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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編
32話 帝国貴族の思惑
しおりを挟む天華『うーん、どうなんですかね?なにぶん私達も初めての事になるので、説明に困りますね・・・』
と、困った様子で言うのだった・・・・
(そうかぁ、そうだよね・・・うーん、まぁ、ティーナちゃん達からの詳しい説明がないのは、それが神々の間での決まり事だから、口出しできない感じなのかな?(*´ー`*))
ジュール『うん、そう言う感じらしいよ、神様達の間での“お約束“?的な感じらしい・・・あ、でも、その神様がね伝言がちゃんと届いてないのに気づいたからって、再度、伝言を送ってきてくれて、途切れ途切れで聞こえなかった要件がちゃんと分かって、その神様がいつ来るって教えてくれったよ!』
何やら伝言の配達ミスに気づいた先方が再度ちゃんとした伝言を送り返してくれたようだ。
(お、それはありがたいね!( ^∀^)それで?いつ頃来られる予定なのかな?)
ジュール『えーっとね、今から約3年後?ぐらいだって!』
「・・・へっ!?3年後!?来るの遅っ!逆に僕の顔を見にくるだけなのに時間かけ過ぎなんじゃない!?」
伝言の送り主の神の来訪日時が判明したのはいいが、自分が思っていたより先の話であった事に凄く驚いた。
天華:『まぁ、神々の概念からすれば早い方ではないですか?相手方の神のように神格が高い神だった場合、総じて長く生きていらっしゃるので、時間の感覚がズレていらっしゃるかもしれません、そう考えると多分、3年後は早い方だと思われます。それか現在いる次元の世界とこちらの世界とで時間の流れが違っているとか、今、手が離せないお仕事をなさっているとかかもしれませんから・・・』
「えぇ~・・・、話が規格が違いすぎて困るんだけど・・・約3年後か・・・こちらとしては長い猶予だなぁ・・・」
神と人との感覚のずれはどう考えても理解はできないので、深く考えることはしない様にした。
夜月:『まぁ、そう言う事だから、今焦っても意味はないな・・・それに、相手は神だ、いくら人間がどう騒いでも、向こうが何かする事に対策など無意味だからな・・・』
「そうだね・・・確かに、意味はないか・・・それに、こちらに来られる理由が僕だけのようだから、他の人は関係ない見たいだし・・・」
父様「アトリー、ちょっと良いかな?」
夜月達と話していると、今まで会話に入ってこなかった父様が声をかけてきた。
「はい、・・・あっ、すみません、僕達だけでやり取りをして・・・」
父様「いや、途中から口に出てたから、何となく話は解ったんだけど、今ちゃんと確認させてもらって良いかな?」
「え、あ、口に出てましたか?・・・あの、確認は大丈夫なのですが、どこら辺からお聞きになってましたか?」
いつの間にか口頭での会話になっていた事に気づかずにいた僕は少し恥ずかしかったが、自分たちの会話をどこから聞いていたのか確認してみると、どうやら神様の来訪の年数に驚いたところだったらしいので、そのまま天華達から聞いた神様の正体の不明さについてもついでに話しておいた。
父様「そうか・・・その顔合わせは今から約3年後のにあるが、こちらに来られる神はどう言ったお方なのか、詳細はお会いできるまで不明といことか・・・」
「そう言うことの様です」
(こうして言葉にしてみると、結局重要な所は何も分かってないな・・・)
ひとまず話を纏めて言葉にしてみると、殆ど詳細は分からないまま、情報不足が否めない結論となった。その事で申し訳なく思って俯いていると・・・
サフィアスおじ様「高位の神がお越しになる時期が絞れただけでも幸いか・・・」
ジルおじ様「それに、アトリーだけに用があると分かって、国が何かしなければならない事はないとも分かったし、それだけでも心の持ちようも変わる」
シベラスおじ様「まぁ、私達ができることはありますよ。その神がお越しになられた時に、ゆっくり滞在できる場所をご用意することぐらいはできるはずです」
