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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編

27話 人を見極める目は大事

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シベラスおじ様「はぁ、気づくのが遅すぎましたね。ですがご自身のなさった事の重大性はもうお分かりになりましたね?では、後はこれからご自身に降りかかる“神罰“をただ粛々と受け止めて反省なさってください。それが今、貴女にできる最後の選択肢です」

 そう突き放すように言ったシベラスおじ様は、ご令嬢を哀れんだ目で冷たく見つめたのだった・・・・

(シベラスおじ様マジ容赦ないな・・・ご令嬢魂抜けとるんじゃないか?(*´Д`*))

 僕はこの時ちょっぴりご令嬢に同情してしまった。


 はい、どうも!僕です!この場の空気が凄く冷え切ってます!

(もうさ、シベラスおじ様は完全に酔いが覚めきっているご令嬢に容赦なくザクザクっと、自分の犯した醜態を突き刺していくよね、場の空気ってものが冷え切ってここら辺だけやけに静かになって、物理的にもなんか寒くなった気がするんだもん・・・(*´-`)マジ怖っ)

 とか、考える前に僕は天華達から自身の“神罰“に関してのレクチャーをしっかりして貰っていた。

 説明の大半が加護を与える要領でできると言う事は理解できたが、自分の“神力“の素である自然エネルギーと、自分の種族である“現人神“という立場で微妙に下すことができる“神罰“の効果の範囲が変わっているのが少し面倒くさいなと思ってしまったのだ。

 ・・・一通り説明を聞いた後の確認をしている時・・・・

(まぁ、ひとまずアレは置いといて、もう一度確認するけど、僕が下すことができる“神罰“はティーナちゃんみたいにスキルとかの剥奪はできないけどそれ以外のことなら結構自由にできるってことだったよね?(・・?))

天華『はい、概ねその認識で大丈夫だと思います。アトリーは通常の“現人神“の場合、“神力“の質に見合った限定的な“神罰“の効果しか出せず、スキルの剥奪はちゃんとした“神格“を持った“神“でないとできません・・・なので自然エネルギーを“神力“に変換している“現人神“のアトリーが降すことができる“神罰“の効果は範囲は広いですが“神罰“を降す相手の魂に根付いたスキルや魔法属性は奪うことができません』

(えっと、やり方も加護を与える時と一緒で心の底からその罰を望まないとダメなんだよね?(*´Д`*))

夜月『そうだ、罪人に心の底から反省してほしいという思いが“神罰“を降す引き金となる』

(うーん・・・僕、自分で“神罰“を降せるかちょっと心配だな・・・(*´ー`*))

 これまで自分にちょっかいを掛けてきて、“神罰“を降された人達を何人も見てきた、その中でも自分が提案した“神罰“が降っているのも見てきた、今までは自分自身が“神力“を使って“神罰“を降した訳ではなかったから、何処か他人事のように感じていた。それなのに突然自分自身が直接“神罰“を降せる立場になったと理解したら、急に怖気ついてしまった。自分にその役割が回ってきた事でようやく実感が湧いてきたのだ、“人の人生を左右する権限を得た“と・・・

 その巨大な権限を自分は正しく使うことができるのか?自分は今ただの13歳の子供だ、そんな子供が人の罪を裁き“神罰“を与えられて良いのか?周囲の大人達は納得するのか?一方的な自分の価値観だけで“神罰“を決めて良いのか?

 色々と説明を聞いたが、そんな考えをぐるぐると考えてしまって、自分自身が人に“神罰“を与えるという行為ができる気がせず、少し不安に思っていると・・・

ジュール『だから、私達がいるんだよ。アトリーは基本的に優しいから余程のことがない限り、誰かに“神罰“を与えるような事はしないと思ったんだ、そんな時は私達がアトリーの代わりに怒って、“神罰“を降そうって、だからね、アトリーは心配しなくても良いんだよ』

(ジュール・・・)

 ジュールの言葉に僕はほんの少しの安堵と、それで良いのか?と言う疑問、二つの気持ちが湧き上がり、心の奥に靄をかけた。

夜月『アトリー、今すぐに“神罰“を降せるようになれとは言わない、急がなくて良いんだ。アトリーは今はまだ現世で生きている新米の“現人神“なのだから、アトリーが一人前の“神“になれるまで、私達を頼って良いんだ。私達はいつでもアトリーの側にいるし、頼ってもらいたい』

天華『そうですよ。私達はいつでもアトリーの助けになりたいと思っているんですからね』

ジュール『遠慮なく頼ってよ!』

 僕の心の奥底の気持ちを感じ取った夜月達がこう言って僕に心の余裕を与えてくれた。

(夜月、天華、ジュール・・・うん、頼るよ、・・・でも、先に謝っとくね。いつまでも一人前になれなかったらごめんね?(*´ー`*))

天華『それも想定のうちですよ』

夜月『気にするな』

ジュール『私達はそれでもずーっと一緒にいるから心配ないよ!』

(ふふっ、ありがとう!頼りにしてる!( ^∀^))

 まだ未熟な自分のお守りを任せてしまう申し訳なさもありつつ、情けない返答しかできないでいた僕に、頼もしい言葉で僕を励ましてくれた天華達、彼女達の励ましに心の中の靄は少し薄くなった気がした・・・

天華『えぇ、相手に与える“神罰“の種類に迷ったときには相談に乗りますし、早速“神罰“を考える時の参考になるとっておきの方法も教えてあげますよ』

(とっておきの方法???(・・?))

