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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編

47話 初めてのお泊まり冒険者活動15

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(おぉ、僕達がスタフお兄様に引き留められているうちにギルマスが解決していたみたいだな。しかし、ギルマスの即断即決かぁ見たかったなぁ~(*´Д`*)まぁ、ギルドの職員の中には王都育ちで魔物に会ったことも戦った事もない一般の女性もいるから、屈強でゴツい男性の冒険者達のテントに囲まれるのは流石に可哀想だもんね(*´ー`*))

 とか思っているうちにテントは次々たっていくのだった・・・・・

「あ、そうだ、他の人達はもう場所を決めてテントを立て始めているけけど、僕達の立てるテントは場所を指定されたりした?」

イネオス「いいえ、女性限定の場所以外は皆さん自由に場所を選んでらしたので、僕達も好きに立てて良いと思います。それに、冒険者側の敷地は人数が少ない事もあって、場所は結構余ってますよ」

 そう言って土の道を中心に左右を見比べていた。確かに軍側と冒険者側の仕切りがわりに使われている土の道だが、村から見て左側の軍用のテント群より、冒険者側のテント群の方が明らかに規模は小さく、狭く割り振られたスペースでもかなり余裕がある。
 よくよく周囲を見渡すと、北の街道沿いにある村の山とは反対にあるこの広めの草原地帯を、北と南にわけるように、魔法で固められた土の道が西側の村から、東にある中規模の森の15メートル程手前まで真っ直ぐ伸びていて、北7に対して南3の割合で分断していた。
 道の距離はかなり長く、目測で500メートルは有りそうで、ヘタをするともっと長いかもしれないその道の左側(北)に国軍、右側(南)は冒険者ギルドという感じで区分けされている。
 人数を考慮して区分けが作られているのは分かったのだが、どう見ても軍側のテントは一つ一つがゴツく大きいので、かなり幅をとっているのに対し、冒険者側のテントは持ち運びを意識したコンパクトで小ぶりなテントが多い、そんな違いも見ていて分かった。

「うーん、本当に冒険者側の区画は余裕があるね、でもやっぱり、皆んな村側に近いところから埋まっていってるから、森側がかなり空いてる・・・よし!ちょうど良いから森側の端の方に僕達のテントを立てようか♪」

 少し考えてからそう言うと、皆んなは快く賛成してくれたので、僕達は村とは反対側の森の方に進んで行った。

「うーん、ここら辺でどうかな?」

 と、指差した場所は土の道がちょうど終わって、あと10メートル程で森に入ると言った場所だ。そこは冒険者達のテント群からも程よく離れ、土の道を挟んだ向かい側にある軍側のテント群からも程よく離れている。

ソル「そうですね、ここなら他の方々を気にしなくてゆっくりできると思いますし、森が近いから動物達が集まって来やすいでしょう」

ベイサン「そうだね、あ、もうすでに動物達が集まってきてるよ」

 皆んなが良い場所だね、と言って話しているうちに、ベイサンが東の森の木々の間にある藪から、小動物や大人しそうな魔物達が顔を出し、こちらの様子を伺っているのを見つけた。

「あ、本当だ、遊んであげたいけど今は先にテントを立てなくちゃ、皆んなテントを出すから手伝ってくれる?」

「「「「はい!」」」」

 と、元気よく返事を返してくれた皆んなと一緒にテントを張る準備をし出した。

「あ、その前に地面を整地しなきゃ」

へティ「私がやりますわ」

 と言って直径10メートル強の範囲の地面を土魔法で水平に整えて固めた。その際に地面のそこかしこに落ちていた石と茂っていた草を、魔法で盛り上げた土で覆い被せて埋めて石も草もない水平の地面にしたのだった。

「ありがとう、へティ、次はテントを出すからソルやイネオス達も組み立ての手伝いお願い」

イネオス「はい、ではテントはどの向きで立てますか?」

「うーん、どうしようか?・・・」

 そこからは皆んなで相談しながらテントの向きや焚き火の位置などを決めてワイワイ楽しく野営の準備を進めた。

「よし、これで完成!」

皆んな「「「「完成♪」」」」

 パチンッ!