と、おじ様達が前向きなことを言ってくれて、母様達も当家でできる最大のおもてなしをいつでもできるようにしないとねっと、言って場を和ませてくれる。
「ふふっ、少しその神様が来るのが楽しみになってきました。ふふっ、あ、でも、神様が伝言の途中で“絶対に、“って言ってましたけど、何が“絶対“何でしょうね?」
母様「確かに、何かを“絶対“しなければならないのか、してはいけないのか、あの途切れ途切れの言葉だけでは分からなかったものね・・・」
和んだ空気の中でふと、思い出したのは、伝言の最後あたりででた“絶対に、“と言う言葉、何が“絶対“なのかと、前後の言葉から考えても意味がわからない“絶対“と言う単語、伝言を聞いていた人達も“確かに、“と、同じように考え始めた、そんな時・・・
ジュール:『あ、それはね、アトリーを“絶対“に守る様にって言われたんだって♪』
「「「「「ん?」」」」」
「僕を?守る様にって?“絶対“に?・・・なんで???」
ジュール:『さぁ?それは分からない、主神様も分からないって』
ジュールの言葉に、この場にいた全員が不思議そうに首を傾げ、疑問に思った。なぜ、会ったこともない神が僕を守るように言ったのか、それは誰もが疑問に思った事、この世界の神であるティーナちゃんでさえ理由は分からないと言われたら、誰にも理由は分からない、また一つ疑問を増やした今回の“神からの伝言騒動“その全ての理由が分かるのは3年後となった・・・・
「・・・・・うーん、主神様まで分からないんじゃ、僕達が今考えても分からないから、考えるのはやめよう」
夜月:『まぁ、それが賢明な判断だな』
天華:『上位神様が来られた時にお聞きすれば良い事ですしね・・・』
「そうだよね。それより、もう一つの話を聞かせてほしいな、ジルおじ様」
疑問の解決は先延ばしにして、今回ここに来た目的の一つである“例の酒乱令嬢“の話に話題を変えた。
ジルおじ様「ん?…あぁ、あのご令嬢の話か、うーん、ここで話してもいいか?兄上?」
サフィアスおじ様「ああ、構わない、もうすでに相手方には知らせも送った、ここにいる者達だけでも情報は共有しておいた方が良いだろうからな」
ジルおじ様「分かった、ではまず、今回の結婚披露宴で騒動を起こした“例のご令嬢“の事を知らない者の為に、簡潔に今まで何があったか説明しよう」
ジルおじ様がサフィアスおじ様に“例のご令嬢“について話をして良いかと確認をとった後、サフィアスおじ様は情報の共有に為に許可を出した。それから直ぐにジルおじ様は僕に話してくれた内容を簡単に説明した。元々ご令嬢の素行が悪かった事は僕以外の人達には周知の事実だったようで、その説明の最中に、こんな騒動になる前にどうして事前に防がなかったかと言う、意見が当然なされた。
ジルおじ様「皆がそう思うのは当たり前だ、理解できるし、事前に防ぐこともできた。だが、今回、この結婚式にかの令嬢を招待する事にしたのは、今後の被害を防ぐためにデューキス家、コミス家の両家の承諾を得て仕掛けた罠だったのだ。かの令嬢はデューキス家のカイヤトに異様な執着を持っていたが、それ以上にこの我が国の王家の血筋へ嫁ぐと言った脅迫概念のような執念を燃やしていた。今回結婚したカイヤトだけでは飽き足らず、現公爵である私や、のちに公爵位を賜るであろう現在の第二王子や第三王子までも標的にしていた」
「「「「「!?」」」」」 「「「「「何と!」」」」」
(あー、結婚式前に王子2人と披露宴での話になった時、披露宴に参加するのを嫌がっていたのは、もしかしてあのご令嬢と関わるのが嫌だったからか?(*´Д`*)それならあの反応も納得、てか、あのご令嬢、カイ兄様やジルおじ様達だけじゃなくて王子2人にも目をつけてたんか・・・( ̄▽ ̄))
と、結婚式前のやり取りを思い出して。すごく納得していると・・・
モンドお祖父様「・・・・我が国の王族の血を求めていたのですか?それもなるべく本流に近い血を・・・」
「「「「「!!」」」」」
(・・・それは・・・この国の王家の特性狙いか?)