天華『はい、それはですね・・・・』

 そして天華の言うとっておきを聞いたその後、心の中でご令嬢への“神罰“の内容の相談も行われ、そして外側の思考で丁度ご令嬢がシベラスおじ様に言葉の剣で串刺しにあって、顔色を白く染めて座り込んでいた頃、ご令嬢の処遇が決まった・・・

 ・・・そして現在・・・・

(もうさ、シベラスおじ様は完全に酔いが覚めきっているご令嬢に容赦なくザクザクっと、自分の犯した醜態を突き刺していくよね、場の空気ってものが冷え切ってここら辺だけやけに静かになって、物理的にもなんか寒くなった気がするんだもん・・・(*´-`)マジ怖っ)

天華『相変わらず良い手際です。それより、ほら、アトリー、アレするんでしょう?』

(あ、うん、やってみる!٩( 'ω' )و)

 と、天華に促されて、僕は立ち上がりシベラスおじ様の方をつついた。

シベラスおじ様「!、アトリー、“神罰“が決まったのかな?」

「はい、決まりました。「っ!」でも、その前に・・・“時間逆流・タイム・リヴァース“」

「「「「「おおぉ!!」」」」」

 魔法が発動すると同時に、周囲に張っていた結界内で散乱していたグラスやボトル、テーブルクロスなど生物や液体以外の物が浮かび上がり、テレビの映像の逆再生のように時間が巻き戻り、割れていたグラスやボトル、破れていたテーブルクロスまで元の姿に巻き戻り、荒れ果てる前のもとあった場所にきっちり収まったのだ。時間が巻き戻るその光景に周囲の人達は目を輝かせ感嘆の声を上げる。

「次は…“修復・リペア“」ふわぁ

「「「わぁっ!」」」「!、まぁ、ドレスのシミが・・・」「えっ、躓いた時に破れた裾が・・・」「解けた髪が・・・」「落とした時に壊れたメガネが・・・」

 一連の騒ぎで非難する際にドレスが破れたり、お酒を掛けられてできたシミだったりと、怪我はなかったが様々な被害が出ていた人達の問題を一気に魔法で修復すると、被害を被って悲しそうだった人達に笑顔が戻った。

酒乱ご令嬢「えっ!?ドレスが!元に戻っていく・・・それに髪型も・・・」

(よし!完璧!成功!・:*+.\(( °ω° ))/.:+)

 この時、先に使った時間を巻き戻す魔法で物だけではなく生物や液体全てを巻き戻せば、同じように全て元には戻るのだが、当事者達の位置全てが勝手に動き出すのだ、それは被害にあった人達や避難したカイ兄様達までここに戻ってくることになってしまう、なので流石にそれは嫌な思いをする人が出てくるだろうと思ったので、被害に遭った人達と騒動を起こしたご令嬢のドレスや髪型も含めて別の修復に特化した魔法で全部元通りして、ついでにこっそりクリーンも使って頭から被ったお酒も無かったことに・・・

 そして、大体の物を元に戻した僕は最後にする事のためにご令嬢と真正面から向き合った。

「さて、僕が故意では無いとは言え、お酒を掛けてしまったので、そのお詫びとして貴女のそのドレスだけではなく、貴女が暴れて出した被害の痕跡もすべて綺麗しました。これを持って僕の謝罪とさせて頂きます。最後にご令嬢、貴女、何か言うことはありますか?」ニッコリッ

 僕は自分のせいで掛けてしまったお酒を綺麗になくした上に、ご令嬢がやらかした惨状の回復までして、一方的に僕からの謝罪とした。
(まぁ、そもそも、あのご令嬢がお酒飲んで暴れなかったらこんな事にはならなかったんだし、マディラに怖い思いさせたし、一方的な謝罪だとしても逆にここまでしたのを感謝して欲しいくらいだね!( ゚д゚)ふんっ!)と、僕は自分がお酒を掛けてしまった事にはちゃんと反省しているが、だからと言って自分が全て悪いとは思ってはなくて、むしろご令嬢の方はもっと反省すべきだと思っている。それでも被害にあった人達には罪は無いので、本来はご令嬢が詫びるべき相手だが、今の祝い事の最中にそのままにしておくのも可哀想なので、ご令嬢の事はむしろついでと言う感覚で、被害にあった人達のドレスなどの修復を実行したのだ。
 そして、ご令嬢に最後のチャンスとして謝罪を促したのだが・・・・

酒乱ご令嬢「っ!?・・・・こ、この度はこの様な場で皆様に多大なご迷惑をお掛けして大変申し訳ございません!この様な事はもう2度と起こさないと誓いますので!どうか!“神罰“だけはご容赦くださいませんか!?」