 そして、ようやく野営の準備が終わり皆んなでハイタッチして喜んでいると、気づいたら遠巻きにこちらの様子を興味津々でじっと見つめている人達がいた。

「・・・えっと、皆さんどうなさいましたか?」

 周囲の視線に気づいてはいたが、何が面白くてずっとコチラを見ていたのか分からなかったので、野営の準備も終わった所で素直に聞いてみた。

ヨンガン君「なぁ、アトリー、そのでっかいのはクッション?なのか?それにあっちの隅にある四角い箱?みたいな二つの囲いか?あれなんだ?」

 僕達に用があったのか、すぐ近くまで来ていたヨンガン君が他の人達の気持ちを代弁したようにそう聞いてきた。その証拠にヨンガン君の言葉に同意するように、ちょっと離れたところでコチラをみていた人達が大きく頷く。

「あ、あぁ、これはクッションで間違い無いけど、あっちの隅にあるのはお風呂とトイレだよ。横に長くて大きいのがお風呂で縦に長い方がトイレ」

「「「「「はぁぁ!?なんだそれ!!?」」」」」 

ヨンガン君「・・・はぁー、またかアトリー・・・・」

「風呂とトイレだって!?」 「野営地で風呂とか入った事ねぇよ、俺」 「私だって無いわよ!そもそも風呂なんて贅沢品、家にないわ!」 「そうよ、大衆浴場とかならまだしも、個人の家にある訳ないじゃない、さすが貴族・・・」 

「トイレもそこら辺の草の中か、それこそすぐそこの森の中ですりゃぁいいのに、わざわざトイレ持ってくるか?」 「そうね、私達、女でもそこら辺の草に隠れてするのにね」 「男でも無闇矢鱈と人の前で要は足さないのか、さすが貴族・・・」

「てかよ、持ち運び可能な風呂とトイレなんてどこにあんなの売ってるんだ?そもそもそれどうやって持って来たんだ?それにやたら大きいクッションも、あの子ら、手持ちんんてほとんど、いや、全然荷物持ってなかったよな?」 「そういや、昼休憩の時もあのテーブルどこから持って来てたんだ?」 「あ、それはあの子達、“収納スキル“持ちと“アイテムリング“を持ってる子がいるんだって言ってた」 「「はぁ!?マジかよ!羨ましい!」」 「さすが貴族、資金力がハンパないぜ・・・」

(どこかに“さすきぞ(さすが貴族)“してる奴らがいるな(・Д・)最後に同じこと言うとは、わざとだな?絶対同じパーティーのやつだろう( ゚д゚))

 どうやら周りに集まっていた人達は僕達が設置したお風呂とトイレに興味を持っていたようで、最初は得体の知れない四角い箱が置かれていたのが不思議だったようで、その正体を知るや否や皆んな声を揃えて驚いていた、そして、普通の冒険者が野営する時はお風呂はなしで通常生活でもお風呂に入るのは贅沢なのだとか、トイレは目隠し代わりに草むらで済ませるのが普通らしい。その流れで僕達の“収納スキル“や“アイテムリング“の話も出てきて、こちらを羨む人の視線も増えた。

(ついでに言うと、この簡易風呂とトイレなどがどこで売ってあるとか気になる人がいるようだが、これは僕が自作した一点物、売り物ではないので、どこのお店に行っても手には入らない・・・(*´ー`*))

「むぅ、流石にトイレとかお風呂は普通じゃ無いって分かってるよ?でも、僕達貴族は外でも身綺麗にしたいし、トイレも恥ずかしいから見られたく無いんだ、だからあれは必要なものなんだよ」

ヨンガン君「・・・確かにアトリー達はいつも綺麗で良い匂いするもんな、お手入れってやつか、貴族って大変だな・・・それは分かったけど、アトリー、あっち凄い事になってるぞ?良いのか?」

 僕も非常識なのは重々承知だが、それでも今まで生まれてこの方々お風呂に入らなかった日はほとんどなく、草むらで用を足したことはないので、流石に急にそれをやれと言われても無理だと思い、今回このような持ち運び可能なお風呂とトイレを急遽製作した次第であります。・・・はい・・・