モンドお祖父様の予想に誰もが驚き眉を顰めた、確かにこの国の王族には特殊な能力が付随されているが、それはこの世界のどこの国の王族でも似たような特性を持っているものだ、我が国だけとは限らないし、血縁関係を持って子供ができたとしても、その子供が特性をちゃんと引き継ぐかは、完全に運次第、全く受け継がないかもしれないし、受け継いだとしてもそれが望んでいる効力を発揮するかはその子供の資質による。そんな賭けのような婚姻目当てであのご令嬢はあれだけの執着を見せたのか?と、考えていると、ジルおじ様が新たな情報をぶっ込んできた。
ジルおじ様「そう、帝国は我が王家の特殊な血を自国に引き入れようとしていたようだ。ここ最近、特に帝国から王子達に大量の釣り書が送られてきている。それを主導しているのがかの令嬢の父親である“ダンシャンスー公爵“だ、・・・彼は何を思ったか、我が王家の血に神々からの寵愛を受ける子供が生まれやすいと思っているらしい・・・」
「「「「「は??」」」」」
ジルおじ様が後半、かなり呆れた様子で告げた言葉に、室内の半数の人達が頭にはてなマークを浮かべていた。その中に僕も入っていたがこれはこの話を知らなかった人達の反応で、王族の全員とコミス家全員、そしてうちの家族の半分はこの話を知っていたのか、表情がすんっとしてたり、呆れ天井を見てため息を吐いてたり、深いため息を吐きながら頭を振ってたりと、様々な反応を見せていたが、そんな話を知っていた人も、初めて聞いた人達も、全員が共通しているのは何度考えても呆れてものが言えないと言った事だろうか。
(はぁ?神の加護は血筋で貰うもんじゃなくて、その人の資質によるものでしょ?それに僕みたいに生まれ持っていることなんて殆ど無いはずだ、完全なランダム、と言うか、神々の目に留まるほどの何かがないと加護はそうそう付くもんじゃ無い、それを僕がこの国の王家の血筋を引いてるからって言う理由だけで、カイ兄様達に近づこうとしてるってのはどう考えてもおかしいだろう!?( ゚д゚))
「・・・えっと、なんか、ごめんなさい・・・」
帝国の公爵が何を考えてそんな行動に出たかは全くもって理解はしたくなかったが、完全に自分がキッカケだと言うことだけは分かったので、何となく申し訳なくなって謝った。
ジルおじ様「いやいや、アトリーは悪くない、完全に確証もない予測を信じている向こうが悪い、むしろアトリーには今回凄く助けられたよ。ありがとう」
「助けた?」
(あー、あの時の神罰の事かな?(*´ー`*))
ジルおじ様「本当なら、あのご令嬢が結婚披露宴と言う公の場で暴れさせて、自滅したのを口実に帝国からの釣り書を全て断ろうと言う計画だったんだ。計画通り公の場で暴れしてくれたのは良いが、予想以上の暴れっぷりでね、少し困っていたんだよ。ご令嬢はあの時、完全に酔ってて話も通じない状態だったし、あそこでアトリーが介入しなかったら、被害が増えていた可能性があったからね、それに、神罰でデューキス家に関わりのある人物には近づけないようにしてもらえただろう?だからご令嬢が逆恨みして何か起こそうとしても、もう、自ら悪さも起こせない、あとは帰国までの間、こちらで監視をつけて帝国にお帰り頂いたら、もう2度と我が国に入れないように措置が取れるよ。アトリーのおかげで予定以上の結果になって本当に助かった」
と、凄く機嫌が良さそうに笑顔で感謝してくるジルおじ様。
(わぁ~~計画が腹黒ーい(*´Д`*)、わざと結婚式の呼んでご令嬢の嫉妬心を煽った上で相手を自滅に追い込んで、騒動を起こさせてから国際問題にして、こちらに有意な交渉しようとするとか、まじ腹黒!しかもその計画をうちの家もコミス家も了承したとか。国際的な圧力とかもあったんだろうけど、この国の王族の結婚は本人の意思次第、恋愛結婚推奨だもんな、そう思うと、どんだけ周囲にうざがられてたんだ?あのご令嬢・・・
まぁ、無視をしててもいつかどこかでやらかすってぐらいに地雷なご令嬢だったら、こっちからやらかしの場を設けてやって、こちらに有利な状態で利用した方が良いって判断だったんだろうけど、うちの国も大概思い切ったことやるよね・・・(*´ー`*)
てか、こんな作戦実行中だったのに、神様からの伝言の件で作戦がポシャるところだったんだな、でもそれを夜月が止めた事と、僕が介入したことで、より良い結果になりそうだと・・・)
「まぁ、お役に?立てたのなら良かったです・・・」
ジルおじ様のご機嫌の理由が分かって僕は役に立てたようで何よりと思いながらも、ご令嬢を陥れる為に取った手段がえげつないとも思った。そして、それ以上に自分の存在が周囲の国々にとってかなりの影響を及ぼしていることを再認識したのだった・・・
こうして、ご令嬢の件の話は終わり、あとは大人達だけで話し合いが行われる事になったので、僕達は早々に会議室を後にした。
「はぁ、今日は結婚式だけじゃなくて、もう、後数ヶ月は何事も起こらなくて良いってぐらいに色々と事が起こった日だったなぁ~、でも明日はマディラとお出かけの約束したからそれは楽しみだけど・・・・」
その後は夕食の時間になるまで自室で今日起こった事を振り返るのだった・・・・・・・・
・・・数日後、“例のご令嬢“に関して驚きの一報が入る、“ダンシャンスー公爵令嬢が帝国に帰還せず、行方不明“と・・・・
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