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第4章 少年期〜青年期 学園3学年〜卒業編

24話 酒は飲んでも飲まれるな

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 天華達からの急なレクチャーがあっている間にも披露宴は続いていて、カイ兄様達は今、3回目のお色直しをして再登場しました。

へティ「ほぅ・・・、あのドレスとても素敵ですわ、ご新婦様の髪色ととても合ってて会場が華やぎますわね」

「そうだね、パティ義姉様の魅力を凄く引き出してるね」

(しかし、今回の披露宴、お色直しが3回も有るとは、さすが大貴族の結婚式(*´ー`*)・・・)

天華『いやいや、貴方もその大貴族の子息でしょう?』

(そうだけどぉ、僕はほら、結婚する気が今の所ないからさ、現実味がないって言うか・・・それに、まぁ、多分できないだろうし結婚・・・)

天華達『『『アトリー・・・』』』

 自分の今現在の立場や進化してしまった種族を思えば、僕が結婚するとなると確実に大事になる事請け合いだ。それに何より自分自身が、誰か女性を好きになってその人と添い遂げたいと想うような気持ちが全く湧かない、これは“現人神“になる前からずっと感じていた事、それも、前世からずっと・・・
 異性を恋愛という意味で好きになることは全くなかったから、前世では、自分は老衰して死ぬまで独り身を貫くだろうなと、漠然と思っていた。
 でも、結果は、未婚のまま35歳と言う若さで突然死んでしまったのだが、年齢以外は全く嘘でもなかったなぁと、変な関心をしたもんだ。なので、自分には恋愛や恋とはどう言うものなのかは正直分からない、“月詠様“に対する胸のときめき?ドキドキ?みたいなものが本当に恋の予兆なのかも、自分では判断がつかない・・・

「僕はつくづく、どうしようもない人間だな・・・ふっ・・・」ぼそっ

へティ「アトリー様?何か?」

「あぁ、いいや、僕は恋愛と言うものに全く興味が湧かないダメな男だなって、思っただけだよ。あ、もちろん、カイ兄様達の結婚は嬉しいし、心の底から幸せを願っているよ、ただ自分には縁がないものだろうなってね・・・」

へティ「アトリー様、そんな事・・・」

 僕の最初の言葉に心配そうな表情をするソルやへティ達、僕は自分自身では悲しいとか羨ましいとか言う悲観的な感情が一切ないので、途中で今、自分が言ったことはちょっとミスったかなって思って、慌てて後ろの言葉を付け足したけど、さっぱり意味は無かったみたいだ。

「ごめんね、せっかくのお祝い事の最中にいうものでは無かったね・・・」

 悲しそうな表情を見せる皆んな、特にへティが泣きそうな顔をしていた、僕は思わずへティの頭を撫でてしまった。でもすぐに手を引っ込めて、ベイサンを手招きして交代してもらった。

「ごめん、ちょっと席を外すよ・・・」ガタッ

 そう言って僕はそのままジュール達を連れてその場を離れた。

(はぁ、しくじったなぁ、あんな事、口にするつもりはなかったんだけど・・・なんだろう、僕も、結婚式のこの空気に当てられたんだろうか・・・はぁ・・・へティ泣かしちゃった・・・後で、もう一回ちゃんと謝らなきゃ・・・・)

天華『そうですね・・・へティちゃんはアトリーの言葉の意味を少し勘違いして泣いてしまったんでしょうけど。それを訂正ぜずにあそこを離れたのはそのまま勘違いさせておいた方が都合が良いと言うのは分かります。だからと言って女性を悲しませるのは紳士のすることではないですよ?』

(分かっているよ、へティは優しくて良い子だからね、ちゃんと後で心から謝罪する(*´ー`*))

 へティは僕が置かれてる立場や、さっきまであっていた出来事のせいで女性不審、または女性に嫌気がさしたんだろうと思ったに違いないと天華は示唆するように言って、さらにそれでもその勘違いを訂正せずに僕がそこを離れた意味も理解して、最後はちゃんとお小言で締められて、僕は心の中でお手上げ状態で再度へティに謝罪すると約束した。

