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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編
41話 初めてのお泊まり冒険者活動9
しおりを挟むどうも!僕です!今、ちょっ~と困ってます・・・・
「あ、あのね、僕はもうそろそろ、行かなきゃいけないんだ、だからね、離れてくれると嬉しいなぁって・・・」
「「「「「きゅっ?」」」」」 「「「「「きっきっ?」」」」」 「「「「「みゅ?」」」」」
可愛い鳴き声と共に可愛く首を傾げて見上げてくるのは手のひらサイズの小さな動物達、“もう行っちゃうの?“と言ってるようなその仕草に・・・
(ぐっふっ!!か、可愛すぎかっ!!( ゚д゚))
何故こんな事になったかと言うと、北の街道を順調に進み、そろそろお昼になろうとした頃、村までの街道の途中にある休憩用の広場に到着した時のことだった・・・・
「うーんっ!やっと休憩かぁ~、結構長かったー」
タミラさん「そうねぇ、でも今日はコレでも早く着いた方じゃなかしら?」
イデリーさん「そうだね、いつもだったら小型の魔物と1回か2回は遭遇するんだけど、今回はそれが全くなかったら随分早く着いたと思うよ。それに、今日はお尻が痛くならなかったから、なおさら快適だったし」
と、イデリーさんが自分のお尻を撫でて笑っていた。それもその筈、僕は普通の馬車に乗るにあたり、馬車の揺れでお尻が痛くなると予想していたので、事前に対策を立てていた。その対策とは、横長の分厚いクッションと馬車の揺れを軽減する魔道具を持参していて、北の大門をでてすぐにそれらを設置して良いかと“蒼炎”のメンバーに聞き、了解を得られたので素早く設置して、馬車に乗り込んだのだった。
(いやー、ギルドから大門までの間ですら少しお尻が痛くなってたから、街道の状態を見てすぐに対応策の提案をして良かった。ここに来る間で何回か石を踏んだのか大きく体が跳ねた時もあったからね、あの魔道具とクッションが無かったら今頃馬車の中で全員グロッキーになってたはずだよ( ;´Д`)・・・それにしても・・・)
「そうなんですか?確かに魔物には出合いませんでしたけど、北の街道は結構そう言うことが頻発するんですね?今まで南の街道では魔物に襲撃される事はなかったんで知りませんでした」
(北の街道の魔物は気性が荒いんだろうか?( ̄▽ ̄))
イデリーさん達の話の内容に違和感を感じたので頭を捻りながらそう言うと。
ガイアスさん「ん?普通、何処の街道を通ってても魔物に遭遇する事はあるだろう?少なくとも1回は小型の魔物に会うんだがなぁ~、今まで一度もなってのはかなり運がいいんじゃなか?」
「あ、あのですね、小型の魔物に会う事はあるんですけど、襲われた事がないって事ですよ?ガイアスさん達が言ってたのは街道を通ってて、何もしてないのに魔物の襲撃に遭ったって事ですよね?」
「「「「「ん???」」」」」
ここまで来る間、馬車の中で会話していてだいぶ打ち解けてきていて、口調も気軽な感じになった“蒼炎“のメンバー全員が僕の話を聞いて、“意味がわからない“と、頭にはてなマークを量産した。実際の話、僕がデューキス家の領地から王都までの道で、魔物に出会う事はあっても、襲われた事は一度もないのだ。冒険者として街道を通る時に、“魔物と出会えば即戦闘“、と言った感じで相対するのが普通なのだろうが、僕の場合は、“魔物と出会えばモフモフチャンス到来!“、と言う感じになるので、僕はこの時“蒼炎“のメンバーが言うような展開は稀だと思っていた、すると・・・
(ん?普通の魔物ってそう簡単に人を襲ったりしないよね?“こちらが先に手を出した“とか理由があれば別だけど・・・それこそ、ゴブリンやオークみたいに人を襲うのが基礎本能みたいな魔物以外は、比較的おとなしいはずだし・・・『『『『『・・・はぁ・・・』』』』』・・・あれ?違った?(・・?))