 そんな話をしていると、ヨンガン君が僕の後ろの方を引き攣った顔で指差した。その指差す方向を僕達も見ると・・・

「あ・・・ごめんね、待たせちゃったかな?」

「こんっ!」 「ちちっ!」 「きゅゅ・・・」 「ぎゃぅぅ~」

(あらあら、拗ねてるの?可愛い♡( ´ ▽ ` ))

 先程まで森の木々の境目にあった藪に隠れるように様子を伺っていた小動物や魔物達が、今は僕達が立てたテントの真後ろまで迫っていていた。しかもさっきより確実に数が多くなって、馬や羊などの大きめの動物や魔物まで増えていた。そして僕が声をかけるとちょっと怒ったように元気に鳴く子や、寂しかったと言うような悲しげな鳴き声を出す子がいて、待たせ過ぎたかと、少し反省した。

「ふふっ、もう準備は終わったから一緒に遊ぼう♪」

「「「「「はぁ!?」」」」」

「こーんっ♪」 「ちちちっ♪」 「きゅぅ♪」 「ぎゃぅ♪」 タタターーーッ

 ペコリッ

 遊ぼうと言って手招きすると嬉しそうな鳴き声をあげ、一斉に僕の方に走り寄ってきた。そして、いつも通り僕の一歩手前で全員止まって可愛くお辞儀をしてくれた。

(いつ見ても、丁寧なお辞儀!ちょう可愛いいぃぃ~~~(о´∀`о))

「ふふっ、可愛い、初めまして、皆んなご挨拶してくれてありがとう、僕はアメトリンだよ。今日からここに友達達と2泊3日でお泊まりするから、それまでの間、仲良くしてね?」

「くぅ!」 「ちゅん!」 「きゅ!」 「ぎゅぅ!」

(元気いっぱいの可愛い返事ありがとうございます!!(・Д・))

 自己紹介してここに泊まることも伝えると動物達は“いいよ!“と言った感じで可愛く返事を返してくれた。その後、僕は近寄って来てくれた動物達を順にニコニコ笑顔で撫で初め、脳内ではっちゃけ気味の僕はもうその時は周囲の人達の事など忘れ去って、ひたすら目の前の可愛い動物達にメロメロだった。
 今この場には森に生息するあらゆる種族の動物や魔物達が混在して集まっており、その中には人間達が近寄ると警戒心を露わにして襲ってくるような魔物達もいた。そんな中、僕だけに全ての動物や魔物達が近寄り、自ら擦り寄って僕におとなしく撫でられているのだ。多分この光景を見ている人達は、信じられない物を見る目で僕を見ているだろうけど、僕はそんな人間達の反応なんて気にする事なんてできなかった。

「ふふっ、じゃあ何して遊ぼうか?あ、そうだ♪僕の友達達も一緒に遊びたいって言ってるから、先の友達を紹介するね♬・・・ヨンガン君も一緒に遊ぶ?」

ヨンガン君「・・・・は、はぁ?俺も?」

「うん♫それに僕に用があってここに来たんでしょう?ちょうど良いし、それに夕ご飯も一緒に食べよう!たくさん作って貰ってるから遠慮しないで!・・・あ、でも、臨時でパーティー組んでる人達と食べる約束してるならしょうがないけど・・・だめ?」コテンッ?

 モフモフフィーバーで少々トリップしていたが、近くにヨンガン君がいる事を思い出して、動物達の輪から抜け出て近寄り、少し背が高いヨンガン君を見上げるように首を傾げそう言うと・・・

ヨンガン君「い、いや、用があったのは本当だし、別に約束もしてない。向こうはパーティーメンバーの好き嫌いが激しいから、飯は個人個人で用意してる。だから別に許可なんていらないから、アトリーがいいって言うなら食べてく・・・」プイッ (くそっ、たまにこうやって可愛く甘えてくるのはわざとなのか!?)