 と、僕の顔ちゃんと認識したのか少しフリーズした後、頬を赤く染め、猫撫で声で謝罪しながら僕に縋りつこうと近寄って来た。だが、すぐにカインやオーリー達がご令嬢を引き止め、ソルは僕を庇う様に前に出てご令嬢を睨みつけた。

「はぁ・・・ちゃんと謝罪してればもっと“神罰“は軽くなったのに、残念です。・・・“表面の全てが綺麗に元通りになったとしても、貴方の醜い自己保身の心は隠し切れるものでは無かった様ですね。“・・・ジュール、やって良いよ・・・」

ジュール「ワオォーーンッ!!」ピカッ

「「「「「わっ!?」」」」」

 僕はご令嬢の行動を最後の言葉に落胆し、もう、気にかけるのもこれまでだと判断してジュールに“神罰“の実行を許可した。するとジュールが体を元のサイズに戻し天を仰ぎ遠吠えすると、空から突き刺すような勢いで光の柱が降りてきて一瞬で消えていった。

「これで、貴女は今日この時から酒精を含む飲食物の摂取が禁止され、手に取ることもできなくなるでしょう。それと、この屋敷から出た瞬間から貴女は我がデューキス家に関わる親しい人達に接触不可能となります。そして、最後に、貴女の保有するスキルの一部が剥奪されました。そこは後ほどご自分でご確認ください。では、オーリー、カイン、ご令嬢に速やかにお帰り頂いて」

オーリー&カイン「「畏まりました」」

 降りてきた光に周囲の人達は呆気にとらわれている所に、僕はサクサクっとご令嬢に降った“神罰“の内容を告げて、これまたサクサクっとご退場頂くようにオーリー達に指示したのだった。僕の指示に素早く返事をして行動に移すオーリー達、訳もわからず連れて行かれるご令嬢を見送る気もなくなった僕は、荒んだ心に癒しを求めて大きくなっていたジュールをこれでもかってほどに無言で撫で回していると。

マディラ「アトリーにいたま!もうお仕事終わった?マディと遊んで!」

「やぁマディ♪僕の可愛い妹姫様、ごめんね?少し待たせちゃったかな?」

マディラ「ふふっ、にいたま、くすぐったい!ふふっ」

 トテトテッと可愛く歩いてきた可愛いマディラをヒョイッと抱き上げると、マディラは嬉しそうに声を上げて抱きついてきた。顔が近くなったので優しく頬を擦り寄せると、また嬉しそうに笑いながら頬を擦り寄せ返してくれるマディラに、荒んだ心が浄化されるのを感じた。

(小さい子供の可愛い笑顔はマジ心が浄化されるぅ~~~(*´Д`*)はぁ、あんな“赤黒く濁って歪んだ魂“を見た後はピュアな子供の“透き通った綺麗な丸い魂“が目の保養だよ・・・)

天華『そうですね、まだ世間の醜さなんて縁のない子供の魂は綺麗ですからね。それにしても、もうすでに“魂神眼《コンシンガン》“を使いこなしてますね?』

(あー、能力の使い方がスキルの“真眼“とそんなに変わらなかったから意外と簡単だったよ(*´Д`*))

天華『あ、それは納得です』

 今回、ご令嬢に降す“神罰“を決めるために参考にしたのは、天華から教えてもらった“魂神眼“という、またもや“神力“を目に活用した能力の一つだ。
 この“魂神眼“は“神が人の魂を見極めるため瞳“と言う意味で、人の魂の状態を確認することのできる能力だ、現世の人達全ての人の魂にはその人の人柄や考えなど、今まで生きてきた人生が刻み込まれているのだ、それを色や透明度、形などで可視化され、見極めるために使われており、神々の大半はこの“魂神眼“で“神罰“の度合いを決める目安にしているらしい。

 このことを聞いて早速、ご令嬢の魂を見た僕は、これ、見るんじゃなかったと最初に後悔したが、最後に僕が謝罪を促した時に見た彼女の魂は、より歪に、赤黒く変わったのを見て吐き気がしたのだ、この変化がどんな意味を示すのか明確な説明はできないが、ご令嬢が僕を見てカイ兄様に向けていた恋心と言う所有欲を向けてきた、そしてあわよくば、僕がご令嬢を見初めて今回の罪を無かったことにしてほしいと言った下心さえ感じた。
 この魂を見て感じる感覚は直感と言って良いものに近いが、基本的に綺麗な魂は形が真球で、色は人それぞれだが透き通っている事らしい、なので歪で色が濁っている人ほど、性格や素行が悪かったり、後ろ黒いところがあるらしく、重犯罪を犯す人などは魂の形が崩れていることもあるとか…

 そう言う説明を受けてもなお、僕は僅かな期待と魂の救済のため、最後のチャンスとして謝罪を促したのだが、ここまで歪んだ人の魂は救いようがないんだな、と落胆したのだった・・・










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