天華『あのですね、アトリー、まず、普通の魔物は縄張り意識が強い生き物なんですよ。なので、自分の縄張りに近づいてくる人間がいると、縄張りを守ろうとするのは普通のことです』
(う、うん、それは知ってるよ?そう言う縄張り意識は普通の動物にだってあるんだから・・・(*´Д`*)?)
天華の説明は向こうの世界でもごく一般的な動物の習性だった、それをわざわざ、言って来る事に疑問を持っていると・・・
天華『そうですね、でも魔物の場合は縄張りに近づいて来る人間や、他の魔物、動物は基本的に全て敵という認識なんですよ。だから、こちらはそんなつもりはなくても相手にいてみれば一大事ですからね?あ、もちろん使役されている魔物や動物は例外ですよ?』
(・・・へっ?ん?・・え、で、でも、僕達がよく行く、南の泉の魔物や動物達は全然喧嘩してないじゃん?僕が行くとよく皆んな一緒に出迎えてくれるし(*´Д`*))
何なら、他の所で会う魔物や動物達もそうだし・・・と、自分が知っている魔物の習性とは違った説明にさらに疑問を持った。
夜月『それは、動物達が最初にアトリーと一緒に泉に来たことで、泉の主であった魔物が気を使って、動物達と争わないと決めたから、今でも仲良く暮らしているだけだ』
(ん??僕と来たからって・・・・も、もしかして、僕がいる間は喧嘩禁止?みたいなルールでもあったの??(・Д・))
僕のいる時はそんな不文律があったのか?と思っていると。
ジュール『うーん、ちょっと違うかな?アトリーがいる場所は居心地がいいから、皆んな警戒心が薄くなるんだよ。なんて言うかな、アトリーがいるとリラックスできる空間?見たいなのができるから、皆んなアトリーの側にずっといたくて、互いに喧嘩せずに譲り合った結果、皆んな仲良くなったって感じかな?』
(・・・・へ、へぇ、コレって僕の体質?が原因って事?・・・)
どうやら、ジュールの説明を聞く限り、誰かから強制された決め事とかではなく、僕の体質が功を奏した結果だったようだ。
天華『概ねそんな感じですね。補足するなら、全ての地域で、野生の魔物どうしが仲が悪いわけではなく、街道沿いや村の近くなど、人間がよく入ってくるような場所では、警戒心が高くなりがちなので、魔物どうしでも争いが絶えませんが、逆に、それこそ山奥などの人が踏み入れないような未開の地のような場所の魔物や動物達は、互いの決まった縄張りをむやみに荒らさないので争う事は少ないです。あと、街道沿いでも仲がいい魔物どうしが共生関係を築き暮らしているパターンもありますね』
(ほぉ?・・・)
夜月『それと、よく街道沿いでアトリーに挨拶しにくる魔物や動物達だが、あれはそのままの意味で、アトリーや私達に挨拶する事が目的で出てきていたらしいが、その挨拶の際に一緒に来ている魔物や動物達は、最初の頃から仲が良かったわけではなく、毎回アトリーの挨拶をしに来ているうちに次第に仲良くなったと、最近言っていたぞ』
(おぉ!それは良かった♪( ^∀^)・・・と言う事は?僕と関わりが深い南の街道沿いの魔物や動物達は、僕がそこを通るまではガイアスさんが言ったような、この北の街道のような殺伐とした状況だったのが、僕と関わって行くうちに関係がいい方向に進んだ結果、南の街道の治安が良くなった?と?(・・?))