(へティ達には僕が“現人神“になった事は言えないもんね、自分でもさっき知ったばっかりだし、前世の話なんてさらに話す事はできない、はぁ、こんな秘密事が多い僕にへティ達は過ぎた友人だよね、僕と友人でいてくれる事に感謝しなくちゃだもん( ´ ▽ ` ))

天華達『『『・・・・』』』

 天華達の変な沈黙が続く中、披露宴会場の庭園の中心近くが何やら騒がしくなっている事に気づき、僕は興味本位でそちらに足を向けた。

 ザワザワッ

「何を騒いでいるんだろう?」

ソル「少し、様子を伺ってきましょうか?」

「!、ソル、・・・うん、お願いできるかな?」

 いつもなら側にいる事に気づくはずなのに、いつの間にかいつものように僕の後ろについて来ていたソルに僕は少し驚いたが、でもその提案にすぐにのりお願いした。すると・・・

オーリー「アトリー様、その必要はございません、すでにこちらで状況を把握しております」

 ソルが情報収集のために動こうとしたら、すぐに横からオーリーが出てきて、そう言ってきた。

「そう、で、今あそこの騒ぎは何なのかな?」

オーリー「それが…、ですね、ご招待客の中の1人のご令嬢がカイヤト様とシンパティア様のご結婚に異議申し立てをしていらっしゃるのです」

「・・・はぁ?どういうこと?すでに挙式は終わってサフィアスおじ様、国王陛下の許可も出てるんだよ?名実ともに2人は夫婦になったのに、今更異議申し立てなんて、どんな頭のおかしいご令嬢なんだ?しかも、こんなおめでたい結婚披露宴の真っ最中に・・・」

 オーリーが騒ぎの原因を凄く言いにくそうに話してくれたが、その話を聞いた僕は耳を疑った。そして、カイ兄様達の結婚式を台無しにしようとしているそのご令嬢に怒りを覚えた。僕はそんな怒りを持ちつつも、騒ぎが気になり自分の目でそのご令嬢をみる事にした。

「凄い人だかりだ、こっちって、確かお酒を出すスペースだったよね?もしかして「ドンッ!ガッシャーン!!」「きゃーっ!」!?2人とも行くよ!」

ソル&オーリー「「はっ!」」

 騒ぎを見物している人だかりに近づいていくと、人だかりの中からガラスの割れるような音と、女性の叫び声が聞こえて来た。その音を聞き怪我人が出たのではと思い、ソルとオーリーを連れて騒ぎの現場に急いだ。

 パリンッ!「なんで!?何でなの!!?」「ぅわっ!?」 わぁー!!

 ガシャンッ!「全員、離れろ!」「どうして!?どうして私を見てくれないの!?」「投げてくるぞ!」

 ガシャンッ!!「あの方には私が相応しかったのにっ!!「ガラガラッ!」うっぷ、私は、私は!あの方に全てを捧げるつもりだったのにっ!」

 「あんな子のどこが良かったのよ!?」バシャッ!「きゃっ!ドレスが!」「皆様お下がりください!危ないので後ろに下がってください!!」

 慌てて逃げている人達を避けながら、現場に着くと、目に入って来たのは1人の女性がテーブルに用意されていたらしき、たくさんのグラスやお酒のボトルをテーブルから払いのけたり、投げて割ったり、お酒がついで置いてあったグラスをつかんで、わざと周りのご令嬢に中身のお酒を投げ掛けて、ドレスを汚している場面だった。

(な、何だ!?この惨状は!?Σ('◉⌓◉’))

「!?、・・・うわ!お酒臭い!、誰か、状況の説明を!」

 一瞬、呆気に囚われてしまったが、すぐに周りに充満しているお酒の匂いで我に帰り、近くで避難誘導とご令嬢を警戒して取り囲んでいる使用人達に声をかけて状況の説明を求めたら・・・