 顔を真っ赤にしてちょいツンデレ気味に返事が返ってきた。

(顔真っ赤~WW可愛いぃ~~~(*^o^*))

天華『また、わざとあんな事して・・・』

「わぁーい、じゃあ一緒に遊んだら、ご飯も食べよう!決まりね!ソル達もいいでしょう?」

ソル「えぇ、僕は構いませんよ。食器や椅子も予備が十分ありますから」

イネオス「僕達も構いません、むしろ歓迎しますよヨンガン君」

ベイサン「そうだな、たまには一緒に食事もしようヨンガン」

へティ「ふふっ、人が多くなると遊びの幅も増えますから私も歓迎しますわ」

 天華の呆れたような声など気にせず、ヨンガン君も巻き込んで動物達との交流することになった。僕がテンションアゲアゲで揶揄いながらヨンガン君を誘ったのを、ソルやイネオス達も快く承諾してくれて、(ソルが呆れたような目で僕を見ていたが気にしない)その後はもうひたすら皆んなで動物達と戯れ、陽が少し傾き薄く夕暮れが訪れ出した頃から皆んなで焚き火用の薪拾いを始めて、ある程度集まったら夕食の準備を始めた。

「よし、もう暗くなって来たから、焚き火を焚こう、それと同時に夕食の用意だね。夕食の準備は・・・」

ソル「僕達が致しますのでアトリー様はヨンガン君と薪に火をつけていてください」

「・・・はい・・・」

 と、ソルにそう言われて、トボトボと焚き火用に準備していた場所に行って、その周りにセッティングしている人をダメにするクッションをもう一個無限収納から引っ張り出し、僕の後ろを着いて来ていたヨンガン君のためのスペースを開けてセッティングし直すと、自分専用のクッションに無言で腰を下ろし、ヨンガン君も好きなところに座るように手振りですすめた。そして僕がソルからすげなく断られてしょんぼりしている姿を見たヨンガン君が・・・

ヨンガン君「アトリー、お前なんかいつも手伝いさせてもらえてないな・・・お!座り心地いいな」

 と、新しく置いたクッションに腰を下ろしながら、そう言ってきた。

「うん、僕が手を出しちゃうとソルが自分の仕事を取らないでくださいって言って怒られるんだ・・・」

ヨンガン君「そうか・・・ん?もしかして、アトリー、不器用なのか?」

「うん?そんな事ないよ?なんで急にそんなこと聞くの?」

 僕が焚き火のために拾ってきた薪を、今日の焚き火用の作っていた金属製の焚き火台に、いい感じに組み上げていると、さっきまでクッションの座り心地に驚いていたヨンガン君がふとそんな事を聞いてきた。僕はその質問の意味がわからず、理由を聞き返したのだが・・・

ヨンガン君「・・・あ、いやな、言い方は悪いかもしれないけどな、アトリーが不器用で食事の用意の無自覚に邪魔してるんじゃないかって思ってな、ほら、お前ってかなり位が高い貴族の息子じゃん?食事の用意とかした事なさそうだしよ・・・」

「あー、確かに僕は高位貴族の子供だから屋敷では自分で食事の用意とかしたことはないけど、料理は調理から盛り付け、テーブルのセッティング、配膳、取り分け、片付けと掃除まで全部しようと思えばできる、と言うか冒険者活動してる最初の時はしてた。「じゃあ・・」そしたら、イネオス達が僕に全部させてるのは申し訳なさすぎて困るって言って、自分達にもやり方を教えて欲しいって言うから、ソルと教えることにしたんだ。ソルは元々うちで執事兼従者として色々習ってたから僕と一緒に食事の用意をしてたんだけど、イネオス達は一回も自分でしたことなかったから、僕とソルが1から教えてたら何故かいつの間にか僕はすること無くなって・・・」

ヨンガン君「そうかぁ・・・それはしょうがないな、俺でもアトリーにそんなことさせてるって思うとちょっと落ちつかねぇもん」(それに、イネオス達はアトリーの完璧さに対抗心燃やしたんじゃねぇかな・・・)

「そう言うもの?僕は気にしてないんだけどなぁ・・・」ボッ!

 と、独りごちながら、魔法で組み上げた薪に火をつけ、その後は太陽がゆっくり沈んでいくのをぼーっと見ながら、夕食の準備が終わるのをヨンガン君とたわいの無い話をして待つのだった・・・・・















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