と、コレまでの話の内容をまとめて見ると、天華達は深く頷いて肯定した。
夜月(まぁ、アトリー以外の人間は、魔物や動物たちそのものを目的として狩りに来たりするから、そんな奴には容赦なく反撃はしていると思うがな・・・)
(はぁ、じゃあ、今回、この北の街道で魔物に遭遇しなかったのは本当に運が良かった可能性が高いわけか?(*´Д`*)それか、コレだけの馬車の列におそれをなして近寄って来なかっただけか?・・・まぁ、何にしても、今僕が馬車から降りても、いつものように魔物や動物達が出てきて挨拶に来ない理由は、人が多過ぎて出て来れないっていうのが正解か?(*´ー`*))
そう、今日は珍しく、自分が馬車から降りても、いまだに魔物や動物達が出てきていないので、その辺りが理由だろうと推察していると・・・
「きゅきゅっ!」ガサガサッ!
?「あっ!待てっ!」
「ん?」
タタタタタタタタッ!
冒険者達が思い思いに休息をとっている休憩用の広場の端の方から、可愛い鳴き声と共に焦った人の声が聞こえてきた。その方向に皆んなが視線をやると、少し長めの草が生えた地面を、小さなリスのような動物が一生懸命草をかき分けながらこちらに来ているのを見つけた、また、そのすぐ後ろを細身だけど、しっかりした筋肉がついている男性の冒険者がリスのような動物を追いかけて来ているのも見えた。
「うーん?リス?こっちに来てる?」
ソル「来てますね、こっちに・・・」
イネオス「彼の従魔でしょうかね?」
ベイサン「そうみたいだ、名前呼んでるし・・・」
へティ「可愛いですね♪しかし、どう見てもアトリー様目掛けて来てますから、またいつものでしょうか?」
「多分・・・」
状況から察するにこちらに向かって来ているリス?は、追いかけて来ている男性の従魔で、男性は逃げ出した自分の従魔を必死に追いかけている最中なのだろう、その逃げ出したリス?はどう見ても僕目掛けて来ている、それも捕まえようと手を伸ばしてくる主人であるはずの男性の手を避け、ちょろちょろと蛇行しながら、それでも一生懸命に僕を目掛けて走って来ている。このままなら近いうちにリス?と僕が衝突する事間違いなしなのだが、僕達は慌てるどころか、そのリス?の逃亡劇を観戦している余裕さえある。何故なら、このような事が度々あったから・・・
「今回はリス?かぁ、コレで何回目かな?よその人の従魔が僕に突進来てくるの・・・」
ソル「前回は大型の鳥科の従魔で、確か12回目だったかと・・・」
「あー、あの時の“アサシンオウル“ね、凄い大きさだったけど、ご主人様にもよく懐いてた賢くて可愛いフクロウさんだったよね。まぁ、ただその時にご主人様を僕に紹介したくて掴んでこっちに飛んで来るとは思わなかってけどさ・・・そうか、コレで、13回目かぁ・・・」
似た様なエピソードの回数を聞き、前回あった事を思い出して、つい空に視線を投げて現実逃避したくなった僕。
キキーッ!!
そんな現実逃避も意味はなく、リス?は僕の1メートルほど前まで来ると急ブレーキをかけて止まった。
?「うわっ!ちょっ!?」コケッ!ズザーーッ!ゴンッ!!
リス?の後ろを追って来ていた男性は、急に止まったリス?ちゃんの行動に驚き、同じように止まろうとして失敗、その時近くにあった小石につまずき、あえなく転倒、走っている時の勢いを残したまま草の上を滑って、ソルが事前に準備して結界魔道具で張っていた結界に頭を軽くぶつけていた。
(大丈夫かなこの人、顔から盛大に転けて滑って来たけど・・・(*´-`)えっ!ギルマスどうしたその顔色!?)