カイン「アトリー様!これ以上近づかれては危険です!」

「カイン、カインもここに来ていたのか、この騒ぎの発端は分かるかい?」

 僕の声を聞いて真っ先に近寄って来たのは専属執事のカインだった。彼をすぐに認識した僕は彼の方を向いて現状に至った経緯を知っているか聞いた。

カイン「はい、私はたまたまあちらのテーブルにワインの補充を頼まれ、丁度ワインを係の者に引き渡していた最中にこの騒ぎが起こりました・・・」

 と、何ともタイミング良く騒ぎの一部始終を見ていたカインは、淡々と現状に至るまでの経緯を簡潔に説明してくれた。

 カインの話を聞く限り、どうやら騒ぎの中心にいるご令嬢が、自分の片想いしていたカイ兄様の結婚式を知って大失恋、その上、その結婚式に新婦側の友人枠で招待されて、失恋した心の傷をさらに抉ったようだ。
 だが、公爵家の招待状をもらってしまっては行かないわけにもいかず、目の前で自分の好きな人と友人と言っても同級生として話をするだけの関係だった新婦である他の女、パティ義姉様の幸せそうな表情を見て、現実逃避の為か、お酒に走った。
 ヤケ酒でずっと、このアルコールドリンクを提供するコーナに入り浸っていて、相当酔いが回ってフラフラしているところで今回の主役の2人が3回目のお色直しで登場し、会場内を挨拶回りの為に歩き出した、そして、この近くを通った時に蓄積した不満が爆発したらしい、目の前を歩いている2人に絡むように結婚の異議申し立てをして騒ぎを起こしたが、周囲にいたうちの騎士団や使用人達にあっさり捕まり遠ざけられて、トドメに愛するカイ兄様にとても冷たい態度で拒否られた。
 そこからは先程のようにテーブルに置いてあった物を払い落とすわ、投げるわ、酒を人にかけるわ、と支離滅裂の不満を叫びながら大暴れをしているらしい・・・

「それで、カイ兄様達は怪我してない?」

カイン「はい、ご令嬢の泥酔具合を見てすぐに退避なさったので、お怪我などはなさってません」

「そう、良かった・・・」ほっ

カイン「ですが、今のところ怪我人はいないのですが、ドレスなどを汚されてしまった方々が数人いらっしゃいます。なので、これ以上被害が出ないように早急に確保したいのですが・・・」チラッ

「・・・あー、あのご令嬢、もしかして、他国の高位貴族の娘か王族の血筋?」

 カインが意味ありげに見たご令嬢を再度観察して見た僕は、今は化粧はドロドロ、髪のセットは解けてボサボサ、ドレスに至っては自分がぶちまけたワインやお酒でシミだらけになっていて、グラスなどの破片か、暴れたせいかは分からないがところどころ破けていた。
 でもよく見ると元は綺麗に整えられていただろう高級そうな生地のドレスや丁寧にセットされた髪、お化粧もちゃんとしていたはず、もとを想像すると相当くらいが高い装いだったのは容易に想像ができた、だからすぐに、大失恋のご令嬢はやんごとない身分の人ではないかと推測した。

カイン「はい、こちらの学園に一時期留学されていた。帝国公爵家の御息女様でして、今回の招待はその公爵家当主の代理としてお越しになっておられます・・・」

(あちゃ~、一応、大国の賓客扱いなのか、しかも帝国、そんな人を手荒く取り押さえるのは無理だよなぁ(*´-`))

 僕は暴れ回っているご令嬢の身分を聞いて頭を抱えた。

(しかし、凄い暴れ回ってんな、酒乱か?酒は飲んでも飲まれるなっていうのにね、ヤケ酒するんじゃなくて、ヤケ喰いすればこんな醜態晒さなかっただろうに・・・(*´ー`*))

 と、哀れみの目で見ている間にもドリンクコーナにある物に次々八つ当たりしている。(あ、一応、他に被害が行かないように結界魔法で周囲を囲っているよ、内側からのものは通さずに、外側からはいつでも取り押さえれるように通れるタイプの結界をね!d( ̄  ̄))















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