皆んなとは別なだけだったりする。こう言う理由で防御面は心配ないようになっている。
それに後はそれぞれハント親方が作ってくれた最上級の自分の得意な武器を装備しているし、イネオス達のもう一つの腕輪の“アイテムリング“や、ソルと僕の“収納系スキル“には、予備の武器やポーション類など他にも色々と役に立つ物も入ってるから、見た目以上に万全な状態だったりする。
そんな事を知らない人から見れば、魔物討伐の仕事を舐めていると思われるだろうが、僕達はこれまでこのスタイルで数々の依頼をこなし、成功させて来ているので、その事を知っているギルマスはそれ以上深くは聞いてこなかった。
その後は皆んなと世間話をしているうちに冒険者達の約8割が集まって来た、そこでギルマスが冒険者達にそれぞれの隊ごとに分かれて並ぶように言ったので、それを聞いた冒険者達はノロノロと事前に決められた隊ごとに別れ、これと言って基準がないのか皆んな適当に列を作り並び始めた。でも何故か僕達(ヨンガン君も含む)は1番年下で背が小さいから、前の方に背の順で並ばされてしまった・・・そして年少組の中で現在の身長順ということは、悲しいかな必然的に僕が1番前になるのだ・・・・
(解せん( *`ω´))
ちょっとスネモードで1番前に立つ僕を、僕達の後ろの方で“蒼炎“のメンバーがくすくす笑っている。そもそも僕達を前の方に並ばせるように言ったのは“蒼炎“のリーダーのガイアスさんだ。今現在1番笑っているのも並ばせた本人なのだが、僕達を並ばせている時に僕が女の子のへティより身長が低いと知って揶揄ってわざと笑っているのだ、それに多分、自分達を含めた全員の身長のグラデーションが見事だったのがツボだったんだろう、それが伝播したのか周囲の人達も声を押し殺して笑っている。そのせいで僕はご機嫌斜めなのだ。
(むぅーっ!!僕だってその内大きくなるんだからね!!( *`ω´))
天華『まぁまぁ、今の内だけですよ。小さくて可愛がられるのは、アトリーは後伸びするタイプなので、心配しなくても、ちゃんと大きくなりますよ』
(む、・・・本当?ちゃんと大きくなる?174センチ以上になりたい・・・(*´ー`*))
天華『・・・やたら具体的な数字ですね?でも、まぁそれぐらいは伸びると思いますよ。ねぇ、夜月?』
夜月『あぁ、アトリーは好き嫌いしないし、適度な運動もして睡眠も十分とっている、それに何より、アトリーの男性親族の殆どは身長が高いからな、心配しなくてもそれ以上伸びる可能性は十分ある』
(本当!?なら今は揶揄われても我慢する!( ^∀^)それに早く大きくなっても母様達から頭なでなでされなくなるのは嫌だから、今はこの身長を満喫する♪٩( 'ω' )و)
身長のことでぷんぷん怒っていたら、天華達に宥められ、将来の身長を保証してくれたので、今後の悩みが無くなった僕は、今を満喫するという気持ちに切り変わり、先ほどとは打って変わってご機嫌になった。この時、僕がこだわった身長に高さは前世での弟、“幸樹《コウキ》“の身長で、前世では155センチとチビだった僕は弟によく身長の事で揶揄われていたので、その弟の身長を超してやると息巻いていただけだったりする。
天華達に宥められて落ち着いた僕はくすくす声など完全にスルーしていると、次第に笑い声は聞こえなくなり、いよいよ本当の集合時間が迫ってきて、誰もが“ゴブリンの巣、掃討作戦“の始まりをまった。
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<<<小説家になろうにて先行投稿しています>>>
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