転けて頭を打った男性は動かない、その男性を周囲でこの騒動を見ていた人が、“大丈夫か?““生きてるか?あれ・・・“とか、心配している。でも、そんなことより、今1番気になるのは、ギルマスが物凄い驚きの表情でこけた男性と、僕の目の前にいるリス?を交互に見ていた後、表情をこわばらせ、顔色が青くなっていったのが気になって仕方がない。
(・・・もしかして、僕が気分を害したとか思ってる?( ̄▽ ̄))
甚だ心外である。
そんな事を思っている間に、リス?が僕の足元まで静かに近寄ってきて。小さな体で可愛くお辞儀をしてきた。
「きゅっ♪」ぺこりっ
「わぁ、可愛い♬こんにちはリス?さん、ご挨拶ありがとう♫あれ?君、リスかと思ってたけど、よく見たら、モモンガさんだね?」
「きゅきゅっ!」
(ぐっほぁ!!か、かわゆす、・・・_:(´ཀ`」 ∠):)
僕の言葉に応えるように腕を広げて、皮膜を見せてくれる小さなモモンガに心を鷲掴みにされて、メロメロの僕。
「か、可愛い!僕に見せてくれたの?君、いい子だね、抱っこしていいかな?」
「きゅっ♫」
抱き上げていいかと聞くと、また可愛く腕を広げて“どうぞ!“と言っているようだった。
「くっ!か、可愛い・・・ありがとう、持ち上げるよ」
へティ「っ、可愛いですね。それに凄く大人しい、私も少し触っていいですか?」
と、後ろで同じように萌ていたへティも、小さなモモンガにそう話しかけて許可をもらって、2人でキャッキャと小さなモモンガを堪能していた。すると・・・
ソル「アトリー様、へティ、そろそろ、その従魔を主人の元に戻してはいかがですか?周りの方々も気にかけておられる様ですよ」
「あ、そうだね、ごめん、君のご主人様が心配してるみたいだから、名残惜しいけどご主人様の元におかえり」
そう言ってそっと地面に置くと、モモンガは少し僕の様子を伺った後、結界の外でソワソワと見守っていた自分の主人の元に戻っていった。
「すみません。貴方の従魔を断りもなく愛でてしまって」(モモンガちゃんのあまりの可愛さに先に許可取るの忘れてた(*´-`)マジ反省・・・)
従魔の主人「い、いえ!こ、こちらこそ、自分の従魔が、お邪魔してしまいまして!も、申し訳ありません!」
転んで滑った時の怪我は大した事は無かったのか、少し洋服が乱れただけだったモモンガのご主人の男性、可哀想なほど緊張した様子で謝ってくる彼に、僕はちゃんと謝ったのだが、向こうが恐縮しっぱなしで挨拶すらもできず申し訳なさすぎて、苦笑い気味になった。
「いえいえ、よく起こる事なので慣れてます。だから気にしないでください。それに僕は可愛らしい従魔さんに会えてとても良かったです。ありがとうございました」
と、返すと“ん?“とはてなマークを浮かべつつも恐縮しながら、そのモモンガと主人は自分達の仲間のいる場所に戻っていった。
ギルマス「デューキス様、宜しかったのですか?あのままで・・・」
(多分、ギルマスはあの男性がわざとじゃないにしても、僕にモモンガをけしかけたって思われて、罰せられたらどうしようと思って焦ったんだろうな・・・まぁ、貴族の中では動物が嫌いな人もいるし、そうでなくとも貴族に断りも無しに従魔を近づけるのは、武器を向けた事と変わらないから、何も害されてなくても従魔の主人は罰せられて、状況によっては従魔は殺処分になるもんなぁ(*´Д`*))
貴族社会のこう言う所は嫌な部分だなぁ、と思ってしまう僕だった。
「ギルマス、えぇ、構いません、本当によく起こる事なので気にしてないですよ」
遠慮がちに声をかけて来たギルマスは、どうやらさっきの男性を処罰しなくて良いのかと言いたげだったので、僕は本当に気にしてないので罰を与える気は無いとちゃんと顔を見ていったすると、ギルマスはほっとした様な表情をしてから別の話題を振ってきた。
ギルマス「そうですか・・・、そう言えばデューキス様、先程も仰っていましたが、このような事が頻繁に起こると言うのはど言う事なのですか?」
と、訝しげに聞いてきた。
「あぁ、それは、!?・・・何だ?」
聞かれたことに答えようとした時、休憩用の広場のすぐ近くにある小さな森から微かな気配が複数近づいて来ているのを感知した・・・・
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